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2011年08月18日12:50

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【解説】ポルシェ935(ポルシェファクトリー生産車)

いっぺんに画像アップしようと思ったら100枚超えてしまったので、分割してアップすることにしました(笑)

かつてグループ5クラスやIMSA−GTXクラスを席巻したポルシェのシルエットフォーミュラ「935」には様々なタイプが存在しますが、まずはポルシェAGが生産したファクトリー製マシンをご紹介します。

最初の935である「935/76」はその名の通り1976年シーズンにデビューしました。

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935/76 初期型

最初に登場した935/76はタミヤの1/24プラモデルシリーズの記念すべき第1作となったマシンですが、市販の911とは異なるフラットノーズで開幕戦ムジェロ登場しました。
これはポルシェがヘッドランプの取付位置に関するレギュレーションを“拡大解釈”したことによるものですが「基本となるボディデザインを保つ」というグループ5の理念に反するというクレームを受けて第2戦バレルンガには市販車と同じ「カエル顔」のマシンを持ち込みました。

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ここでは問題なく勝利を収めたものの、今度は大きな空冷式インタークーラを搭載したことで大きく張り出していたリヤカウルがリヤウイングステーの規定に抵触していると通告を受け、再び改修を強いられます。

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第4戦ニュルブルクリンクに持ち込まれた935/76はノーマル形状のエンジンフードでも十分に収まる水冷式のインタークーラに変更され、冷却に必要なラジエターはリヤフェンダーの前側に備えられました。
同時にBMWの強さに危機を感じたため、強引にフラットノーズに戻してしまったのです。
これが935/76後期型です。

エンジンは3リットルのままだった934に対し、車体の軽量化を目的に4リットル以下に収まるように2856ccに縮小したシングルターボで、大型のインタークーラと1.5barの過給圧から590psを発生しました。
モノコックは前後を切り取りアルミ製のスペースフレームへ変更、970kgの規定重量に対し870kgで制作され、重量配分を改善するために残りの100kgをウエイトとして使用する合理的な方法をとりました。

サスペンションはトーションバーを廃止しチタン製の可変レートコイルスプリングを採用していました。

☆1976ポルシェ935/76 車両諸元
全長:4680mm
全幅:1970mm
全高:1265mm
ホイールベース:2271mm
トレッド(F/R):1502/1558mm
車両重量:970kg

エンジン型式:930/72
エンジン形式:空冷水平対向6気筒OHC12バルブターボ+インタークーラ
ボア×ストローク:92.8×70.4mm
総排気量:2857cc
燃料供給装置:ボッシュ機械式燃料噴射
最高出力:590ps/7900rpm
最大トルク:70kgm/6500rpm
燃料タンク:120リットル

トランスミッション:4速マニュアル

ステアリング:ラック&ピ二オン

サスペンション:Fマクファーソンストラット/コイル
        Rセミトレーリングアーム/コイル

ブレーキ:4輪ベンチレーテッドディスク

ホイール:F10.5J×16
     R14.5J×19

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ポルシェは当然のように翌77年シーズン前にカスタマースペックの935を販売、この年は13台が生産されました。
(シャシーNo.930−770−0901〜0913、価格は約1800万円)

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ワークスマシンは新型である935/77に切り替わりました。
全く新しいエアロダイナミクスを採用したボディにはレギュレーションの変更により再び大型の空冷式インタークーラを採用したエンジンを搭載。
ツインターボ化された930/77型エンジンは630psを発生しました。

しかしライバルは皆無になってしまい、今度は国内選手権の2リットルクラスに1425ccの935/2を投入しました。

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外観は935/77とほとんど変わらず、フロントのオイルクーラーが無いこと(リヤサイドに移設)とサイドエキゾーストになっていることが識別ポイントです。

930/79型1425ccのフラット6シングルターボエンジンは375ps/8200rpmを発生、小排気量化に伴う低速トルクの減少を補うため、トランスミッションは5速となっています。

935/2.0はこの年のDRMノリスリンクとホッケンハイムに出場、ノリスリンクではリタイヤに終わったものの、ホッケンハイムでは見事に優勝しました。

☆1977ポルシェ935/77 車両諸元
全長:4680mm
全幅:1970mm
全高:1265mm
ホイールベース:2271mm
トレッド(F/R):1502/1560mm
車両重量:970kg

エンジン型式:930/77
エンジン形式:空冷水平対向6気筒OHC12バルブツインターボ+インタークーラ
ボア×ストローク:92.8×70.4mm
総排気量:2857cc
燃料供給装置:ボッシュ機械式燃料噴射
最高出力:630ps/8000rpm
最大トルク:60kgm/5400rpm
燃料タンク:−−−−

トランスミッション:4速マニュアル

ステアリング:ラック&ピ二オン

サスペンション:Fマクファーソンストラット/コイル
        Rセミトレーリングアーム/コイル

ブレーキ:4輪ベンチレーテッドディスク

ホイール:F11J×16
     R15J×19

☆1977ポルシェ935/2.0 車両諸元
全長:4680mm
全幅:1970mm
全高:1265mm
ホイールベース:2271mm
トレッド(F/R):1502/1560mm
車両重量:730kg

エンジン型式:930/79
エンジン形式:空冷水平対向6気筒OHC12バルブターボ+インタークーラ
ボア×ストローク:71×60mm
総排気量:1425cc
燃料供給装置:ボッシュ機械式燃料噴射
最高出力:375ps/8200rpm
最大トルク:−−−−kgm/−−−−rpm
燃料タンク:100リットル

トランスミッション:915/50 5速マニュアル

ステアリング:ラック&ピ二オン

サスペンション:Fマクファーソンストラット/コイル
        Rセミトレーリングアーム/コイル

ブレーキ:4輪ベンチレーテッドディスク

ホイール:F11J×16
     R15J×19

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78年シーズン前にもカスタマースペックが15台生産されました。
この時は外観はほとんど変わりませんでしたが、ツインターボ仕様で登場しました。
(シャシーNo.930−890−0011〜0025)

バイザッハではワークスマシンとしてルマン制覇だけを目的とした935/78を開発しました。

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6kmの長い直線ユノディエールでの最高速を追求したオーバーハングの長いボディはルマンでのピット作業を考慮して右ハンドルで設計されました。
エンジンはインディ用に開発された水冷4バルブDOHCを採用した3.2リッターのハイブリットクーリングエンジンで、950psという高出力を獲得、最高速360km/hを記録したものの、ルマンでは8位に留まりました。

☆1978ポルシェ935/78 車両諸元
全長:4890mm
全幅:1990mm
全高:1200mm
ホイールベース:2273mm
トレッド(F/R):1630/1575mm
車両重量:1025kg

エンジン型式:935/71
エンジン形式:水冷ヘッド/空冷シリンダー水平対向6気筒DOHC24バルブツインターボ+インタークーラ
ボア×ストローク:95.7×74.4mm
総排気量:3211cc
燃料供給装置:ボッシュ機械式燃料噴射
最高出力:950ps/8200rpm
最大トルク:80kgm/6600rpm
燃料タンク:−−−−

トランスミッション:4速マニュアル

ステアリング:ラック&ピ二オン

サスペンション:Fマクファーソンストラット/コイル
        Rセミトレーリングアーム/コイル

ブレーキ:4輪ベンチレーテッドディスク

ホイール:F11J×16
     R15J×19

シーズン終了後にはさらに7台のカスタマースペックが生産され、ファクトリー製の935の生産が終了、935によるワークス活動も終了となりました。


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