箱根登山鉄道バス、金時神社入口停留所に到着。
ここが、金時山に向かう登山道の一つの入り口である。
けれども横に舗装された細い林道があったので、国道から外れ、途中まで行ってみる。
しかし、この道では頂上には行けないようなので引き返す。
途中で登山客が行き来している、登山道と交差している所はあった。
米内穂豊「金太郎(新・講談社の絵本)」(講談社)
(
http://www.amazon.co.jp/%E9%87%91%E5%A4%AA%E9%83%8E-%E6%96%B0%E3%83%BB%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E3%81%AE%E7%B5%B5%E6%9C%AC-%E7%B1%B3%E5%86%85-%E7%A9%82%E8%B1%8A/dp/4061482599 )
ゴルフ・ハウスが駐車場を、一日500円で開放しているので停める。
ここに来て、店長は、丸美先生の姿を見て、初めて気が付いたようである。
「金時、舐めてるのですか」
近所のコンビニエンス・ストアに行くような、スカート姿だったのである。
構わず行く事になったが、そう言う店長は、何も荷物を持ち出さなかった。
まずは、昔話の「金太郎」縁の、金時神社のお参りである。
鳥居の左横に鉞(まさかり)があるので、記念写真を写す。
後に調べると、反対側には土俵もあったようである。
お参りも済ませて、樹木の中の、岩がごろごろ転がる登山道を行く。
さっき、林道から見た時もそうだったが、思いの外、人が多い。
昨年、平成24年12月2日(日)の大山ハイキングの時のように、どんどん人が追い越して行く。
「こんにちは」
「こんにちは」
皆、山の挨拶をする。
ガイドをしているという、年輩の夫婦も追い付いた。
「急斜面で両手を付く所もあるから、スカート姿は大変ですよ」
呆れたように言われてしまった。
山小屋に行ってから知ったが、この人のように毎日登っている人もいるのだ。
女優の宮本信子さんみたいな奥様にも言われてしまった。
「後ろから見えますよ」
「それから、あなたたち、ちゃんと水を持ってますか」
手ぶらの店長が口ごもっていたので、
「こちらに、3本あります」
丸美先生が答える。
昨日、スポーツ・ドリンクが安売りされていたのだ。
それから、ガイド氏は、左手にある直径何メートルもありそうな岩を指差し、
「あれは、金太郎が遊んだ金時手鞠石です」
そう教えてくれると、さっさと先に行ってしまった。
それにしても、この一行は休み過ぎである。
少し歩いて休み、少し歩いて休み、全然進まない。
さっき車で来た林道と交差する所に出た。
「ここで待ってますから、皆さんで上まで行って下さい」
こんな弱音を吐く人がいる。
見ると、この先は急坂になっている。
それでも、進む。
登山客がまとまって休んでいる所があった。
今度は、直径何メートルもありそうな岩が真っ二つに割れていた。
金太郎が割ったのだろうか。
立て札によると、金時宿り石と呼ぶのだそうだ。
なぜか、つっかえ棒をするように、たくさんの小枝が立て掛けてある。
「皆さんで上まで行って下さい」
ここでも弱音を吐かれてしまった。
実は、この人、昨年、平成24年12月2日(日)の大山ハイキングの時に集合時間になっても現れず、電話の電源を切ってしまい、連絡も絶ってしまった人である。
ここから、ますます急坂になった。
窪みのような所を進むので、肩の高さの地面から木の根っ子がはみ出ている。
軍手で、根っ子を掴まりながら登る。
大勢の人が掴まるので脂が染み込み、使い込まれた杖の取っ手のように艶(つや)が出ている。
一行の中では、動きに一番ハンデがありそうな筈の、丸美先生が先に行く。
曲がった先の道を見て、
「平らです、平らです」
と、励ます。
広くて邪魔にならない所があれば休む。
ちゃんとした登山姿の別の女子会が、ぞろぞろと追い越しながら、スカート姿の丸美先生を、じろりと睨む。
「あと、どのぐらいなのでしょうね」
「登る時に時計を見ておけば良かったですね」
「コンビニエンス・ストアのレシートの時間を見たら、1時間30分で着く筈なのに、もう2時間も歩いています」
「金時山に登る企画は何度目なんですか」
「今回が初めてなんです」
高山の花は思いの外なく、つつじのような赤い花が、たまにあるだけだった。
今まで樹木の中ばかりを進んでいたが、いきなり切れて、見晴らしの良い所に出た。
後に調べたが、右手の台ケ岳(1045m)と左手の丸岳(1156m)に包まれるように、眼下に仙石原湿生花園が広がっている。
方角としては、南側を向いている。
濃い緑色の所はゴルフ場なのだろうか。
向こうには芦ノ湖が見える。
また樹木の中になり、明神ケ岳(1169m)からの登山道と合流する。
