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2012年10月02日23:17
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【解説】ポルシェ・グループＢ〜９５９
ＦＩＡのレースレギュレーションが１９８２年に改訂され、グループＡ、Ｂ、Ｃ…と大きく区分が変更になり、モータースポーツの世界は様変わりすることになりました。
とりわけ、ホモロゲーション取得にたった２００台の量産車があれば済むグループＢカテゴリーはレース、ラリーのどちらも賄うカテゴリーとして設定されました。
大半のメーカーがラリー向けのマシンを開発する中、レースに本格的にこのカテゴリーを導入しようといち早く目論んだのはポルシェでした。
最初に公開されたプロトタイプは、１９８３年のフランクフルトショーで公開された『ポルシェ・グループＢ』です。
開口部の少ないすっきりとしたデザインで印象こそ違いますが、基本的な方向性は量産型の９５９とほぼ同じです。
この時点でパワートレインは量産型と同じツインターボエンジンと４ＷＤシステムを採用していました。
量産化と同時にモータースポーツでの本格使用も同時に進行し、まず１９８４年のパリダカールラリーには４ＷＤシステムのテスト用として３．２リッターの自然吸気エンジンを搭載した４ＷＤ仕様の９１１である『９５３』を投入しました。
３台が投入された９５３はレネ・メッジ/ドミニク・ルモイヌ組が総合優勝、ジャッキー・イクス/クロード・ブラッスール組が６位、ロランド・クスモウル/エーリッヒ・レルナー組が２８位と、初陣にして最高の成績を残すことになります。
１９８５年のダカールには３台の９５９が投入されましたが、この年のマシンはいずれも９５９のボディに前年の９５３と同じ９１１カレラ３．２の２２５ｐｓ仕様エンジンを搭載したもので、完成形ではありませんでした。
この年は３台ともリタイヤに終わり、フランクフルトショーでほぼ量産型の９５９が公開されていたにもかかわらず、発売は先送りとなってしまいました。
１９８６年のダカールには量産型９５９と同じハイブリッドクーリング・ツインターボユニットが搭載された正真正銘の９５９を３台投入し、圧倒的なレースを展開。レネ・メッジ/ドミニク・ルモイヌ組が総合優勝、ジャッキー・イクス/クロード・ブラッスール組が２位とワンツーを決め、更にはサポートカーという役割で出走していたロランド・クスモウル/エーリッヒ・レルナー組も６位に入賞を達成、名声を決定的なものにし、これをきっかけにして市販に踏み切られることになります。
量産型９５９とパリダカールラリー仕様の比較です。
ロードクリアランスの差は歴然ですね。
http://
８６年ダカールラリーの様子。
大きなトラブルは全く起きなかったようです。
一方のサーキットレースには『９６１』が投入されました。
１９８６年のルマン２４時間耐久レースに投入された９６１です。
量産型と同じトルクスプリット式の４ＷＤシステムとツインターボエンジンを搭載しています。
クラスはＩＭＳＡ−ＧＴＸで、６台のポルシェ９６２Ｃ／９５６に続いて総合７位で完走を果たしました。
９５９が正式に発売された後の８７年にもルマンに参戦、この時にはワイドボディとなり、カラーリングもロスマンズカラーをまとっています。
しかしレース中のクラッシュが原因で車体後部から出火し、マシンは消失してしまいます。
http://
その時の映像がこちら。
その後、９６１はポルシェ博物館に展示されていましたが、まだ完全なレストアはされていませんでした。
現在では完全にレストアされ、グッドウッドフェスティバルなどでその姿を見せてくれます。
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２０１１年のグッドウッドフェスティバルで走行した時のオンボード映像です。
