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2009年05月17日18:05

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NYLON100℃ 33rd SESSION 『神様とその他の変種』

NYLON100℃ 33rd SESSION 『神様とその他の変種』に行ってきました。今回は分類すると、不条理劇・・・というコトになるそうです。ケラ氏も仰ってますが、別役実氏や山崎哲氏の作風を意図的に真似したりもしてみたらしい。
でも、ケラさんが作って演出すると、やっぱり不条理劇も、『ナンセンスコメディ』色が強くなるんですね。テーマは、結構重かったりするのに。コレが、ケラ氏の資質なんだろうね。

カーテンコールの時に、ケラさんがちょっと出てきてくれました。手をもみもみという感じで、おどけた様に振っていた。で、出てくるとどうしても「あ、ケラさんだ!」とテンション上がってしまう私は、やっぱり有頂天フリークなんだろうね。あ、別に歌は唄わないよ。挨拶に出てくるだけ。それもひっそりと(笑)。

今回のタイトルは、ケラ氏の歌から。(シンセサイザーズの歌だってサ)

ちょっと歌詞の一部を引用しておきます〜。
『神様とその他の変種』

神様にお願い もしもちゃんといるなら
世の中に平和を もうちょっとください

神様よいるなら
星も土地も命もあんたの血をひいた雑種と変種だ

泣き叫ぶ者 高笑う者
君の目からは涙がポロリ
じゃあ僕達は神が片手落ちごまかす間に先回りしよう

過剰なるもの 不足なるもの
できそこないが神を出しぬく
ほら届かない神様の華奢な短い腕じゃ僕らの場所には

(コレがイメージソングらしい)

このお芝居。見た感想は、本当は正義や悪、何が間違ってるか正しいかなんて、個人判断による部分が多いのに、何故に人は、自分がやっているコトを正しいと思い、そして、正しくあって欲しいと思い、そして、他の者もそうあるはずだ!と思い込んでしまうのだろう?でした。
それって、人間の愚かさや弱さなのでしょうが、それがあるから人間なのかも知れないね。

※以下、NYLON100℃ 33rd SESSION 『神様とその他の変種』の感想を書きます。まだお芝居は続いていますし、多分、DVDになると思います。なので、ネタばれがお嫌な方は読まれない方が宜しいかと存じます。

それでは、ネタばれOKの方のみいらっしゃいまし〜。

NYLON100℃ 33rd SESSION 『神様とその他の変種』
会場:本多劇場

女1(サトウケンタロウの母親)・・峯村リエ、男1(サトウケンタロウの父親)・・山内圭哉、女2(スズキサチオの母親)・・犬山イヌ子、男2(スズキサチオの父親)・・山崎一、女3(サトウケンタロウの家庭教師)・・水野美紀、男3(サトウケンタロウ)・・みのすけ、男4(ユウチャン=動物園の飼育係)・・大倉孝二、女4(隣の家の主婦)・・長田奈麻、女5(男1の母親)・・植木夏十、男5(子供達の担任教師)・・藤田秀世、男6・・廣川三憲、男7(刑事)・・猪岐英人、女6(近所の女)・・白石遙

あらすじ。
冒頭、ホームレスぜんとした男が「自分は神だ。」と自己紹介をする。その神は、ある一家のコトを話だす。そこの家には、ケンタロウという息子が1人いる。滅多に学校に行かないいじめられっ子の少年だ。その少年を溺愛する母親。そして、その母親の言うコトになるべく従おうとする父親。
少年の家の隣は動物園である。少年は動物と話が出来、特に、象のマルとモカコ(だったかな?)は、少年に良く話しかけてくるらしい。その動物園の飼育係のユウチャンは、ケンタロウのたった一人の人間の友達である。その少年に新しい家庭教師の女性、桜井が来る。神は、その女性に「アナタも神だ」と告げる。桜井キョット〜ン(笑)。桜井はどうやら一部記憶喪失らしく、小学校に勤めていたコトは覚えているが、その他が良く思い出せないようだ。

刑事がとある事件を調べている。サトウ家に行った何人かが行方不明になり、音信不通になっている状態らしい。以前、ここに家庭教師に来ていた女性、本橋も行方不明らしい。
近所の話し好きの主婦によると、最近水道管が詰まって困ったらしい。詰まりの原因は大量の髪の毛だったと。

ケンタロウの家の祖母と母は仲が悪い。祖母は母を「魔女」と呼ぶ。その祖母は体調が優れないらしく寝込むコトも多くなっている。薬を最近変えたらしく、そのせいか、目の前がオレンジ色になるらしい。

少年の学校の先生木下が、ケンタロウが学校に来るように、母親と父親、そして桜井に相談に来る。母親は、ケンタロウをイジメるような生徒のいる学校には、行かせるコトは出来ないと言う。桜井はそこで、自分の身の上話をする。桜井が担任だったクラスの少女。この少女は、詩や絵を描くコトが好きなおとなしい少女だった。しかしこの少女はイジメを受けていた。それに自分は気付けなかったと。ある日、鉛筆工場に行った時、彼女は誰かに階段上から突き落とされ、下にあった裁断機に右腕を切られ、2度と詩や絵を描くことは出来なくなったと。
まだ、母親がそのイジメの事実を知っているのなら、何とか出来るはずと桜井は言う。頑なに拒む母。