これで、行程の3分の2を進んだ事になる。
もう、標準時間はとっくに過ぎているので、時間は気にしない事にする。
ここからは所々、樹木が切れたので、風景を見ながら休む。
「あの赤い屋根がゴルフ・ハウスですから、あそこから登って来たのですね」
店長が記念撮影をしてくれるが、金時神社の頃の元気さに比べると投げやりである。
霧が少し濃くなって来た。
「ああ、スカートの人だ」
出発した時に出会ったガイド夫婦が頂上まで行き、帰って来る所とすれ違う。
「あと、どのぐらいの時間ですか」
店長が聞くと、
「あと30分だから、35分で登れたら優秀でしょう」
ガイド夫婦が去ると、
「30分だったら、私たちだったら、あと1時間は掛かりますね」
覚悟をして、顔を見合わせた。
頂上の山小屋では麦酒(ビール)が出るのか、自分で持参しているのか、すれ違う人の息がお酒臭くなる。
気分もいいのか、
「もうすぐ頂上ですよ」
爽やかな声で言われてしまう。
ところが、もうすぐどころか、木の根っ子をジャングルジムみたいに掴まりながら登る所に出る。
でも、着く時は、あっけない。
樹木の間に灰緑色の建物が見えたと思ったら山小屋で、登山客でいっぱいの、金時山(1213m)頂上だった。
神奈川県箱根町側には、
金太郎茶屋
(
http://r.tabelog.com/kanagawa/A1410/A141001/14038026/ )
金太郎茶屋のおばさん
(
http://blog.livedoor.jp/morimasa0822/archives/51671646.html )
が、静岡県小山町側には、
元祖 金時茶屋
(
http://r.tabelog.com/shizuoka/A2204/A220402/22016327/ )
恐るべし金時娘
(
http://www.winds-world.com/kaze/kintoki/index.html )
がある。
神奈川県側の金太郎茶屋は比較的新しく、田舎の観光地のお土産屋さん風だが、静岡県側の金時茶屋は、本当に木でできた山小屋である。
小屋の前には、それぞれ木でできたテーブルがある。
風景も見ずに、神奈川県側で、とりあえず休む。
落ち着いたところで、金太郎茶屋で、鉞(マサカリ)カレーうどん(800円)、山菜うどん(600円)、カップ麺(300円)などを頼む。
麦酒(ビール)(700円)を頼んでいる人もいる。
缶ジュースは250円のようである。
登山者名簿も書く。
天井には凧が飾られている。
金太郎茶屋を利用したのは、単に神奈川県側から登って来たからで、静岡県側から登って来たら、金時茶屋の方を利用していただろう。
丼を返すのと同時にゴミを出してしまって、金太郎茶屋おばさんに苦言を呈されたりもしたけど、ゴミは自分で持ち帰った方が良いみたいである。
後日知ったが、来る時に出会ったガイド夫婦のようなボランティア・スタッフが、小屋に飲料水や食材を少しずつ持って来てくれて、ゴミも少しずつ降ろしているようだ。
思った程の観光地価格になっていないのも、ボランティア・スタッフのおかげのようだ。
明るい所なので、ついついコンビニエンス・ストアと同じに考えてしまった。
丸美先生が、余分に持って来たスポーツ・ドリンクを一行で分ける。
この季節だから良かったが、真夏だと足りなかっただろう。
鞄の中にはチョコレートもあるが、何かあった時の非常用なので、食べず、持ち帰る予定である。
丸美先生は携帯ラジオを取り出し、FMラジオ放送を聴く。
他府県や外国からでも届くAM電波と違って、FM電波は山に弱く、普段は山の裏側の放送局は聴けない。
山の頂上だけあって、くっきり聞こえた放送局だけでも、これだけあった。
77.1MHz 放送大学 (東京都)
78.0MHz bay−fm (千葉県)
79.2MHz K−MIX(静岡FM)静岡放送局 (静岡県)
80.0MHz TOKYO−FM(FM東京) (東京都)
80.7MHz NHK−FM千葉放送局 (千葉県)
81.3MHz J−WAVE (東京都)
81.9MHz NHK−FM横浜放送局 (神奈川県)
83.0MHz FM−FUJI(FM富士)坊ヶ峰放送局 (山梨県)
83.8MHz NHK−FM御殿場放送局 (静岡県)
84.7MHz NHK−FM身延放送局 (山梨県)
85.9MHz K−MIX(静岡FM)島田放送局 (静岡県)
86.6MHz K−MIX(静岡FM)沼津・三島放送局(静岡県)
88.8MHz NHK−FM静岡放送局 (静岡県)
同行者は、まさか丸美先生が、こんな事までやっていたとは思わないだろう。
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