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2014年10月29日11:33

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イタリア旅行記その2

さて、目を休める日を挟んで間が空きましたが、(たいして休めてないとか置いといて)自分のための旅行日記再開します。ベニス、ふつかめ。

2月からダイエットを始めて一日2食を守ってきたわたしですが
そもそもがイタリアには少しはましな服が着ていきたかったからだし、あちらでは3食安心して食べられる体型にしておきたかったから。
もう11キロ落としたので、この際ダイエット中止!あちらのものバンバン食べるぞと決心してました。
とはいっても、旅の最初は緊張で、途中は疲れで食欲は落ちるものですよね。それにいきなり高カロリー食だと胃がびっくりするかもしれないし。
ということで、旅の達人(ぶっちゃけ娘ですが)のご意見を取り入れて、イタリアで滞在する各都市の「スーパーマーケット地図」をプリントアウトしていったのです。これはほんとに、大いに役立ちました。
大体ホテルはミニキッチンがついてたりするゲストハウスやB&B的なところを選んだので(ベニスとフィエーゾレは違うけど)
果物やチーズ、野菜やハムを買って、自分なりの朝食や昼食をとるのも楽しみの一つでした。
ということで、まずはおさんぽがてらホテル近くのスーパーへ。

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当たり前だけど、どこを歩いてもこの風景。広場から広場へと道は川をまたいで迷路のようにつながり、その間をつなぐのは橋と橋と橋。
ヴェネツィアは「潟」の上に作られた人工都市です。網目のようにたくさんの川が流れているともいえるし、見方を変えれば、100以上の島々が、およそ400の橋と150をこえる大小の運河で結ばれているともいえます。川と見えるものは、建物が揃えて建てられた間に挟まれて細くなった「潟」なのです。
当然、救急車は救急挺だし、消防車は消防艇だし、霊柩車は霊柩艇。商品や物資の運び込みも船で、建物に直接つけられた階段から。積み下ろしはクレーンがあるでもなく人力なので、結構大変そう。なにしろ、建物がすべて、「水から生えてる」んですから。

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そして石造りの橋はみなアーチ形です。当然階段の上り下りは必須で、ベビーカーやスーツケースはとても大変。だから、運河のすぐそばのホテルはとても人気が高いのです。
すべてが時の過ぎゆくままに剥がれ、朽ち、おそらく何百年も昔と同じ風景と同じ空気が横たわっている、そんな風情。いちど破壊されてから再生した、新しいものは何でも飲み込む東京という都市からきた人間には、タイムマシンで訪れたような風景です。

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これはレストランのショウウインドウなんだけど、鮮魚が綺麗!
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橋の袂のスイーツ屋さん。ドーナツ型のお菓子が目立ちました。
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さて、小さめのスーパー(coop)へたどり着きました。
うん、おいしそう。緑の固そうなトマト、ベリー類の豊富さ、ワイン棚の充実度、ハムとチーズの多さ……初めて訪れる街のスーパーはやはり商品棚見るだけでもワクワクする場所です。こちらのスーパーはどこもそうなんだけど、スーパーかごには長い取っ手がついていて、床を引きずっていくようになってました。
買ったものは水と青いトマトとジュースと……あと……

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「GINZA寿司」

いきなりの日本食に負けた!だって疲れてたんだもん。優しいものが食べたかったんだもん。
巻物中心なのにこれで700円近くする!1ユーロ150円ぐらいだったしなあ。
でも現地のものだってもちろん食べたい。なので、お寿司はおやつということで、近くのバルでオープンサンド(チケッティ)をつまみました。コーヒーはもちろん、エスプレッソ。

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行きかう人々を眺めながらの昼食は、やたらおいしかった。やはり土地の空気の中で食べるご当地食だからかな。ベニス名物、バッカラ・マンテカート(オリーブオイル、ガーリック、パセリを使った干し鱈のペースト)を乗せた左上のチケッティが美味珍味でした。
さて、ベニスと言えばベニスに死す、マーラーの交響曲第五番アダージェット。
あのゆったりした音楽を脳内BGMにまずサンマルコ広場に向かったんだけど……
一番の大誤算は、とにかく観光客が、それも団体さんが多かったこと、(旗を立てて行進してる東洋系の大人数ツアーが思いのほか多かった)そして日射しが思いのほかきつかったこと!
リアルト橋の上もため息橋を臨むスポットも広場も人ひと人でいっぱい。そしてとにかく、あっつい。

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押し合いへし合いの観光客の群れは、観光スポットというと波打つように押し寄せて記念写真を撮り、人がどくと我先にその場所に陣取ってカメラにポーズをとる、その順番待ち。
両方大嫌いなわたしはあっという間にしおしおと生気を奪われてしまいました。

風景より歴史遺産より、『人負け』した自分が情けのうございます。
何であんなに人が多かったんだろ?
でも、サンマルコ寺院の柱の色合いにはうっとりでした。色大理石の取り合わせが何とも美しい……

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何もかもすみずみまで壮麗で華麗。これは鐘楼の入り口。
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でも、人で消耗した体と心に、歴史と文化の粋を集めたこういう建物は、なんか、背負いきれないのよね……元気回復せねば……