エンジンは基本的にグループＣカーの９６２Ｃと同じものです。
こうした流れの中で、ＷＲＣにおける死亡事故の多発を受けて１９８６年限りでグループＢの廃止が決定したものの、９５９は高性能４ＷＤスポーツカーとして量産されることになります。
シャシーは９１１ターボのものをベースとし、トルクスプリット方式の４ＷＤシステムとツインターボエンジン、６速マニュアルトランスミッションで構成されたパワートレインを搭載しています。
このトルクスプリット４ＷＤは、日産が１９８９年に発売したＢＮＲ３２型スカイラインＧＴ−Ｒに大きな影響を与えたシステムです。
エンジンは９３５／７７をベースとした２８４９ｃｃの水冷ヘッド／空冷シリンダーを採用した水平対向６気筒ＤＯＨＣ２４バルブツインターボユニットです。
排気量は当時のターボ係数１．４をかけて４リッター以下に収まるように設定されています。
ターボチャージャーはシーケンシャルツインターボで、低回転では１個、４０００ｒｐｍを超えると２個で過給されるようになっています。
最高出力４５０ｐｓ、最大トルク５１．０ｋｇｍを発生します。
６速マニュアルトランスミッションはゲトラグ製で、公式には『Ｇ＋５速』となっています。
Ｇとはゲレンデの略で、名目上はスタックした時の緊急用となっていますが、実際のギヤレシオはそれほど極端に低くなっているわけではなく、スイスにおける騒音規制に適合させるための措置だったようです。
ボディはほとんどが６層ケブラーとエキポシ樹脂による複合材で構成され、フロントフードとドアパネルはアルミ製となっています。
そんなエクステリアとは違って、インテリアはほぼ９１１でした。
快適装備ではエアコンはもちろん装備されていますが、ポルシェの量産車として初めてパワーステアリングとＡＢＳが搭載されました。
サスペンションは前後ともツインダンパーのダブルウィッシュボーンです。
２本のショックアブソーバのうち、１本はコイルオーバータイプの通常のもので、もう一本は車高調整用のダンパーです。
車高調整機構は１５０ｍｍを標準とし１２０ｍｍ、１８０ｍｍの３段階に任意に設定することができます。
１５０ｋｍ／ｈを超えると自動で１２０ｍｍに調整され、乗員や荷物の荷重に関係なく車高を一定に保つセルフレべリング機構も持っています。
ホイールはダンロップが９５９のために開発した『デンロックリム』を採用した専用の１７インチです。
ホイールのサイズはフロントが８Ｊ×１７、リヤが１０Ｊ×１７で、タイヤの空気圧を４輪個別にモニタリングできる内圧警報装置を装備した中空ホイールにもなっています。
デンロック構造とはタイヤがパンクした時にビードがリムから外れにくい構造のことで、タイヤも専用に開発されたダンロップＤ４０とブリヂストンのポテンザＲＥ７１のみとなっています。
タイヤサイズはフロントが２３５／４５ＶＲ１７ＤＬ、リヤが２５５／４０ＶＲ１７ＤＬとなります。
※ＤＬ＝デンロック、現在供給されるタイヤの速度記号は『Ｚ』です。
車載工具の中にはセンターロックナット用のトルクレンチをはじめ、多数の工具が収められていますが、その中にはエアポンプが含まれています。
これは９５９の４ＷＤシステムが前後タイヤの外径差１％を前提に制御されているためで、速やかに空気圧を調整できるようにするためのものでした。
この兼ね合いからタイヤは６０００ｋｍごとの交換が必要となっています。
９５９には上記の快適装備を標準装備する『ツーリング』と、車高調整機構、パワーウインドウ、エアコン、パワーシートなどを廃止して約１００ｋｇ軽量化された『シュポルト』の２タイプが設定されました。
８７年から生産された９５９は、当初２００台限定でしたが、最終的には８８年までに２８３台が生産されました。
☆１９８７ポルシェ９６１車両諸元
全長：４３８０ｍｍ
全幅：１８９０ｍｍ
全高：１２６０ｍｍ
ホイールベース：２３１０ｍｍ
車重：１１７０ｋｇ
エンジン型式：９６１／７０
