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2014年12月21日22:02

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今週の科学ニュース−12月21日

 皆様、こんばんは。いよいよ今年もあと10日あまり。今日は私は年賀状を作成してみました。明日投函します。

「危険」伝えるフェロモン=ラットで初特定(東京大)
 経験則として、一度ネズミがかかったねずみ取りにネズミがもう一度かかることはない、というのがあります。私も、父から、ねずみ取りは安物で十分で、ネズミがかかったら、ねずみ取りごと処分するように言われていました。その理由はわかっていませんでしたが、このほど東大の研究チームが、ネズミ同士で危険を伝えるフェロモンがあることを特定し、この問題にけりをつけました。今回見つかったフェロモンは、意外と低分子で単純な構造ですが、二つの化合物が揃って初めてフェロモンとして動作することに特徴があるように思います。
東京大学のプレスリリースはこちら
米科学アカデミー紀要(PNAS)の該当論文はこちら

火星でメタンが高頻度で急増、発生源は不明(NASA)
 火星で活躍している無人火星探査車キュリオシティがゲール・クレーター内の大気組成データを地球に送信し、それを解析した結果、どうやらゲール・クレーター付近で大量のメタンガスが発生しているらしいとわかりました。地球では、メタンガスはほとんど全部生物(微生物)起因ですので、火星に生命?という意見もあることはあるのですが、日本人研究者の論文にもあるように、火星なら生物起因でないメタンの発生も考えられるため、今後の調査が待たれます。
NASAの該当HPはこちら
Science Express誌の該当論文のAbstractはこちら
なお、こちらから"Reprint”をクリックすれば、論文そのもの(pdf)が読めます。

アレルギー:皮膚の弱さが原因?
 毎日新聞が、アトピー性皮膚炎の要因についてレポートを出しています。それによると、先天的な要因として、皮膚の表面の角質層に含まれる、皮膚のバリアー性の形成や保湿性に関連するフィラグリンというタンパク質の生成に関する遺伝子があるとしています。この見解自体は、2006年にイギリスの研究者がすでに出していますが、今年になって、京都大学の研究チームがこの機能を改善させる内服化合物を発見し、論文化しています。こちらにもあるように、アトピー性皮膚炎の悪化要因は一つではありませんが、最も根源的な部分の一つを緩和することができるとのことで、注目されているようです。早く完治できる治療法が見つかると良いですね。

嵐の到来を察知する鳥の回避行動(カリフォルニア大バークレー校)
 動物の人間にないカンというか、危機を感じる知覚は以前からちょくちょく報告されていますが、そのメカニズムが解明されたことは無かったかと思います。日本で有名なのが、地震を予知すると言われるナマズですが、現象は報告されても、その理由となるとさっぱりです。今回の報告は、米国に生息する小鳥が、嵐を避けて1500kmも移動していたというもので、可聴下域の低周波音が関係しているという説明をしていますが、確証がある訳ではありません。まだまだ人間にわからない自然現象が多いと言うことです。
Current Biology誌の該当論文のAbstractはこちら
今回の研究対象になったキンバネアメリカムシクイの説明はこちら

育て「和製ジョブズ」…奇抜な10人総務省選ぶ
 総務省が今年からInnovation(異能vation)プログラム(通称変な人プロジェクト)を開始し、先日、その第一回二次選抜結果を発表しました。今回は、学生・研究者・主婦を含む10人が選ばれたと言うことで、総務省から研究費として一人あたり300万円が支出され、研究を進めることになりました。個人的には、独創的な人は変な人が多いのは確かですが、変な人に独創的な人が多いとは思っていません。そういう意味では、独創的な奇抜なアイディアを募集するのは良いのですが、それが玉か石か、意味のある独創か否かの区別を十分吟味していないような気がして、ちょっと違うのではないかという気もしなくもないです。また、研究費が一人あたり(1テーマあたり)300万円というのはいかにもけちくさく、お役所的な感覚を感じずにはいられません。果たしてうまくいくのでしょうか。
総務省の該当HPはこちら

日本から「赤とんぼ」がいなくなる。背景に新農薬の使用
 本年7月13日付の私の日記でも取り上げましたが、欧州でネオニコチノイド系農薬の影響で虫がいなくなり、その結果、虫をえさとしている鳥の大幅な減少が見られる旨論文が発表され、農薬メーカーが反論する事態になっていることをお伝えしました。その際、この農薬が日本でも使われていることを掲載しましたが、その日本でもネオニコチノイド系農薬の影響が出ている、いわゆる「沈黙の春」ではなく、「沈黙の秋」だと警告を発している農学者がいる旨週刊誌のSpa!が記事にしました。石川県立大学の上田哲行教授は、ネオニコチノイド系農薬、および、それと作用機序が類似しているフィプロニルが農薬として水田に使われ始めてから各地でアキアカネ(赤とんぼ)が減少し始め、15年たった時点で個体数が以前の1000分の1になっていると報告し、これらの農薬が原因だと報告しています。これらの農薬は、昨今のミツバチの大量消滅にも関連しているとされ、効果絶大な代わりに効き過ぎな農薬として、一部でその使用を問題視する声も出ているようです。バイエルや三井化学はいかに反論するでしょうか。
日本自然保護協会の該当HPはこちら
ネオニコチノイド系農薬のWikipediaはこちら

クッシング病:特効薬に道…ホルモン過剰分泌、仕組み解明(東工大他)
 クッシング病というのは初めて聞く病名でしたが、要するに、脳下垂体に腫瘍ができ、このためにコルチゾールというホルモンが過剰に分泌され、いろいろな体の不具合を引き起こすという難病とのことです。治療方法としては、単純に、脳下垂体の腫瘍を切除すれば良いのですが、脳下垂体は脳の奥の微妙なところにあるため、切除手術が非常に難しいことになり、それ故に難病とされています。今回、東工大などの研究チームは、コルチゾールが過剰に分泌されるメカニズムを解明しました。それによりますと、患者の遺伝子に異常があり、コルチゾールの分泌を大きく加速する酵素(USP8)が細胞内で産出されることによるとのことです。要するに、USP8酵素の活動を停止、あるいは制限させることができれば、クッシング病の緩和・治療につながるとのことで、今回の発見はこれに道を開くものであるとのことです。
東京工業大学のプレスリリースはこちら
Nature Genetics誌の該当論文のAbstractはこちら

 今週はこの辺で。そういえば、この日記で科学ニュースを紹介し始めてから1年がたちました。毎回チェックしていただいている方々には感謝いたします。
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