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2015年03月27日21:03

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原題は『RELENTLESS the memoir』で「容赦ない伝記」くらいの意味か。

『イングヴェイ・マルムスティーン自伝 Yng-WAY-俺のやり方』読了。

まず、日本版タイトルのクソさに辟易する。
このダサさ、何とかならんかね、本当に。


「あの」イングヴェイである。
名言、暴言、迷言の数々、数えきれないメンバチェンジ、
色々なミュージシャンへの罵言、そして、当然ながら
最も重要であるべき点としてのロックギターの歴史で
「ある展開点」を置いた名ギタリスト・・・。

あのイングヴェイである。

だが、そうした『Burrn』的な下世話さを
求めて読むと、肩すかしを食らう。
そう、この本は「誠実」なのだ。
無論、悪口も多い。そりゃそうだ、イングヴェイなんだもん。
だが、それはあくまでも「下手」「努力しない」類いの
ミュージシャン達や、そのミュージシャン達を食い物に
し続けるレコード会社の人間達に向けられたものであり、
悪口と云うよりは「批判」として十分理性的なものだと云える。

・・・個人的には「存在しない」も同然の扱いとなっている
前妻のエリカやマイク・ヴェセーラにまつわる「あの噂」は
本当の処どうなのよ?的な下世話な好奇心もあったが、
別にそれらを満たされなかったから、と云ってこの本が
面白くなかった訳ではない。

寧ろ、真逆だ。

確かにイングヴェイは話を「盛る」。
デヴュー当初のインタヴューで話していた練習時間が
「毎日4〜6時間」だったのが、十年後には「一日10時間は
練習した」になり、「12〜14時間はギターを手放さなかった」
となっちゃう辺りのアレだ。
だが、事実彼は努力してあのスタイルとギターテクニックを
手に入れ、それは今も衰えていない(一時手癖で弾くフレーズが
多過ぎて辟易した時期があったが、その時期が丁度自伝の中で
語られる「最低の時代」とリンクしている辺り、なるほどと
思わされた)。

筋は昔からメチャクチャ通っていた人だったのだ。
ただ、その「筋」が人には暴言に見られたり、奇矯な発言と
取られる事があまりに多かったに過ぎない(それくらい、
この人が「キャラが立っている」という事の証拠でもあろう)。

だからこそ、この本は面白いのだ。
自伝であり、暴露本ではない。
本当の意味で「嫌い」な人間は恐らく存在ごと無視されているのでは
ないか、とすら思えるのだが、そうした「周囲との関係」ではなく
「俺イングヴェイ」の面白さがあまりにも全てに勝っているが
故に、この面白さがある。

凄まじい成功願望とそれを実現していく努力による成功、そして、
それに特化し過ぎてしまったが故に「誰にも守られない」
不遇が彼の人生には常にある。

常に新しいメンバが入る度に「ソウルメイト」だの「ベストな○○(各パート)だ」
だのと吹き捲くりながら、レコーディングのエピソードインタヴューで
「ベースは俺が弾いた方が上手い」だの「俺でも歌えるんだが」だのという
「俺、俺、俺!」なアピールを隠せないイングヴェイなのだから、
当たり前だと云う事なのだろうが。

現在、プロダクションを家族で運営して比較的こじんまりとした
活動となってはいるイングヴェイだが、その「家族」が
イングヴェイが「俺」の中に入れる事が出来たただ一つの存在だったのだろう、
と思うと中々に感慨深い。

因に、可笑しかったのが髪に関する件。

「ところで、髪に関しては奇妙なことがある。
その数年後に車で事故を起こして以来、ストレートの髪がずっと
ウェーブになってしまったのだ。どうにも説明の付かない現象だが、
事実だから仕方ない。20年以上、俺はわざと髪を巻いたことはない。」

などと仰られる。いやぁ、流石はリッチー・ブラックモアフォロア。
髪に関しては不思議な事が起こるもんですなぁ、などと思ったり
思わなかったり、矢張り思わなかったり(笑)。

んな訳あるかい!
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