ノーベル平和賞と朝日新聞と御嶽山（おんたけさん）と富士山と

今年のノーベル平和賞が、パキスタンの美少女マララ・ユスフザイちゃんに決まりました。

一時は、「憲法第九条を守った日本人」に与えられるなどとデマも飛びましたので心配しましたが、妥当な結果になって胸をなで下ろしました。

所謂「護憲派」にノーベル賞というお墨付きを与えるような結果になっては嫌だと思っていましたから。

こんなことを書くと、いかにも私が産経新聞の愛読者のように思う人がいるかもしれませんが、実家ではずっと朝日新聞をとっていましたし、実家を出てからもかれこれ２５年、ずっと朝日新聞をとっています。

深い理由はありませんが、読売新聞は勧誘員が下品で乱暴なので嫌。産経新聞と日経新聞は、時々頼んでもいないのに勝手に郵便受けにサンプルを放り込んでいくので嫌。

毎日新聞は、春の選抜高校野球以外に存在感がないのでよくわかりません。

朝日新聞は、上品ぶっていて頭を下げて謝ることを知らず、輿論（よろん）の誘導が巧みで狡猾（こうかつ）で、「なるほど大新聞というのは、こうやって人々の心を操るものか」とよく教えてくれるので、誠に有益です。

『フジ三太郎』の後を受けた『となりの山田君』（現在の『ののちゃん』）が、他のどの新聞漫画と比べても出色なのも朝日をとっている理由のひとつです。

こう書くと、何も取り柄がないような朝日新聞ですが、先日木曾御嶽山（きそおんたけさん）の噴火について書かれたコラム「天声人語」では、「言い得て妙」というべき一文がありました。

曰はく、「火山一生を人間にたとえれば、その噴火はくしゃみのようなもの」

確かにそうです。人間がいつくしゃみをするのか、そんなことをあらかじめ予知しろと言う方が無理。

「噴火の兆候がでた時点でなんらかの対策を」なんていうことも、「噴火」を「くしゃみ」に置き換えてみれば、暴論です。

日本列島は火山列島です。その恩恵として、温泉卵を食べ、温泉につかり、地熱発電をしています。

御嶽山が噴火の可能性がある火山だとわかっていながらそんな場所を観光地として売り出したのはおかしい、なんぞと馬鹿を言う者がいるようですが、そんな連中こそおかしい。

火山には恩恵と恐ろしさの両面があることは当然であり、たまの噴火の時にだけ鬼の首を取ったように何かを批判せずにはいられない。そんな連中には朝日新聞を難詰する資格はありません。


今回の噴火を受けて、気象庁のホームページに「各火山の活動情報」というのが、本日（１０月１０日）からできました（注）。

ありがたいことです。

ですが、噴火は「くしゃみ」です。いつどの火山でおこるかは、実は誰にも予知はできません。今後は、登山の「自己責任論」が強まって、来シーズンからは富士山の登山者が激減することを願います。

連れて行ってもらわなくては山に行けない人々が山に登らないようになれば、それに伴う商売をしている人には大打撃ですが、山で死ぬ人はぐっと少なくなりますよ。

ルックザックも靴も雨具も業者から前日までに（ひどいのは当日の朝）借りた物。地図はドライブインでただで貰ったものを持っていればいい方。

「富士山に登ってきたんだ」

「へぇ、どこの登山口から？」

「わかんない」

「どこに泊まったの？」

「山小屋」

「なんていう山小屋？」

「わかんない」

「下山はどっちに降りたの」

「わかんない。連れて行ってもらったから」

御嶽山噴火の話から逸れてしまいましたけれど、こういう人を山に登らせるために商売するのは、もうやめにしましょう。


（注）気象庁ＨＰ「各火山の活動状況」アドレスは以下の通り。
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/volcano.html