前回 神戸尊の事件簿.1 −Takeru Kambe's Case Book−
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John Lennon 『Happy Xmas [War Is Over]』
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※こちらは『相棒』Season10のシーズンのパラレルワールドで、世界観のままなのですが、杉下右京は休職中で現在は神戸尊が係長代理になっています。
『杉下右京』の名前は出てきますが、ご本人は一切登場しませんのでご了承下さい。
▽ ▽
『相棒』パラレル小説。神戸尊の事件簿.2
『TIGER&BUNNY』
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プロローグ
▽
「こら!“元”特命係の亀山!やっぱり貴様のせいか、こら!」
現場にホトケがあがってしまった以上、この人物と対面する可能性は極めて高かったのだが、案の定開口一番これだ。相変わらず非常に分かりやすい。
しかもホトケがあがった理由をオレのせいにしやがる。全くいつまで経っても成長も学習もしていないやつだな。こいつは・・・。
「お言葉ですが、死体があがったのは亀山さんのせいではないと思いますが・・・」
「いーーーーや、こいつのせいだね。神戸警部補殿はこいつがいかに疫病神か、まだご存知ないだけですよ」
と、オレと伊丹に挟まれるような形でいる、細身で透き通るように色白で、彫刻のようにやけに整った顔立ちの、“美麗”とでも言うのだろうか。少女マンガか乙女ゲームに出てくる“SP”。
まさにそんな例えがよく似合う感じの男が、伊丹にポンポンと肩を叩かれながら、耳元でごちゃごちゃと呟かれている。
ったく伊丹の野郎変なこと吹き込むんじゃねえよ。
って言うか、日本についてからすぐに警察手帳を見せてもらったから、刑事で特命係なのは違いないのだろうが。
そうか。警部補なのか。だから明らかに年下だけど伊丹も敬語なんだな・・・。
年齢的には芹沢よりも少し上くらいなのか?
でもそれくらいの年下に、伊丹が敬語を使っているのが何とも不思議な感じがする。
「はあ、なるほど。つまり亀山さんがいると、亀山さん自身が事件に巻き込まれる可能性が高いと・・・」
と、妙に美形のその彼が、何故か伊丹の言葉に感心しながらうなずきまで入れている。
って言うか、何やってるんだよあいつ、伊丹の言葉なんか信じるなよ。
「こらあ!!伊丹、何変なこと吹き込んでやがるんだ」
とのオレの言葉に、伊丹は未だにオレと伊丹より少し背の低い彼の肩に手をまわしながら、にやりとして鼻で笑う。
うわあ完全に向こうの領分にされてるじゃねーか。
「吹き込むも何も本当の事だから仕方ねぇ。今回は何釣り上げるんだ?」
「釣り上げる?」
「釣り上げちまうんですよ。こいつも警部殿によく似て余計なもんを」
と、不思議そうに伊丹を見上げる彼に、伊丹はオレに向けてくいっと顎でやる。
「でもそれがお宮入りの事件だったら、かえって都合がいいんじゃ?」
「ぜんっぜんよくありません!いいですか警部補殿、後で泣きを見ても知りませんからね」
しかし正論とも言える彼の言葉に、まるで先生が生徒に叱り付けるような形で、伊丹は彼にそう言葉を向けるが、彼はまるで叱られた子供のように、上目遣いに伊丹を見る。
「いや、俺亀山さんの警護担当で・・・」
「はあ?」と、一気にそこにいる刑事や鑑識の目が点になるのが分かった。
そして次にひそひそとやられる。
「そうか。元警備部だもんな警部補殿」
「警備部ってても事務だろ?」
「そんな事気にしねぇだろ部長なら。特命だし」
「ああ・・・」
「可哀想になあ警部補殿」
そして『特命係だもんなあ』と、言う言葉が思い切り顔に書かれていた。
何だよ何だよ!久々の帰国の歓迎がこれかよ。
何だか『特命係』の意味が久々に身に染みたような気がする。
「でもまだホトケさんがあがっただけですし・・・」
と、彼がフォローするが、米沢さんの言葉がそれを否定した。
「いえ、持ち物から推測しますと、彼はどうやらサルウィン出身者のようです」
▽ ▽
第一章.1に続く
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