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2010年01月29日19:48

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誤読記録

いつの間にやら感想が溜まってしまいました。
ガス抜きガス抜き。


『邪魅の雫』京極夏彦
・・・再読。初読でピンとこなかった処に
綺麗に今回もピンと来なかった。
著者インタビューでも「青木や益田で解決出来る
事件」と云っていた通りで、京極堂他が出張る
必要が感じられないからか。
今までは「長い(重い)が面白い」だったのが
「面白いが長い(重い)」になってきた気が。
早く、『鵺の碑』を!


『BILLY BAT1、2』浦沢直樹
・・・不安。序盤が面白ければ面白い程不安。
この人の物語の畳み下手は『MONSTER』で
如何なく発揮され、それに懲りたのでちゃんと
終わったら読もうと思った『二十世紀少年』が
完結後案の定いい評判を聞かない。
そこで『PLUTO』完結後に間髪入れずに
これ、だもん。不安だ。下山事件を題材にした
漫画と云えば手塚治虫『奇子』だが、手塚づいている
のかなぁ。

白洲次郎の登場は笑った。


『俺たち文科系プロレス DDT』高木三四郎
・・・生き残る人間には、きちんとクレヴァな頭が
付いている、という事か。
プロレス本としては異色だけれど、めちゃめちゃ
面白かった。
別の角度からメジャと云われるプロレス団体の
限界を提示している辺りも興味深い。


『小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所』
・・・推理作家(だよな?)七人による『こち亀』の
小説化という無謀な試み。正統に『こち亀』世界に
挑む人や、自分の世界に引き寄せる人や
様々なアプローチが面白いが、やはり興味深いのは
京極。
大原部長と京極堂の語らい、など面白く読めたが
何となく感慨深いのは、友人連の中で一人だけ(笑)
死んでいるらしい関口がようやく中禅寺に「友人」と
紹介されていた事。死んでやっと友人に昇格したか。


『ドストエフスキーの人間力』齋藤孝
・・・軽薄。
ま、そういう切り口で読ませたいんだろうから、
間違っちゃいないんだろうがね。

「キャラ物」としてドストを読むとこうなるってだけ。
大体人間力って何語なんだい?


『ドストエフスキィと日本人(上)二葉亭四迷から芥川龍之介まで』松川健一
・・・上記『人間力』の口直しとして読む。
ドストエフスキィ自身を論評するのではなく、
ドストエフスキィが日本人にどのように受容されてきたか、
を年代を追いつつ解明していくという良作。

二葉亭の苦悩と、北村透谷の悲劇が胸に迫る。

ドストを経由した作品として『浮雲』や『破戒』を再読したくなる。

唯一の問題は版元が第三文明社だ、って事だけ(笑)。


『ドストエフスキィと日本人(下)夏目漱石から村上春樹まで』松川健一
・・・「明治のツルゲーネフ、大正のトルストイ、昭和のドストエフスキィ」
という切り口から考えると正に本領発揮な下巻。
上巻が『罪と罰』を題材とする日本人と文学作品の
『自我』がテーマだったが、下巻は『悪霊』を題材とした
革命とその挫折が多く採り上げられる。
このような切り口で年代で縦割りしたドストエフスキィ論は
初めて読んだ。


『創価学会財務部の内幕』「学会マネー」研究会
・・・んで、自由連想方式で、この本。
組織の拡充には有能な経営戦略が必要だ、という
だけの本。

宗教としてはどうか?ああ、信者って生き物がお金を
払う引き換えに教義を得るって奴の事?

宗教ってのはそういうもんじゃないよ、本質はね。


『プロレスは生き残れるか』泉直樹
・・・ここ十年で出版されるプロレス本はその凋落を
嘆くか、スキャンダルの暴露、という形式を
取る物が圧倒的に多く(主に永島関連)、
正直飽き飽きしていた処になかなかの良作。
ビジネスと健康管理というプロレス団体が
目を背けてきた事象に光をあてていて、
『次』や『明日』を見据えた内容になっている。

そろそろ、こういう本が出てこないとねぇ。
嘆き節と回顧譚ばかりじゃカビくさいやな。


『教授の異常な弁解』土屋賢二
・・・正直、ネタ切れ。大好きなだけに、
これだけハイペースで出版されるのは嬉しいが、
いかんせんインプットが無いのでは日常エッセイは
限界があるわな。


『俺たちの週刊プロレス』
・・・週刊プロレスは嫌いだった。
どうも、『ロッキンオン的』っつかね。
その対象(プロレスだったりロックだったり)に
自身を仮託して、自分語りをする為の
ダシにしているような処が似通っている、
と思っていたから。

だが、こうして過去を振り返るムック本を
読んでみて、なんとなくその熱心な
部活動の軌跡、みたいなものに
結構グッと来たのが自分でもおかしかった。

・・・歳とったかねぇ。

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