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2015年04月22日17:53

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トルストイ「人生の道」より




文豪トルストイは,その著書「人生の道」で釈迦,孔子、老子、キリスト、マホメッド、ソクラテス、カント、エマーソン・・・・・等170人の古今の聖賢、思想家の言葉をまとめて、人として正しく生きるための「道しるべ」を述べています。

トルストイは序文に次の断りの文章を入れております。
ここに収録された思想は、孔子の教え、仏典、福音書、バラモン経典、使徒の書簡、その他古今の数多くの聖賢の言葉から取ったものである。

しかしそれらの思想のほとんどが翻訳の際、そして又、改作の際、形が変ったので、言葉の主の名前をいちいち記すのは具合が悪いと思う。

署名のない言葉の中の優れたものは、私のものではなく、世界の最も偉大な賢人たちのものであることを記しておく。

トルストイが「人生の道」の編纂を終わったのが、1909年10月15日。その22日後の11月7日に、彼はこの世を去りました。
したがって、この「人生の道」は文豪トルストイが人類同胞へ残した最後の遺書になりました。


以下、トルストイ「人生の道」より。

★もし、われわれが自己の周囲に見るすべての物象を、無限無窮のこの世界を、自分が眺めたとおりのものと思うなら、われわれは大いに誤っている。われわれが、形体を有するすべての物象を知っているのは、そういう認識に到達させる視覚、聴覚、触覚を持っている結果にほかならない。もしそれらの感覚が違ったものであったら、この世界は別個のものになったであろう。したがって、われわれは、われわれの望んでいるこの外的世界がいかなるものであるかを、ほんとには知っていないのだ。知りえないのだ。われわれの正確に完全に知っているのは、ひとりわれらの霊のみである。

★鉄は石より固い。石は木より、木は水より、而して水は空気より固い。しかしながら触れることの出来ないもの、見たり聞いたりすることのできないものが、なによりも一番固いのである。これのみが過去、現在、未来を通じて厳存し、永遠に滅することがないのである。では、それは一体なんであるか? すなわち人間の内なる霊である。

★吾人は肉体によって生きるに非ず、霊によって生きるのである。もし吾人がこの事実を知って、自己の生命を肉体ではなく霊に託するならば、吾人は鎖に縛られても、鉄の扉のなかにいましめられても、なおかつ厳として自由である。

★人間が肉体的生命のみに生きるならば、彼の生涯は死刑囚の生涯となんら変わるところはない。もし彼が霊のために生きるならば、彼が己の幸福を託したものは、絶えず増大の一途を辿り、死も彼にとってちっとも恐ろしくはないだろう。

★どんな人間にも、世界にそれ以上高いものはないようなものが宿っている。皇帝、囚人、乞食・・・みな平等である。何故ならその一人一人には、世界で一番高級なものが宿っているからだ。
皇帝を乞食や囚人以上に尊敬することは、同じ金貨を、一方は白い紙で包んであり、もう一方は黒い紙に包んであるからといって、白い紙で包んであるほうを、より尊ぶのと同じである。


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