今週の科学ニュース−5月3日

　皆様、こんばんは。今週はゴールデンウィークです。私は、少し多めに休みをいただきました。CDやDVDや未読の本の整理にいそしみたいと思います。

・地球再接近は１２月３日＝加速し、小惑星へ−はやぶさ２(JAXA)
　とりあえず、はやぶさ２は順調に航海(いや、航宙か)を続けているようで、喜ばしい限りです。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の該当HPはこちら。

・T・レックスに草食性の近縁種か、「奇妙な」姿に謎深まる(アルゼンチン自然科学博物館他)
　肉食の生物の子孫が草食になってしまう進化の例は、たとえば、草食のパンダの祖先は肉食のホッキョクグマやグリズリーの祖先と同じという例があり、珍しいとは言え、全くない例ではないそうです。そういう意味では、肉食恐竜から進化したT.レックスの近縁種に草食恐竜がいたという事実は全く不可解というわけではないようです。この、新たに見つかったへんてこりんな草食恐竜が注目される理由は、いろいろな恐竜の特徴をこの化石骨格が表しているからとのことです。曰く、ステゴサウルスやトリケラトプスなどの鳥盤類の骨盤、ブロントサウルスなどの竜脚類の四肢、そして、チラノサウルスやヴェロキラプトルなどの獣脚類の脊椎と言った具合です。結局、原始的な獣脚類が進化の過程で草食化する際に他の恐竜の特徴を持つに至ったと研究者は結論づけていますが、それで正しいのかどうかは今後の調査が待たれるところです。全く、まだまだ恐竜についてはわからないことだらけです。
Nature誌の該当論文のAbstractはこちら。

・中国:コウモリのように飛ぶ恐竜　新種の化石発見(中国科学院他)
　続けて恐竜ネタをもう一つ。南米と並んで今後の恐竜化石の産出地として期待されている中国で、今度は前肢に飛行のためと思われる皮膜を保つ小型羽毛恐竜の化石が発見されたとのことです。論文によると、マニラプトル類の獣脚類に属する小型肉食恐竜の化石ですが、羽毛と、腕から手にかけて広がる膜の痕跡があったとのことです。時事は「ムササビ」のように、毎日新聞は「コウモリ」のように飛んでいたのではないかと表現しています。ムササビとコウモリとではだいぶ違いますが、論文のAbstractを読んだ限りではどちらとも書いてありません。ただ、「このような皮膜は、恐竜では例がないが、飛び、滑空する四つ足獣には見られる」と書かれていますので、著者らはムササビを念頭に置いている可能性が高いと思われます。ただ、Nature 誌に添付してある想像図は、コウモリのようです。
Nature誌の該当論文のAbstractはこちら。

・冥王星に極氷冠か、探査機からの画像分析(NASA)
　NASAの宇宙探査機New Horizonsはいよいよ冥王星に近づき、冥王星の写真を地球に転送し始めました。その写真が公開されましたが、どうやら、冥王星には極冠が有るようです。NASAの研究者たちは、これは、窒素の雪が光っているのではないかとコメントしています。窒素の融点と言えば、大体-210℃程度ですので、冥王星の両極はこれより低い温度であろうということです。まだ遠すぎて、詳細がわからないと言うことで、今後、もっと近づいたときが期待されます。NASAの該当HPには、動画も添付されていますが、これを見ると、冥王星−カロン(衛星)系の重心は、冥王星の外にあるようです。それだけ、冥王星とカロンの質量差が少ないことを意味しているように思われます。なお、冥王星にはカロンの他に少なくとも4個の衛星があるはずですが、現在のNew Horizonsのカメラの露出(シャッタースピード)が1/10秒と短いため、写っていないとのことです。
NASAの該当HPはこちら。

・銀河系の中心に星の墓場を発見、謎のX線を放出(米ハバフォード大他)
　米Haverford Collegeなどの研究チームは、銀河中心域から、高エネルギーX線(Hard X-ray)を発する「もや」の存在を確認したと発表しました。表題は「星の墓場」としていますが、一番可能性がある「もや」の成分が、恒星のなれの果てである白色矮星であることからで、実際は、いろいろ可能性が考えられて、確定していないとされています。なお、今回観測された硬X線は、医療用に使われているX線よりだいぶエネルギー的に弱いものですが、その量がそれこそ天文学的数字になりますので、不用意に銀河中心に入ったら、たちまち被曝して死んでしまうだろうと思われます。
Nature誌の該当論文のAbstractはこちら。

　今週はこの辺で。良い休みを。