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2010年03月25日10:59

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蛮勇、だなぁ。

『ルパン三世 カリオストロの城』小説版読了。

ひっさしぶりにコバルト文庫を読んだ。
なんだかフォントが懐かしくて堪らない。

ま、ともあれ。

三冊100円だったのを拾ってきたのだが、
これがなかなか興味深い。

無論、ノベライズなので大筋は変らないのだが。

台詞がぜんっぜん違うのだ。

映画『カリオストロ』は問答無用の名作で
いらない台詞も不要な演出もひとつもない作品。
正直、台詞を最初から暗誦しろ、と云われれば
可能なくらい。

それを全面的に変えてしまうってのは
凄いもんだ。

発売が昭和57年・・・って事は1982年か。
恐らく、当時の『カリオストロ』の評価ってのは
今ほどは高くなかったのだろう。興行的にも
一作目の『ルパン対複製人間』に及ばなかったそうだし。

ま、正直映画のノベライズなんて重く見られる
作品でもないし、担当者が好き勝手にやった、
というあたりなのだろうが。

違和感は凄まじい。

やはり、『カリオストロ』のルパンは緑ジャケットを
着用しているように、旧ルパンの大人なイメージを
湛えている。しかし、この小説のルパンは
明らかに第二シリーズの赤ジャケットのルパンだ。
調子はいいが上滑りした台詞、山田康雄云う処の
「ジャリ向け」のギャグ・・・。これが『カリオストロ』の
作品世界と明らかに遊離している。

何より、名台詞の数々が総てカット、乃至は
改変されている、という処が・・・。

冒頭のカーチェイスの幕開けとなる

「どっちに付く?」
「女!!」

というやり取りもないし、

なんと、ラストの

「貴女の心です」

も無し。

これは唖然とした。

よく、カットできるわ。

どれだけ好き勝手してもいい、と許可出されても
これは弄れないだろう。

これをしてアレンジだの作家性だのと
云うのなら、そんな作家性など犬に食わせろ、だ。

しみじみ、映画を見返したくなる一作。

その動機付けになる、っていう処だけが
この本の存在価値だね。
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