今日は、元関東連合幹部、工藤明男.著『いびつな絆 関東連合の真実』を読み終える。
関東連合とは世田谷、杉並で強大勢力を誇っていた暴走族が発展し、裏の世界で巨大な組織となったアウトロー集団である。
その元幹部の工藤氏が、組織の崩壊の原因となった、六本木クラブ襲撃事件と、事件後の襲撃に関わった人間達の姿を描き、裏の世界で君臨した組織の崩壊を客観的視点で書いた本である。
工藤氏はこの本を書くきっかけとして、六本木クラブ襲撃事件にてネットで書かれている関東連合の身勝手で無責任な書き込みに対し、その抵抗としての真実を語りたいがためである。
そして、それ以上に襲撃事件で間違って殺されてしまった被害者、襲撃事件の原因となった襲撃事件で亡くなった関東連合関係者の追悼の意があった。
その証拠に、この本には何度も亡くなった人々への追悼の言葉が書かれ、また亡くなった関東連合関係者の所からはなぜこの人が死ななければならかったのかという事件の怒りを感じるものがあった。
そして、工藤氏は六本木クラブ襲撃事件の後で自分が聞いたことを詳しく鮮明に書いていくことで、事件の早期解決にながることを祈って書いてもいたのであった。
裏の世界でのし上がるには暴力は必要不可欠である。
そんな世界に生きてきた筆者であるが、もう暴力だけの世界が無くなることを願うという矛盾を見せている。
でも、逆にそんな世界で生き、知り合いの理不尽に近い殺され方、自己保身に走ってしまったリーダーのために苦しまなければならかった人々の姿を痛切に見ているから、暴力の消滅を祈る考えになるのかもしれない。
また、筆者は関東連合のとどめは、六本木クラブ襲撃事件時のリーダーのその世代の新しい考え方にもあることを指摘している。
やくざ組織とは直接的結びを持つようになった。力よりも知能による支配。そして、まず自分のことという支配性。
かっての関東連合にはこのような者はなった。
それは世代の交代によってなるべくようになってしまった、ということである。
そんな世代の考えの変化は裏表関係がないのである。
これほどまでに、アウトローの世界に生きた人間が、その世界に批判をし否定をもしたということでは、それだけでも重みを感じる本であった。
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