エンジン形式：水冷ヘッド／空冷シリンダー水平対向６気筒ＤＯＨＣ２４バルブツインターボ
ボア×ストローク：９５．０×６７．０ｍｍ
総排気量：２８４９ｃｃ
圧縮比：９．１
燃料供給装置：ボッシュ・モトロニック
最高出力：６８０ｐｓ／７８００ｒｐｍ
最大トルク：６６．９ｋｇｍ／５０００ｒｐｍ
トランスミッション：６速マニュアル
ステアリング形式：ラック＆ピ二オン
サスペンション：前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ：前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ：前後２８０−６４０／１７ＤＬ
☆１９８７ポルシェ９５９車両諸元
全長：４２６０ｍｍ
全幅：１８４０ｍｍ
全高：１２８０ｍｍ
ホイールベース：２３００ｍｍ
車重：１７７０ｋｇ
エンジン型式：９３５／８２
エンジン形式：水冷ヘッド／空冷シリンダー水平対向６気筒ＤＯＨＣ２４バルブツインターボ
ボア×ストローク：９５．０×６７．０ｍｍ
総排気量：２８４９ｃｃ
圧縮比：８．０
レブリミット：７０００ｒｐｍ
燃料供給装置：ボッシュ・モトロニック
最大過給圧：２．０ｂａｒ
最高出力：４５０ｐｓ／６５００ｒｐｍ
最大トルク：５１．０ｋｇｍ／５５００ｒｐｍ
トランスミッション：６速マニュアル
Ｇ：３．５００
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��１．０３６
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最終減速比：４．１２５
ステアリング形式：ラック＆ピ二オン／パワーアシスト
サスペンション：前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ：前後ベンチレーテッドディスク
(ドリルド、Ｆ３２２ｍｍ径、Ｒ３０４ｍｍ径)
ホイールサイズ：Ｆ８Ｊ×１７、Ｒ１０Ｊ×１７
タイヤサイズ：Ｆ２３５／４５ＶＲ１７ＤＬ、Ｒ２５５／４０ＶＲ１７ＤＬ
これは５年位前に作ったタミヤ１／２４の９５９です。
あえてメタリックレッドにしてあります。
とりわけ、ホモロゲーション取得にたった２００台の量産車があれば済むグループＢカテゴリーはレース、ラリーのどちらも賄うカテゴリーとして設定されました。
大半のメーカーがラリー向けのマシンを開発する中、レースに本格的にこのカテゴリーを導入しようといち早く目論んだのはポルシェでした。
最初に公開されたプロトタイプは、１９８３年のフランクフルトショーで公開された『ポルシェ・グループＢ』です。
開口部の少ないすっきりとしたデザインで印象こそ違いますが、基本的な方向性は量産型の９５９とほぼ同じです。
この時点でパワートレインは量産型と同じツインターボエンジンと４ＷＤシステムを採用していました。
量産化と同時にモータースポーツでの本格使用も同時に進行し、まず１９８４年のパリダカールラリーには４ＷＤシステムのテスト用として３．２リッターの自然吸気エンジンを搭載した４ＷＤ仕様の９１１である『９５３』を投入しました。
３台が投入された９５３はレネ・メッジ/ドミニク・ルモイヌ組が総合優勝、ジャッキー・イクス/クロード・ブラッスール組が６位、ロランド・クスモウル/エーリッヒ・レルナー組が２８位と、初陣にして最高の成績を残すことになります。
１９８５年のダカールには３台の９５９が投入されましたが、この年のマシンはいずれも９５９のボディに前年の９５３と同じ９１１カレラ３．２の２２５ｐｓ仕様エンジンを搭載したもので、完成形ではありませんでした。
この年は３台ともリタイヤに終わり、フランクフルトショーでほぼ量産型の９５９が公開されていたにもかかわらず、発売は先送りとなってしまいました。
