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2015年03月23日22:15

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「君はプロテスタントかね?」「はい」「だったらやれ」(エーベルバッハ少佐と部下との会話より)。

■複雑な歴史はマンガで学ぼう! 歴史が楽しくなるマンガ5選
(リクナビ進学 - 03月23日 16:21)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=150&from=diary&id=3333863

ま、前提として「漫画で勉強しようとなんかすんな、阿呆」という
意見はまず提示しないといかんのだがね。

「そんな悩みを抱える人には“歴史マンガ”がおすすめです。
歴史を取り扱ったマンガは、架空の人物が登場したり、
フィクションが含まれていたりもしますが、
起こるできごとや登場人物同士の人間関係は、
歴史に忠実に描かれている作品が多いんです。
そのため、読むだけで歴史の勉強になるんですよ」

なーんて書いてあるが。
これって、めっさ危険じゃない?

「架空の人物が登場したり」、
「フィクションが含まれていたりもしますが」
という作品に織り交ぜられる「虚構性」をどのように
知るんだい?「勉強」するつもりで歴史漫画読んじゃうような
お馬鹿さんがさ?

どれだけ史実に忠実に、資料も豊富に揃えて
作られた作品と云えども、結局の処、それはフィクションなのだ。

そして、その匙加減、味付け、アレンジこそが
「歴史漫画」の魅力なのだろう。
それらの作品を契機として、その時代の事などを
調べたり、関連書籍を読むようになる、というのが
理想的な流れであろう。
「横山三国志」が日本の男子学生に与えた影響は
甚だ強いのであろうが、それ読んで「勉強」した気になっては
いけない、なんてのは三国志好きなら誰でも心当たろう。
「横山三国志」を入り口にして、「三国志」と「三国志演義」を
比較して、そこから横山光輝が「何を取捨選択したか?」を
読み取って行く事も読書の快楽のひとつであろう。
そして、それですら、「勉強」などではない。

ま、そんな事は当然自明の事であろうから、
野暮はここまでにしておこう。

で、「歴史」漫画。

断然、青池保子を推す。

歴史的事件や偉人を採り上げる事は少ないが(それでも
『アルカサル 王城』という名作もある)、この人の魅力は
随所に差し込まれる「歴史ネタ」が歴史を知れば知る程、
その面白さが理解出来る、という類いの「奥の深さ」が
本当に素晴らしい。

『イブの息子たち』の歴史ギャグオンパレードの乱痴気騒ぎっぷり、
『エロイカより愛をこめて』のヨーロッパ愛、歴史愛の巧みなドラマへの盛り込み、
『アルカサル 王城』の中世スペインの王の一代記、という日本人には
馴染みの薄い題材を見事なエンタテインメントにした手際(後半がダイジェスト的に
なって終わったのは非常に残念な事と惜しみたい)・・・。

それぞれが巧みに「歴史」をスパイスに振りかけられ、ドラマと
リンクして作品に結晶していく。

初めて青池作品を読んだのは高校生の時であったが、
世界史にとんと疎い駄目学生だった為に、単純に
「面白い漫画」として読んでいたが、紹介してくれた
図書室司書の先生の手引きにより、ちょっとしたセリフや
ギャグに込められた意味や歴史的背景を教えて貰った時の
「複合的な」作品理解の方法に、非常に驚いたものだった。

無論、ここまで作品に違和感無く練り込めるようになる為には
もの凄い「勉強」(正に!)を青池保子はしているのだろう。
だからこそ、一級品のエンタテインメントなのだ、どの作品も。

「勉強になるから読む」なんて品のない読書は、
身の為にならんぜ?

タイトルに引いた少佐と部下の会話は、
ヴァチカンを舞台にした作戦で、ヴァチカンの広場に
不道徳な落書き(キスマーク!)をして衆目を集めておいて、
という時に出てくるもの。

「だったらやれ」は初見で読んだ時は意味がイマイチよく分からなかったが、
プロテスタントが「(カトリックに対して)抵抗する者)という意味だ、
と教えて貰った時に、その端的な台詞の面白さが初めて理解出来た、という
事で、よく覚えている。

こういうのが、「粋」ってもんなんだよ。


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