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2009年09月21日13:36

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和服事始(やや脱線)

最近急速に高まっております、和装ブーム。

丁度九月に入り、涼しくなってきたきた昨今、
何ぼなんでも浴衣のみ、ってぇ訳には行きますまい。

で、だ。

色々と考えてみたらですねぇ。

あるんですよ。
仕事での行動範囲に、様々な和服屋さんが。

まず、職場は銀座。

云わずと知れた歌舞伎座がすぐ近くにあり、
その周辺にはとても入れないような敷居の
高そうな呉服屋、リサイクル着物屋、足袋屋に
小物屋、あるわあるわ。

今までも通りかかっていたのですが、
関心の薄さの故、視界に入っていませんでした。

で、外出先も浅草なんて、魅力的この上ない
土地もある。

また、住んでいる地域も東海道の宿場町。
旧くからある呉服屋なども結構ある。

・・・これは、恵まれているかもしれない。

で、仕事の予定を急遽調整。
心当る個所全てを網羅出来る予定表を
組上げました。

無論、決して遊んでいる訳ではありません。

あくまで『ついで』です。

本ちゃんの用事が5分で済んで、その後に
二時間ほど寄り道しようが、
あくまでも『ついで』です。

そろそろ信じましたか?

信頼は友愛の礎。
大事にしたいものです(失笑)。

さて。

いやいや。

これが、楽しかった。

一応下調べはしておいたので、
素人ながら、要望や展望を伝えて、
話しを聞くのが、もう楽しい。

とりあえず、最低限必要な物はもう揃えてしまおう!
という決意の元に行ってみたんですが、迷う迷う。

さながら宝の山です。

楽しいなぁ。

着物屋の方々も非常に上品で気さく、
素人兄ちゃんが時折カマす頓珍漢(であろう)
質問にも懇切丁寧に答えてくれる。

土地柄、ってのもありますかね。

浅草、銀座という土地に古くから根差した
空気、というか。

和服和装にガツガツするのも似合わんしな。

で、購入したのは、

単物の黒(浅草)
足袋、半襦袢(夏、冬一つずつ)、
投売り(激安!)の浴衣二着。

下駄、帯はあるからこれぐらい揃えて
おけば外出してもおかしくない、くらいのは
揃いました。

よしよし。

楽しみになってきた。

で。

地元に帰ったのですが。

最後が少々残念。

そういや、腰紐が1本しかねぇな、と
気付き、行き着けのダイエーの二階にある
呉服屋へ夕飯の買出しついでに行ってみる。

分り辛いディスプレイだったので、
手近にいたお兄ちゃんに

「腰紐くんな」

と声を掛けてみると。

突然取り出したのがまっピンク。

なにやらベルト式になっていて・・・と
訳の分らないセールスポイントを
述べ立て始める。

いやいや。

まず、その色はちょっと頂けないんじゃないか?

目の前にいるのはおっさんだぞ?

その事を云うと、「ではこちらの・・・」
とようやく白の腰紐を取り出す。

やれやれ、と思うと。

「では、どちらに致しましょうか?」

白だっつ〜の!!