早々に、ヴァポレット(水上バス)でトルチエッロ島へ。

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 ヴァポレットは路線バスと通勤電車をいっしょくたにしたような庶民の足で、潟であるベネチアとその周囲の島から島へ人を運ぶ重要な交通機関なのです。路線バスみたいにルートも停車島も細かく分かれていて、間違って乗ると訳のわからない遠くの島に連れていかれてしまう。
これもいつ乗っても満員で、乗降口に渡された簡単な鎖から、詰め込まれた人が落ちそうになっていたりする始末。うう、どこもかしこも人でいっぱいだー!
アドリア海に出ると、ありとあらゆる船が行きかっているのが分かります。海外からの豪華客船、モーターボート、ゴンドラ、乗り合い水上バス……

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潟に打ち付けた丸太の杭を土台にした人口島が、ベネチア本島の周りにたくさん散らばっているのが次々に目に入ります。
島はそれぞれ固有の役目を持っていて、丸ごと墓地だったり、公園島であったり、修道院のみが建っていたり。そしてたいていの島はぐるりと塀に囲まれてます。

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用のなくなった島や住む人のいなくなった島は塀ごと朽ち果ててゆくだけ。

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かつて海洋交易国として栄えたベネチアも、大航海時代を経て貿易の拠点としての価値がなくなると、あとは観光と祭事とカーニバルの島として、かつての遺産を乗せて生きてゆくだけの島となり、年々わずかずつ沈下しているといいます。いずれこのうち捨てられた島々のように、ベネチア自体が沈み込むときが来るんでしょうか……

さて、目指すトレチェッロ島は、ダンナがベネチアに行ったらぜひここに、と切望していた島です。住人はおらず、レストランと保養施設と古い教会があるだけですが、その教会に、イタリア文学者である須賀敦子さんが、著書「地図のない旅」で賞賛した聖母のモザイク画があるそうで。
船を降りて、川添いの一本道をてくてくと歩きます。もちろんいるのは観光客だけ、人はそう多くありません。
まず見えてくるのがサンタ・フォスカ教会。その左隣にある、鐘楼つきの大きな建物が
サンタマリアアッスンタ聖堂。(ここらあたり当の旦那が疲れててとる気がなくて写真なし)
バジリカ型と呼ばれる長方形のがらんとした建物の中ほどに二列に円柱が並び、空間は右、中央、左と三つに別れています。
そして 中央奥のドーム型の天井には、イエスを抱いた聖母マリアが、足もとに12使徒を従えて大きく描かれていました。(聖堂内撮影禁止なのでこれも画像なし!)、
失意の中ここを訪れた須賀敦子さんはこの聖母のモザイク画に心打たれ、
「もうこれだけでいい。眠くなるような安心感と、あちらに連れていかれそうな畏怖を感じる……」と描写していました。
聖母は、悲しみや失意にしずむ人ほど魂を奪われそうな、厳しく静謐で崇高なまなざしをしていました。優しさとは少し色の違う、黄泉と現世との境目にあるもののような遠い遠い永遠のまなざし。
人けの少ないしんとしたこの聖堂で、わたしはやっと、自分で息ができて、時の中に沈みこもうとするベネチアのまなざしに出逢たような気がしたのです。

青い空、赤い柘榴、金色の地の上にすっくと立つ悠久のまなざしの聖母マリア。教会の裏に並んでいた糸杉の影のベンチに座って黙って過ごしたひととき、売店で遊んでいた二匹の犬と、一匹の猫。

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トルチェッロは、観光客の波から離れて、やっと旅情緒を味わった島でありました。

船でベネチアに戻り、夕暮れを迎える前、またサンマルコ広場を通ります。やっと人波が途切れてきた。
街を見下ろせるサンマルコ寺院の鐘楼に上ってみました。

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きっとなん百年も変わっていないこの風景。

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こんな空気の中で暮らす人々の感性は、どういう方向に育っていくのだろう。前か後ろか、それとも……
なことを考えていたら、いきなり頭上にぶら下がっていた巨大な鐘ががらーんがらーんと鳴りはじめて、隣でパパに抱かれていた幼い女の子が号泣。
いや、もんのすごい音量でしたが、あれが毎日ベネチアの町中に鳴り響いていることを思うと、いいものを近くで聞かせてもらったなあと。

そしてそれから訪れるシエナで、フィレンツェで、フィエーゾレで、わたしは毎日早朝、同じ音色に眠りを覚まされることになるのです。イタリアは街でも村でも、とにかく鐘の音が時計代わりです。

ちなみに、スーパーで買った緑のトマトは、ぎっしりトマト本来の味が詰まっていてほんとに美味だった!目が覚めるような味でした。以後私はトマト中毒になり、常食はトマトのパスタ、トマトのピザ、おやつは買ってきたトマト、とトマト食一筋になるのです。
そしてGINZA寿司。恐る恐る買ったこれが思わぬ拾いもので、シャリの味がいい。ごはんもかたくなっていないし、サーモンも美味。少なくとも日本のコンビ二寿司には勝ってました。
ダメだったのがディナーに選んだレストラン。ホテル近くの、いかにも観光客向けと言った感じの店だったんだけど、おざなりな料理で、トマトのパスタもマルゲリータピザ(バジルもなし!)も安っぽい味。ベニスでおいしいものに出逢うのはほんとに難しいと聞いたけど、やはり満員の観光客に恵まれてると、味は育たないってことかしらー。

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