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2015年04月16日18:43

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雪崩打つ欧州の中国傾斜 引きずられる米国の“準備不足”

 下記は、2015.4.15付の【竜の野望・中国AIIB(2)】です。

                       記

 「勝算もないまま政府高官らが口々にアジアインフラ投資銀行(AIIB)批判を口にし、米国がAIIBに反対している印象を強めたのは失敗だった」

 米国の制止を振り切って3月、欧州から参加表明が相次いだ。ある米政府筋は当時の米国の対応の拙さを振り返る。

 ホワイトハウスは英国が3月12日に参加を表明した直後、労働条件や環境への影響に関するAIIBの融資基準で懸念を示した。独仏伊が参加表明した17日には、下院金融委員会の公聴会でルー財務長官が「名前を貸すなら適切な組織統治を確実に実現してもらいたい」と、AIIBになびく各国を皮肉った。

 先進7カ国(G7)メンバーが後に続く流れをつくった英国。3月18日、オズボーン財務相は下院で「西側の主要国で初めて創設メンバーになる決定を下した」と誇らしげに述べたが、政府内では参加表明の数日前まで論争があった。

 反対したのは外務省だ。「AIIB参加は同盟国の米国や日本と不和を生み出す」。だがオズボーン氏は政府の国家安全保障会議で「起こりうる問題より商業的な利益が勝る」と主張し、キャメロン首相を説得した。英紙フィナンシャル・タイムズが伝える内情だ。

 キャメロン氏は2013年末に最大規模の経済界メンバーを率いて訪中して以来、中国の人権問題などへの批判は大きく後退している。5月に総選挙を控えるなか、オズボーン氏の経済優先外交を選び、後押しした。長い歴史がある米英の「特別な関係」が入り込む余地はなかった。

 欧州「一番乗り」をアピールする英国の狙いについてある外交筋は、「ロンドンを人民元の金融取引センターにし、中国の巨額資金を取り込む狙いだ」と指摘した。ドイツのショイブレ財務相も「ドイツの経験を生かして助けたい」と述べ、中国を喜ばせた。

 欧州の中国傾斜は、米国が指導力を発揮できないことの裏返しでもある。

 オバマ政権の準備不足は明らかだった。別の米政府筋は「ホワイトハウス、国務省、財務省の、どこが中心となってメッセージを発するか、明確な合意がなかったようだ」と明かす。

 野党共和党にも責任はある。その代表例が国際通貨基金(IMF)改革の行き詰まりだ。IMFは2010年に中国など新興国の発言力を拡大させる改革案を決めた。だが共和党の反対で米議会での批准が進まず、中国にAIIB設立を正当化する理由を与えた。

 共和党のコーカー上院外交委員長は「オバマ政権はIMF改革で議会を説得するために必要な行動をとらないから国益が損なわれている」と強引に責任転嫁した。一方では、「最初からAIIBに参加した方がよかったかもしれない」(コットン上院議員)との声も出る。

 「中国の指導者たちが高い基準を目指し、世界銀行などとの共同事業を歓迎していることに力づけられた」

 北京で李克強首相らと会談して帰国したルー氏は3月31日、カリフォルニア州での講演でAIIBにエールを送った。

 友好国が相次いで背を向ける負け戦の展開を見せつけられる事態を受け、オバマ政権は牽制(けんせい)から関与に転じた形だ。3月22日にはシーツ財務次官が、米国が主導する世界銀行やアジア開発銀行(ADB)との共同出資事業を提案したと明かし、協調関係をアピールした。政府周辺ではオブザーバー参加を申し出る可能性もささやかれる。

 米国をAIIBに巻き込めば中国には大きな利益がある。AIIBの信用が高まり、政治的な勝利も宣伝できる。6月末までには運営ルールなど設立協定の交渉が合意の見込み。米国は中国の出方を見つつ、慎重に次の一手を探っている。(ロンドン 内藤泰朗、ワシントン 小雲規生)

 http://www.sankei.com/premium/news/150415/prm1504150006-n1.html
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