コイツはあかん。血の巡りが悪いにも
程がある。

とっとと支払い済ませて帰ろう、と思っていると。

「では、こちらへ」
などと誘導される。
見ると畳などが引いてあり、テーブルに椅子などもセット。

前に来た客に出した物であろうお茶などが
残っている。

そして、周囲にはニコニコ営業スマイルを浮かべている
ニ、三人の男女店員。

・・・どうしろと云うんだ。
繰り返すが俺は腰紐1本買いに来ただけだ。
おまけに革靴だぞ。

着物で突っかけで来ている訳じゃないんだ。

どう考えても、売りつけようってな構えじゃねぇか。

なんとなく、不穏な空気も感じますが、これがまた。

面白い。

どう攻めてくるやら。

一体、腰紐1本のお会計にどれくらい時間が
掛かっているのやら、血の巡りの悪い兄ちゃんは
まだ戻ってこない。

じゃあ、などと曖昧に笑いながら、畳に上がってみる。

「お着物着られるんですか?」

化粧の濃い女性店員が話しかけてくる。

「まぁ、最近着るようになりまして」
「あらぁ、いいですね。何かきっかけがあったんですか?」
「いや、時代劇が好きなんでね」

ちょっと韜晦してみます。こういう手合いと
真面目に話しても仕方ない。

「ああら、歴史ですか、いいですねぇ」

・・・ほらな。気が利かない事夥しい。

こちらもそれ以上乗っからない。
普通なら「いやいや、好きと云っても必殺シリーズなんで」
とか話す所だが、こいつには無駄だ。

すると、いきなり接ぎ穂もなく唐突に変わる話題。

「お客様、丁度良い時期にいらっしゃってくれました。
当店、十周年の記念のフェアを今やっておりまして」

ふうん、展開が速いね。

「今ですと、色々とお安いんですよぉ」

などと言いつつ、さっと素早く脇から出てくる反物。

会計待ちの腰紐はいっかな出てこないのに、
こういうのは速いな。

ふわりと私の目の前に広げてみせ。

「如何ですか?手触りなどみてみて下さい」

などと言い出す。

ま、確かに手触りはいいわな。
値段も素晴らしいが。ちら、と値札を見てみると
18万円也。吹っかける気満々だな。

「これ、正絹ですよね?」
「ええ、とてもお客様にも合っていらっしゃると思います」

そういう事聞いてんじゃねぇ。

「いや、確かにいいんでしょうけれど、正絹って管理が
大変じゃないですか。まだまだ私もビギナなんで、
今は安いウチで手洗い出来る物で、着物との付き合い方を
覚えていこうかな、という段階なんで、まだまだ
勿体ないですよ、私にゃあ」

にっこり笑って返してみる。

「ああ、それでしたら、ウチに持ってきて頂ければ
丸洗い出来ますので」

ふむ、いよいよ買わせる体勢になってきたな。

「ウチの男子従業員も着ているんですよ。○○くぅ〜ん」

うわ、囲む気だ(笑)!

「僕も好きでよく着ているんですよ、着物。いいですよね。
今着ているのは綿なんですけど、やはり絹はよくて・・・」

さらりとカットインしてきて普通に捲くし立てる。

ふうん、こういう体制で断りきれない奴に売りつけているのか。

「いやいや、でも安いポリエステルですけど、もう買っているのが
あるし、それが可哀相になるじゃないですか、こんないい奴
買っちゃうと」
「あ〜、でもそういうのって必ず着なくなっちゃうんですよね」
「まぁいつかはそうなるでしょうけれど、今は和装の挙措とか
覚えたり勘を掴みたいんでねぇ。だから、手軽に洗える物
じゃないと困るし」
「でも、タイミングとかあると思うんですよ」

出た、タイミング。または『めぐり合わせ』か『出会い』か?
詐欺商法の常套句だぜ、それ?
少なくとも18万もする反物で着物誂えるタイミングは
今じゃねぇよ。

「ま、それでも正絹はまだ自分には早いですね。
身に合いませんわ」

すると、今度は先ほどの女性店員が引き継ぐ。

「じゃあ、こちらとこちらではどちらが良いと思われます?」

などと言いながらもう一反持ち出してくる。
どうせ、同じような価格なんだろうな。

「いやいや。二択になっちゃったら、どっちか欲しくなっちゃう
じゃないですか?どっちかなんて選べないですよ」
「いやぁ、そんなんじゃなくて。あ、こっちの方に視線が
行ってますね?こちらの方がお好みですかぁ?」

そろそろ飽きてきました。

「いやね、僕も営業なんで(嘘)よくやるんですよ。
二択にするとどっちかが欲しくなる、買わなきゃいけない
気になる、って奴。だから、選べないし選びませんよ。
合わせもしません。お姉さん、ひょっとして、
版画とか売ってませんでした?その時のセールストークと
そっくりだ。そろそろ、お会計も終わったと思うんですけどねぇ」

流石にこれ以上は追ってこず、腰紐とお釣りを
ようやく受け取る。

・・・長かった。

「またいらしてくださぁい」

などという声を背に去る。二度と来るか。

しっかし、アールビバンが秋葉原でやってた
インチキ版画売りとそっくりなセールストークだったな。

あの濃いい化粧もよく似てる(偏見)。

あいつらも言うんだよな「タイミング」「出会い」。
で、お決まりが「この中(展示会場の中で飾ってある
絵)の中で、お家に飾るとしたらどの絵が一番いいと
思いますか?」だ。で、一つ哀れなカモが選んだら
「私もそうだと思いました!」や「選ぶ絵で人柄とかも
分るんです。素敵な方ですね」などとやるんだ。

恐らく、二択で選んだらこういう展開に
なったろうな。
そこまで確かめるのも面倒くさくなったが。

こういうセールストークのマニュアルは厳然と
あって、それに則した売り方を売り子は
教授されるんだろう。

下品な話しだ。

気の弱い女の子なんかが
あの店に浴衣なんかを買いにいかない事を
老婆心ながら祈っとこう。

どんなもん売りつけられるか分ったもんじゃない。

やっぱ、売り手にも品を求めたいもんさ。

ちなみに、やっぱり靴べらはなかった。
革靴履くのに一苦労じゃねぇか、馬鹿。
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