社会福祉が成り立つためには「税による富の再分配」機能が必要です。
そうでなければ、「受益者負担」になってしまいます。
それは「負担できない人間は死ね」という発想になりかねません。
生活保護を批判する人の中に
「俺たちが納めた税金を働きもしない奴らが使っている」
みたいなことをいう人がいますが、
それは社会福祉を理解していないか、又は福祉を否定している人です。
「日本には“働かざる者食うべからず”という言葉があるだろう」という人も居ますが、
その言葉は日本人が「お互い助け合って生きている」ということを認識した上での言葉です。
農耕民族である日本人には「助け合い」が根付いていました。
働けない人もいることは承知の上です。
「働けるのに、働かない」=助け合いに参加できるのに意図的に参加しない人に対していう言葉が、
「働かざる者食うべからず」なのです。
現在の労働環境では、「稼働能力」があっても「労働」できないことが悲劇なのです。
さて、今回の石原氏の発言ですが、
>財政的に成り立ちえない高福祉低負担の社会保障制度
このような社会保障制度を作ったのは、自民党です。
そこに石原氏もいたわけです。
たとえば、会社の給料から天引きされる健康保険料と厚生年金保険料ですが、
健康保険料は月額報酬1,175,000円以上は60,318円で上限ですし、
厚生年金保険料は月額報酬605,000円以上は51,974円で上限です。
逆に健康保険料は月額報酬63,000円未満でも2,891円が下限ですし、
厚生年金保険料は月額報酬101,000円未満でも8,215円が下限です。
※いずれも介護保険料の負担のない場合の金額です。
所得税と相続税の最高税率の引き上げが現在議論されていますが、
それを引き下げてきたのも自民党です。
老年者控除を撤廃したり、消費税を導入して、低所得者に負担をさせ、
高所得者を減税してきたのです。
富裕層からの税収を抑えるようになっていますので、税による富の再分配が疎かになります。
低所得者に対する負担には限度がありますので、
結局は低負担にならざるを得ません。
狩猟民族で個人主義のアメリカで、健康保険制度の導入にすったもんだしていましたが、
富裕層からは「俺たちから税金をとってくれ」という発言がでてきていました。
農耕民族で集団主義の日本で、富裕層からそういう声が聞こえなかったのが不思議です。
高福祉高負担を実現するには、税による富の再分配機能が必須です。
それを崩してきたのは「広く浅く」を主張して消費税を導入した以後の自民党政権だったのです。
「広く浅く」ですから、低所得者への課税が強化され、高所得者への課税が軽減されてきました。
つまり「税による富の再分配」が麻痺してしまったのです。
まさにその中にいた石原氏が「高福祉低負担」の責任をを憲法に押しつけるとは言語道断です。
■石原・維新代表「現行憲法は諸悪の根源」
(読売新聞 - 01月19日 20:09)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=20&from=diary&id=2293991
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