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2015年02月19日10:15

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真実の「ゆるし」とは



思わず、スゴイ、こんな人がいる、私の終生の目標だ、と感動させる人物があります。

1.ビクター・フランクフルの無条件の愛
第二次世界大戦のさなか、ナチスは、ビクター・フランクフルという名の男を強制収容所に入れました。そして、あなたが想像しうる最悪のことを彼に対して行いました。

彼らはまず、彼の愛する人たちを殺害しました。彼を拷問にかけ、彼のあらゆる所有物を奪い取りました。
身を切るような寒さの中で働かせ、すきま風が吹き抜けるバラック内の、木の床の上で眠らせました。しかも、そこは毎晩、寝返りが打てないほどに多くの人であふれていたといいます。
加えて、それらの人たちには、生きるのがやっと、という量の食料しか与えられていませんでした。

どうでしょう。こんな映画に出演したいと思いますか? もしあなたが監督だとしたら、ビクターにこのシーンをどうやって終了させたいですか ?
 
ビクターは、このように演じました。ある日の早朝、彼の作業班は岩だらけの道をよろめきながら歩いていきました。冷たい風が吹いていました。そんな中、看守たちの罵声を浴びながら、また銃の台尻でこづかれながら、かれは自分の人生を変えることになる、あることに気づいたのです。

「自分が到達可能な最高のゴール、究極のゴールは、無条件の愛である!」ということです。
 
ビクターは、被害者にはなりませんでした。迫害する者たちを憎むことで、自分の価値を低下させたりはしませんでした。
「どうして僕はこんなめにわなくちゃいけないんだ?」とか、「こんなこと理不尽だ。ひどい!」などとは言いませんでした。人間は、この種のことを言っているとき、いかなるパワーももっていません。
 
ビクターは、魂の偉大さの中に足を踏み入れました。彼は主人公(彼自身)を、「憎しみをたぎらせ、復讐を誓う人物」や、「屈辱の中で力尽きる人物」などにではなく、「どんなことがあってもつねに愛を貫こうとする英雄」に仕立て上げたのです。
・・・・・・・・・・ 以上、ゲーリー・ズーカフ「魂をめぐる物語」より。

2.スペインのある母の話
それは一人のスペインの母の話である。その人は、1936年から39年まで続いたスペイン市民戦争の時、夫を殺された。後には数人の子供たちが残された。
「私たちはお父さまを殺した人を許すことを、一生の仕事としなければいけないのよ」
とこの母は言った。

おそらくその言葉は、愛する人を奪われた彼女自身が、必死で自分に言い聞かせる言葉だったのだろう。

しかしそれは、偉大な言葉だった。望ましからざる事件を、物の見事に変質させようとする、人間の最高の芸術であった。
・・・・・・・・・・ 以上、曽野綾子「『いい人』をやめると楽になる」より。

3.親鸞聖人
次に親鸞聖人についての話もスゴイです。
聖人が越後に流罪されているときのこと。

ある雨の夜に宿を頼むが、主人の漁師は固く拒否し、うるさがって冷たい水を聖人の頭に浴びせた。しかし、聖人はただ念仏を唱えるだけである。
夜ふけに、吹きさらしの門の下で抱きあって寒さに耐えながら、念仏する聖人たちの声に目がさめて、はじめて漁師は悔いて心から詫びた。聖人は彼を責めることなく、
「どんな悪い人間でも、心の中にはきっとよいものがあります。仏さまはそれを引き出してくださるのです」とねんごろに彼を励ます。
・・・・・・・・・・ 以上、松原泰道氏「般若心経入門」より



親鸞聖人こそ、み仏を生きるという大自覚をもち、形に見える善悪にとらわれることなく、どのような人のなかにも尊い「仏間」を発見されたのでしょう。

中国の先哲・老子は「怨(うら)みに報(むく)ゆるに、徳を以ってす」と教えています。
怨みに対しては、徳を以って報いるがよい。そうすれば、怨みを与えた人も、ついにはこれに感化されておとなしくなる。

キリストも同じことを教えています(聖書マタイ伝)。
「もし、誰かがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。
あなたを訴えて、下着を取ろうとするものには、上着をも与えなさい。
もし、誰かが、あなたをして1マイル行かせようとするなら、その人と共に2マイル行きなさい」


こうみると、「ゆるし」とか他への寛大さ。これが、その人が本物かどうかを見極める一つではないでしょうか。


★ ゆるしとは、日常における崇高な行為である。(ウラディミール・ジャンケレヴィチ)
★ 誰かを許さないということは、囚人を閉じ込めておくための看守の仕事を24時間やることと似ている。(ジャンボルスキー)
★ ゆるしとは、日常における崇高な行為である。(ウラディミール・ジャンケレヴィチ)


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