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2014年12月11日08:50

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オーガストウォーズ(AVGUST. VOSMOGO)





 南オセチアの独立を巡ってグルジアとロシアが戦争状態となった2008年の事件を背景に、ロシア軍の全面協力で描く迫力の戦争アクション。リアルな戦場で繰り広げられる巨大ロボットのバトル・シーンも見どころ。主演はスヴェトラーナ・イワノーワ、監督はジャニック・フェイジエフ。2008年8月。モスクワに暮らすシングルマザーのクセーニアは、南オセチアで平和維持軍の任務につく元夫ザウールに“息子にもこの自然を味わわせてやりたい”と頼まれ、幼いチョーマを彼に預ける。ところがその直後、グルジア軍が侵攻し、ロシア軍との戦闘が始まる。チョーマの身を案じたクセーニアは、危険を顧みず自らチョーマを救い出すべく最前線へと向かうのだったが…。(tsutaya discas ウェブサイトより)





 久しぶりにロシア映画。いや〜堪能しました。大阪でも単館上映で、評判は聞きつつもなかなか見に行けず、惜しくも逃してしまった映画でした。見れてよかった。

私、この「オーガスト・ウォー」が本当にあったこと、知りませんでした。無知な自分が恥ずかしい。原題は「8月8日」という意味らしいです。

最初に断っておきますが、いろんな紹介で、まるで本作がロボット映画のような説明がなされていますが、そんなことはありません。ロシア軍が実際に全面協力したという戦闘場面はかなりリアルで、ゲームのようなロボットたちは、すべて少年の空想・現実逃避であり、出てくる場面も限られています。

冒頭、「あれ、映画を間違ったかな」と思うような悪のロボと少年(コスモボーイ)の戦いが数分間にわたって描かれます。コスモボーイには人型のロボットが味方に付いていて、大事なエネルギーを守るため共闘しています。しかし、ここぞという時に難しくて長ったらしいおなじないを唱え、それによって正義のチームは勝つのです。「実力じゃないのか」という屁理屈は言わずに見ていると、それは少年が大好きな舞台劇をゲームのように空想していたものだとわかります。

この場面、少年は大好きで、おまじないとともに動画をママに送ったりしています。

しかし、ママは最近離婚したシングルマザーなのですが、まだまだ若くて美しく、目下新しい恋人に夢中です。息子が送った動画より、彼とお出かけすることで頭がいっぱ〜い。いろいろあって現実逃避を重ねている少年が新恋人になつくはずはなく、内心「面倒くさいなぁ」と思っています。

と、そこへ元夫から「こちらで息子と休暇を過ごしたい。両親もいるし、平和だよ」と連絡が入ります。彼は南オセチアで平和維持軍の任務に就いている軍人で、本当はそんなところ危険なのかもしれませんが、実際には「危ない、危ない」と言われ続けて、なにもなく来ているのが現状で、誰もが「ま、いっか」と思える感じです。

いいタイミングとばかりに息子を預けちゃったママ。彼とルンルン・・・と思いきや、グルジア軍が南オセチアに進行。ロシア軍との間に激しい戦闘が始まってしまいます。えっ!アセる彼女を尻目に、新恋人がいけすかない奴だってことが判明。ここは「恋人たちの予感」の露骨なパロディーで、笑えます。確か「恋人たち・・・」のDVDもママの部屋に置いてあったと思う。

ともかく、母は必死です。息子を助けなければ!取り戻さなければ!すぐさま元夫の赴任地へと出発します。

しかし、核心に近づくに従ってリアルに戦場。ヒラヒラのワンピースで膝小僧を見せていたママも、乗っていたバスが爆撃され、大方は亡くなってしまい、自分も怪我を負ったあたりから、顔つきが変わってきます。

それでも息子を助けなければ!そこまで行ってくれるバスやタクシーがなければ歩いてでも。

片や、少年。パパとパパの両親とともに避難しようとした途端、目の前に敵の戦車が。平和維持軍のマークを見せるも、相手にとってはどうでもよかったようで、あっさり撃たれてしまいます。皆の機転で車を降りていたボクだけが助かります。子供にはつらすぎる光景。こんなとき、パパは人型正義ロボットに変身した後、やられます。

祖父母の家に一人で隠れる少年。

一方、前線の軍人かジャーナリストしか行かないようなところへも、母は突き進んでいきます。必要とあらば、ジャーナリストのパスを盗んででも。また、彼女の必死な姿とその美しさに、協力してくれる人たちが必ず現れます。今ではワンピースの下にジーンズをはいた母は、屈強な軍人に守られながら、そして敵軍の射撃や奇襲を一緒に受けながら、それでも進んで行きます。

母は強し、と言いますが、いやいやどうして。軍人さんたちがみな親切ですね。この辺が、ハリウッドではなくてロシア映画なのでしょうか。普通、というか、今まで見た映画の経験から言うと、どんな理由があれ、こういう最前線に素人の若い女性なんて、絶対ダメだと思うんですよ。はっきり言って足手まといでしょうし。

でも、軍の男たちはみな母親思いで、危険な状況の時に電話があっても、それが母なら出るし、安心させる言葉を並べているのです。親孝行なのね、本当に。お国柄かもしれませんが。

目的地までの行程が長いのです。あと数キロなのに、敵軍がうじゃうじゃいて進めない。戦車と歩兵と斥候兵が協力し合ってちょっとづつ進むのです。戦車って、実際は周りが見えづらいから、ああやって斥候兵から指示をもらって撃つのね。知らなかった。

少年の祖父母の家の周りも爆撃されます。少年も頭、側頭部を撃たれました!かすめただけでしょうか。よくわかりません。でも、かなりな負傷です。お母さん、早く!

とにかく、戦闘場面が長い長い。「主人公はまだ助からないのか」と、ハリウッド大作に慣れた私なんかは手に汗握るわけです。実際に戦争に行った経験はないので、私に「リアルだった」と言うだけの知識はないのですが、とにかく主人公もボロボロになってゆきます。

しまいには軍を抜け出し、単身で走って祖父母宅へ行ってしまいます。そして、あろうことか敵軍のジープを盗んで負傷した息子を乗せ、突っ切ろうとします。この辺のカーチェイスは、ちょっとあり得ないかな。でも、実際に”火事場の馬鹿力”が出るのかもね。

もちろん、逃げ切ったように見えても、やっぱり敵の軍人に止められてしまいます。しかし、負傷した少年と必死の形相の母親、そして「あなたの母親だって同じことをするわ」という彼女の言葉に、軍人さんはつい「行ける範囲のところまで」彼女を乗せて行ってあげてしまいます。母の愛に敵味方はないのです。

そこからは、か細い体で少年を抱き上げたまま、延々と歩く母。そうこうしている間に、戦争はいったん停止。次の場面では、病床で意識を取り戻した少年が映ります。よかったね。

しかし、主人公は助かったけれど、戦争映画はやっぱりつらいです。未来ある若い青年たちの、何人が亡くなったでしょう。敵であろうと味方であろうと、誰かの息子であり、父親であることに変わりはない。こんな争い、一体だれが得をするのでしょうか。悲しすぎます。

どうして人は、歴史から学ばないのか。これだけ戦争映画も作られているのに。
 
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