mixiユーザー(id:15845955)

2014年10月18日09:55

94 view

ベニスで死にそう イタリア旅行記その1

13日にイタリアから帰国してからずっと時差ぼけです。
でも不眠症が治ったかな。
いつでもどこでもいきなり眠れる。猫が踏んでも起きない!
目が覚めてる間はたくさんのお洗濯ものと猫関係のお掃除と、撮りすぎた写真の整理ばっかりしてたもので、なかなか旅行記が書けません。
実は来週の月曜から入院して左目の手術しなきゃならないんです。
退院は23日、でも目のほうはどうなってるかわからないからなー。
ここは決心していま書けるだけ書いておくことにします。これはもう、ほとんど自分の日記代わりなので、細かすぎる部分はご容赦を。
イタリア旅行を計画なさってる方はどうぞ参考にできるところはしてくださいね。

わたしは今回、今までになく飛行機恐怖症をこじらせていてそれが一番の恐怖だったわけですが、
結論から言って、精神安定剤と酔い止めとワインで無理やり乗り切りました。
でも、紛争地域(ウクライナ)を避けて航路が南回りに変更されてるので、本来13時間の飛行時間が15時間もかかったんでございます。偏西風とか向い風とかいろいろあるらしいけど詳しくは知りません。
15時間。これはもう寝ても起きても食べても寝ても起きてもまだまだまだまだ飛んでるという閉所地獄です。15時間も気絶させてくれる薬なんてないしトイレにはいかなきゃならないし機内食も出て来るし。
で、乗ったのはアリタリア航空なんですが、これがねえ……
フライトアテンダントはほぼ全員男性。それはいいんだけど、まったく愛想なし。なんか全員が、テルマエロマエのルシウスみたいにでかくてむっつりしてるんです。にこりともせず必要最低限の配膳を粛々とこなし、機内放送も最小限で、なまりがひどくてよく聞き取れない。機内食はというと、ラザニアがレンジかけすぎて固くなってるし、味はファミレスのお惣菜のちょっと下ぐらい。パンは画学生が消しゴム代わりに使うやつみたいに固い。量も全体に少な目。
でも、今揺れ動いてる世界のあちこちの不幸と貧しい子供たちの境遇を思うと、安全な鉄の箱に閉じ込められて強制的にごはんが運ばれてくるなんてほんとに恵まれてると思わねば。でも頼むからなんちゃら国のテロリストがハイジャックなんて企んでませんように、などと祈りながら、ワインと薬のブレンドで半覚醒状態でベネチア空港に着きました。
毎回毎回驚くわたくし。なんでいつも生きて到着できるんだろう。なんであんな重いものが羽根があるだけで延々と空中を(だから紙飛行機じゃないって)

成田を出発したのが日本時間午後12時半、ベネチア着が現地時間で午後8時半。時差は7時間です。

意外だったこと。ベネチア空港には飲み物の自動販売機があります。熱いコーヒーだって飲めるのです。そういえば大きな鉄道の駅にはパニーニの自動販売機もありました。さすがイタリア。
多くの国際空港がそうであるように、ベネチアの空港も海のすぐ近くです。水上タクシーでベネチア本島に入ることになっていて、予約もしてあったんだけど、空港のデスクで予約票を見せたら、ブロンドのおばちゃん英語でペラペラまくしたてた後両手を上げて拒否。
さあのっけからこれだイタリア。ダンナが「なんて言ってんの」とこちらを振り向いてうろたえてる。(彼はイタリアの日常会話の勉強はみっちりしてたけど英語は全然ダメ)
「これはあなたの予約票じゃない。名前が違う。通用しない」
なんか名前の綴りが違ったらしい。いいからホテルに電話して日本から迎えのボートごと予約してあることを確かめてくれと抗議したら、おばちゃんめんどくさそうにホテルに電話、わかったじきに船が来るから12番乗り場に行って待っててくれ、ということで、暗い船着き場までスーツケースをがらがら引いて向かいました。12番てどこよ。ずらりと並んだ乗り場の番号を確かめ、(とにかく暗い!)待っていたらちゃんと水上タクシーが来てくれた。よかった、野宿せずに済みそうだぞ。とにかく目指す水の都ベネチアは海の向こうなんだもん。
水上タクシーはちょっと大型のモーターボートで、船頭は陽気な兄ちゃん。ようこそ気を付けてマダム、とにっこり手を取られるだけで、なんかほっとします。今まであんまりこの国の人の笑顔にあってないからなー。グラッツェ。
ボートはすごい勢いで真っ暗な海を突き進みます。飲みすぎた加山雄三がご機嫌でフルスロットルにしてるような感じで、兄ちゃんは歌うたったりしていい調子なんだけど、速い、速すぎるって!
結構うねりのあるアドリア海の三角波の上を飛び上がるようにしてたっしんたっしん乗り越えるたびにこっちはびしょびしょ。
13回も劇場で見た名画「^ベニスに死す」ではアッシェンバッハ氏は優雅な客船とゴンドラでゆらりゆらりとリド島に渡っていたのに。あのイメージから抜けきれないわたしは、飛行機は落ちなかったけれどベニスで死にそう、と半分覚悟したのでした。

