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2011年08月22日21:33

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モン教なんていうなら、こちらはモン読だわい!

『3月のライオン 6』羽海野チカ著 読了。

う〜、すっげえなぁ。

もう、やはり小説で出来る事は完全に終わったな。
漫画の出来る事に到底敵わない。

この作者の作品は、本当に逃げない。
一足飛びに結論を出したり救済を与えたりなんて
作品世界の神たる著者ならば簡単なのに。

決してそういう「近道」を登場人物たちに
与えない。

いや、『ハチクロ』ラストはとりあえず
措いておいてくれ(笑)。

閑話休題。

零の目の前が真っ赤になる怒りも、
ひなちゃんの絞り出すような嗚咽と心情の吐露も、
林田先生の解決に乗り出そうとする姿勢も(モン教って最高!)
家族を守る為に思い迷うあかりさんも、
逆に強い意志を持って見守るお爺さんも、
状況には(現時点では)好転させるような影響を
与え得ない。

だが、皆が戦う事を諦めず、それがこの物語に
強い光を発させている。

こういった無力感や、目の前が赤くなったり
鼻血が出る程の怒りも、読む人には心当たる処は
多いだろうが、それでもしっかりと読み進めさせる
力をこの作品が持っている所以だろう。

読んでてひなちゃんの担任の無責任事なかれ姿勢には
怒鳴り込みたくなったもん。

モン読だ、モン読(笑)。

高橋くんマジでいい男だしなぁ。
ひなちゃんをキャッチボールに誘うという形で
女子のイジメに男子が介入するって、凄い抵抗の
ある事だと思うのだが、ばっちり成し遂げている。
そして、イジメを先導する女子へのボールでの
威嚇をする投球シーンでの抑えているが怒りに
満ちた目の表情ときたら!!
こういう表現は漫画でしか出来ない。

再び閑話休題。

そして、ひなちゃんを助けるという目的意識が
桐山に「戦う理由」を与えた物語の流れも
実に秀逸。

今までは「それしかないから」という
消極的受動的なスタンスしか見せられなかったのが、
能動的に戦う武器として将棋に相対し出した展開は
痺れた。

いや、きちんと前フリや伏線は周到に張ってあったのだから
この巻の説得力も産まれた訳だが、だからこそ
カタルシスは抜群だった。

まさに「戦いの巻」。

二海堂の戦いは云うに及ばず。

これだけ熱く激しく、それでいて優しく美しい物語は
この作者にしか描けないものなのだろう。

開始当初から「面白い漫画」だったが、
この5巻、6巻で大傑作の位置に就く事は決定。

きっと、これからもこの人は「逃げずに」
物語を綴ってくれるだろう。

唯一心配なのは体調だけですよ。
今巻のあとがきとかちと心配。
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