１９８６年のダカールには量産型９５９と同じハイブリッドクーリング・ツインターボユニットが搭載された正真正銘の９５９を３台投入し、圧倒的なレースを展開。レネ・メッジ/ドミニク・ルモイヌ組が総合優勝、ジャッキー・イクス/クロード・ブラッスール組が２位とワンツーを決め、更にはサポートカーという役割で出走していたロランド・クスモウル/エーリッヒ・レルナー組も６位に入賞を達成、名声を決定的なものにし、これをきっかけにして市販に踏み切られることになります。
量産型９５９とパリダカールラリー仕様の比較です。
ロードクリアランスの差は歴然ですね。
http://
８６年ダカールラリーの様子。
大きなトラブルは全く起きなかったようです。
一方のサーキットレースには『９６１』が投入されました。
１９８６年のルマン２４時間耐久レースに投入された９６１です。
量産型と同じトルクスプリット式の４ＷＤシステムとツインターボエンジンを搭載しています。
クラスはＩＭＳＡ−ＧＴＸで、６台のポルシェ９６２Ｃ／９５６に続いて総合７位で完走を果たしました。
９５９が正式に発売された後の８７年にもルマンに参戦、この時にはワイドボディとなり、カラーリングもロスマンズカラーをまとっています。
しかしレース中のクラッシュが原因で車体後部から出火し、マシンは消失してしまいます。
http://
その時の映像がこちら。
その後、９６１はポルシェ博物館に展示されていましたが、まだ完全なレストアはされていませんでした。
現在では完全にレストアされ、グッドウッドフェスティバルなどでその姿を見せてくれます。
https:/
２０１１年のグッドウッドフェスティバルで走行した時のオンボード映像です。
エンジンは基本的にグループＣカーの９６２Ｃと同じものです。
こうした流れの中で、ＷＲＣにおける死亡事故の多発を受けて１９８６年限りでグループＢの廃止が決定したものの、９５９は高性能４ＷＤスポーツカーとして量産されることになります。
シャシーは９１１ターボのものをベースとし、トルクスプリット方式の４ＷＤシステムとツインターボエンジン、６速マニュアルトランスミッションで構成されたパワートレインを搭載しています。
このトルクスプリット４ＷＤは、日産が１９８９年に発売したＢＮＲ３２型スカイラインＧＴ−Ｒに大きな影響を与えたシステムです。
エンジンは９３５／７７をベースとした２８４９ｃｃの水冷ヘッド／空冷シリンダーを採用した水平対向６気筒ＤＯＨＣ２４バルブツインターボユニットです。
排気量は当時のターボ係数１．４をかけて４リッター以下に収まるように設定されています。
ターボチャージャーはシーケンシャルツインターボで、低回転では１個、４０００ｒｐｍを超えると２個で過給されるようになっています。
最高出力４５０ｐｓ、最大トルク５１．０ｋｇｍを発生します。
６速マニュアルトランスミッションはゲトラグ製で、公式には『Ｇ＋５速』となっています。
Ｇとはゲレンデの略で、名目上はスタックした時の緊急用となっていますが、実際のギヤレシオはそれほど極端に低くなっているわけではなく、スイスにおける騒音規制に適合させるための措置だったようです。
ボディはほとんどが６層ケブラーとエキポシ樹脂による複合材で構成され、フロントフードとドアパネルはアルミ製となっています。
そんなエクステリアとは違って、インテリアはほぼ９１１でした。
快適装備ではエアコンはもちろん装備されていますが、ポルシェの量産車として初めてパワーステアリングとＡＢＳが搭載されました。
サスペンションは前後ともツインダンパーのダブルウィッシュボーンです。
２本のショックアブソーバのうち、１本はコイルオーバータイプの通常のもので、もう一本は車高調整用のダンパーです。
車高調整機構は１５０ｍｍを標準とし１２０ｍｍ、１８０ｍｍの３段階に任意に設定することができます。
１５０ｋｍ／ｈを超えると自動で１２０ｍｍに調整され、乗員や荷物の荷重に関係なく車高を一定に保つセルフレべリング機構も持っています。