海から入るベネチアの夜景は情緒があって素晴らしいと聞いてきたけれど、不景気なのかライトアップしてある建物なんてほとんどなく、街灯の灯りぐらいしか見えませんでした。島に着いた船はそのままスピードを落として細い運河に入ります。何しろベネチア本島は運河が道。腐れかけたような建物が水から生えてる寂しい夜景に、ああここがベニスだわと初めて実感したのでした。
小運河の船着き場で下ろされ、あとは歩いて右行って左行ってすぐだよと船頭さんは教えてくれたんだけど、夜のベネチアはまさに迷路なんです。どこを歩いても重たい川の水の匂いがする。沈みゆく建物の土台の匂いがする。なんもわからず暗い石畳の道をうろうろしてた間はさすがに不安だったけど、ホテルがサンタマリアファルモーザ広場という大きな広場に面していたこともあり、広場に出たら割とすぐわかりました。
イタリアのホテルは、最後に二泊した五つ星ホテルを除いて、全部私が選びました。
コンセプトは、その国のその地域らしい、歴史のある建物、あるいは一般家庭の部屋(ゲストハウスとかB&B、アパート)であること。ツアーで使われている系のホテルは使わないこと。
ベニスではHOTEL PALLAZO VITTURIという、古い邸宅を改造してホテルにしてるタイプのところを選びました。
小奇麗なレセプションには見事な白百合が活けてあり、このホテルに帰る時はいつもむせ返るような百合の香りに迎えられました。
「このホテルで一番フレスコ画が美しい部屋をご用意しました」と胸を張るオーナー。部屋をグレードアップしてくれていたんです。なんてありがたい。
部屋までの空間もゆとりがあり、かつての主人の暮らしぶりが思われる豪奢さです。何もかもが古く、ホンモノで、さびれていて、美しい。

フォト

(お昼の邸内)

オーナーのいった通り、部屋の壁には美しいフレスコ画が直接描いてありました。磨き上げられた床のタイルは美しく、窓のレースも灯りも繊細で、でも石壁はあちこち変色し剥がれ崩れて……
これはあれだ、昔訪れたポンペイの遺跡の貴族の館そっくり!
なんて素敵。あのとき、この館を復元して私を住まわせてくれないかと思った、それが今実現しているそんな感じ。

フォト


フォト

(これは鏡じゃなくて、廊下との間に空いた窓です)

部屋と部屋を仕切る壁にあいた窓、広い廊下に置いてある古いデスク、クロゼットルーム、大きなバスタブを、初めての家に忍び込んだ猫みたいに鼻をクンクンさせながら見て回ったのち、空港で買っておいたウィスキーをあおって「お風呂はあした!」と宣言してわたくしはばったりとベッドに倒れたのでした。

まーその夜の夢見の悪かったこと。近来まれにみる悪夢が連続してやってきたんです。
まずは、ドアをだんだんと叩いて、変な家族が大挙して部屋に押し掛けて来た。
「自分たちの部屋にはかぎがかかってて入れない。ここに泊めて」
両親とばーちゃんと根性の悪そうなバンビーノ三人、男、男、女の三兄弟。特に10歳ぐらいのブロンドの女の子がやりたい放題で、「あたしおうちでは裸で過ごすことにしてるの」と服を脱いであっという間に素っ裸に。
ダンナの目をふさぎつつ、「頼むから出て行って。ここはあなたの家じゃない。服を着て!」とか言ってる間にまた別の家族が押し入ってくる。
なにひとつ役に立たず黙っているだけの旦那に業を煮やして、「あたし別のホテル探してくるから!」と真夜中の街に飛び出す自分。明かりのついてる宿を探していたら、「シニョーラ、部屋をお探しならいいところがあるよ」と怪しい客引きにひっかかってしまい……
なんか暗いところに連れ込まれてキャーキャー言いながら逃げ出し、ほうほうの体でホテルの部屋に戻ったら、今度は家族が誰もいなくて自分のベッドの脇に真っ黒な少女の幽霊が立っている……
あまりの悪夢に目が覚め、疲れて眠るとまた別の悪夢が。
それを何度繰り返したことか……
朝起きたら、寝る前よりもさらにくたくたになってました……
「夕べ凄くうなされてたよ。でも気の毒だから起こさなかった」とダンナにいわれて、一応ありがとうごめんなさいとは言ったものの、起こしてくれたほうが楽だったわ。
でもダンナもさぞかし迷惑だったろうなあ……
そして朝食用のルームにはいったら!
なんと、先に来て隣のテーブルに座ってるご一家が、あの悪夢の中で私たちの部屋を占領した家族とそっくりなんです。
家族構成も、顔も、なにもかも。
優しそうだけどバンビーノ放置主義のご両親、行儀の悪い三人の子ども。
14歳ぐらいのお兄ちゃんと10歳ぐらいの女の子と5歳ぐらいの男の子。
と、おばあちゃん。
特にブロンドの女の子がほんとにかわくいくて、夢の少女とそっくりで、そして行儀が悪く、空いてる席から席へ移動し、歌って踊ってやりたい放題。そしてわたしの顔を何度もじっと見つめてくる。
一応にっこり笑っておいたけど、あっちはあっちで、部屋から出て行かない東洋人の夢でも見ていたのかな? などと思ったのでした。

さて、ベニス一日分でこの量になっちゃった。いずれまた続きを書きます。

フォト

(朝見たホテルの外観)


4 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2014年10月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031