ホイールはダンロップが９５９のために開発した『デンロックリム』を採用した専用の１７インチです。
ホイールのサイズはフロントが８Ｊ×１７、リヤが１０Ｊ×１７で、タイヤの空気圧を４輪個別にモニタリングできる内圧警報装置を装備した中空ホイールにもなっています。
デンロック構造とはタイヤがパンクした時にビードがリムから外れにくい構造のことで、タイヤも専用に開発されたダンロップＤ４０とブリヂストンのポテンザＲＥ７１のみとなっています。
タイヤサイズはフロントが２３５／４５ＶＲ１７ＤＬ、リヤが２５５／４０ＶＲ１７ＤＬとなります。
※ＤＬ＝デンロック、現在供給されるタイヤの速度記号は『Ｚ』です。
車載工具の中にはセンターロックナット用のトルクレンチをはじめ、多数の工具が収められていますが、その中にはエアポンプが含まれています。
これは９５９の４ＷＤシステムが前後タイヤの外径差１％を前提に制御されているためで、速やかに空気圧を調整できるようにするためのものでした。
この兼ね合いからタイヤは６０００ｋｍごとの交換が必要となっています。
９５９には上記の快適装備を標準装備する『ツーリング』と、車高調整機構、パワーウインドウ、エアコン、パワーシートなどを廃止して約１００ｋｇ軽量化された『シュポルト』の２タイプが設定されました。
８７年から生産された９５９は、当初２００台限定でしたが、最終的には８８年までに２８３台が生産されました。
☆１９８７ポルシェ９６１車両諸元
全長：４３８０ｍｍ
全幅：１８９０ｍｍ
全高：１２６０ｍｍ
ホイールベース：２３１０ｍｍ
車重：１１７０ｋｇ
エンジン型式：９６１／７０
エンジン形式：水冷ヘッド／空冷シリンダー水平対向６気筒ＤＯＨＣ２４バルブツインターボ
ボア×ストローク：９５．０×６７．０ｍｍ
総排気量：２８４９ｃｃ
圧縮比：９．１
燃料供給装置：ボッシュ・モトロニック
最高出力：６８０ｐｓ／７８００ｒｐｍ
最大トルク：６６．９ｋｇｍ／５０００ｒｐｍ
トランスミッション：６速マニュアル
ステアリング形式：ラック＆ピ二オン
サスペンション：前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ：前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ：前後２８０−６４０／１７ＤＬ
☆１９８７ポルシェ９５９車両諸元
全長：４２６０ｍｍ
全幅：１８４０ｍｍ
全高：１２８０ｍｍ
ホイールベース：２３００ｍｍ
車重：１７７０ｋｇ
エンジン型式：９３５／８２
エンジン形式：水冷ヘッド／空冷シリンダー水平対向６気筒ＤＯＨＣ２４バルブツインターボ
ボア×ストローク：９５．０×６７．０ｍｍ
総排気量：２８４９ｃｃ
圧縮比：８．０
レブリミット：７０００ｒｐｍ
燃料供給装置：ボッシュ・モトロニック
最大過給圧：２．０ｂａｒ
最高出力：４５０ｐｓ／６５００ｒｐｍ
最大トルク：５１．０ｋｇｍ／５５００ｒｐｍ
トランスミッション：６速マニュアル
Ｇ：３．５００
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��１．０３６
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最終減速比：４．１２５
ステアリング形式：ラック＆ピ二オン／パワーアシスト
サスペンション：前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ：前後ベンチレーテッドディスク
(ドリルド、Ｆ３２２ｍｍ径、Ｒ３０４ｍｍ径)
ホイールサイズ：Ｆ８Ｊ×１７、Ｒ１０Ｊ×１７
タイヤサイズ：Ｆ２３５／４５ＶＲ１７ＤＬ、Ｒ２５５／４０ＶＲ１７ＤＬ
これは５年位前に作ったタミヤ１／２４の９５９です。
あえてメタリックレッドにしてあります。
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