母親は黄色いティーカップで、担任教師木下にお茶を出す。木下はそのお茶を飲む。父親は言う。「またか・・・また、俺が・・・・・・。」

その家に、同級生のスズキサチオの父母が来る。サチオがケンタロウに木の棒で顔面を殴られたというのだ。顔面を殴られ、前歯が2本なくなりグッチャグチャになったと。ケンタロウの母は、サチオの両親に示談金を渡そうとするが、サチオの母は「お金が欲しいんじゃありません。ケンタロウ君に謝って欲しいのです。」と言う。ケンタロウの母は「ケンタロウは、サチオ君には、もう会わないんじゃないかしら。」と言う。ケンタロウの母親は、黄色いティーカップでお茶を運んでくる。しかし手違いで、近所の主婦が、そのティーカップのお茶を飲む。ケンタロウの父は嘆く。「また・・・いいかげんに・・・・。」

サチオの父は弁護士。現在訴訟中の薬害問題があるらしい。その会社の薬を、どうやらケンタロウの祖母も飲んでいるようだ。サチオの父は、どうやら桜井に会ったコトがあるらしい。

そんな折、動物園でも事件が起きる。象のモカコが何者かに毒りんごを食べさせられ死んでしまった。嘆き悲しむケンタロウ。ケンタロウは「ユウチャンがちゃんと見ていないからだ」と責める。この毒リンゴ事件は、次々と起きる。
ケンタロウの父親は、ユウチャンの父の会社の金を横領しているらしい。何にそんなに金を使っているのか?と訊くユウチャン。父ははぐらかす。

刑事再び登場。失踪事件について語る。失踪していたと思っていた人物とは全員連絡が取れ、水道管の髪の毛は、ケンタロウの父親のモノだったコトが判明する。

ケンタロウの家。サチオの父母と桜井とケンタロウの父母。サチオの母は、紅茶を出そうとする母親に言う。「黄色いティーカップでですか?黄色いティーカップでお茶を飲むと沢山お金が貰えるって、お隣の奥さんに訊きました。」 驚くケンタロウの母。頭を抱えるケンタロウの父。ケンタロウの母は、ケンタロウに害をなす・・と認めた人達を毒殺していた。しかし、毒だと思っていたのは、ビタミンCとDとB2。父親は黄色いカップで、ケンタロウの母がお茶を出すたび、そのカップでお茶を飲んだ人物に大金を払い、「妻(ケンタロウ母)に会わないようにしてくれ。」と頼んでいた。何でそんなコトを?と訊く母。父は言う「最初は簡単なコトだと思ったサ。でも、ちょっと会わないでいてくれませんか?って言っても人はそうしてくれないんだ。だから、金を払うんだよ。(驚き離れた妻を見て)何で離れる?一緒にいたいのに。」 ケンタロウ父の借金は、彼女の中で毒殺された人物にお金を払っていた為だった。

桜井は記憶を取り戻す。サチオの父とは、少女の転落事件の時に出会っていた。担任教師として少女がイジメにあっていたコトを証言する桜井。しかし、そのイジメは全て少女の狂言だった。少女が自分に注目して欲しいが為に起こした狂言事件。桜井は何を信じれば良いのか分からなくなり、精神的に不安定になり、どうやら、サチオの父と関係を持ってしまったらしい。サチオの母は言う。「私の見間違いなんです。私、ホラ、目があれだから。誰だか知らない男性が、誰だか知らない女性とホテルに行っただけなんです。」
しかし、サチオの母は桜井に嫌がらせをする。

動物園の毒リンゴ事件の犯人は、実はサルだったコトも判明。

終盤。神様が登場。神様はケンタロウ少年を選ばれしモノだと思い、ずっと見守って来たが、どうやらそれが間違いであったコトに気付く。登場人物全員にボコボコにされる神。


凄く、断片的になり、尚且つ、読むと、統合失調の人の妄言のようになっちゃうんですが、かいつまむとこんな話です。いつも通り、3時間あるお芝居だからね。毎度のコトだが・・・長い(^_^;)。

コレだけ読むと、何かドロドロしたシリアスな芝居のように思えるのですが、ケラさんなので不条理ナンセンスコメディのようになります。シリアスな場面ほど、ギャグを入れるのはケラ氏の芝居の特徴。
今回、1番笑ったのは、サチオの母にしがみついて「ごめんなさい。ごめんなさい。」と謝る桜井に、サチオ母が「やめて下さい。服が伸びます。」 桜井「この素材は伸びません〜。ごめんなさい。ごめんなさい。」という場面。修羅場な場面のはずなのに、何、このマヌケな会話(笑)。

あと、途中、ケンタロウの祖母は亡くなるのだが、祖母の魂が象のマルに伝言を託し、その伝言が「今夜もカレーかよ!」だったのも笑った。ケンタロウ「おばあちゃんから伝言だよ!『今夜もカレーかよ!』だって!」 ケンタロウ母「今夜もって・・・。カレーしか作ってないみたいじゃないですか!今夜は野菜炒めです!」

あと、毒殺事件の犯人がサルとか。やたらサトウ家のトイレから意味もなく出てくるユウチャンとか。ケンタロウ父の役の山内さんも良い感じ。スキンヘッドなのだが、そうか、髪の毛、元々ロン毛だったんだね(笑)。で、風呂場で髪の毛切って、水道管詰まったと(笑)。
黄色いティーカップの演出も好きだった。当然、毒殺だと思わせておいて、最後、どん転返し。まぁ、ケラさんが良く使う手法ではあるけれど。で、そのどん転返しをギャグにも利用するのがケラさん流。
ケンタロウ父の「シュガーポットの中身(ケンタロウ母は毒だと思っている)、アレは、毒なんかじゃない!アレはビタミンだ!その・・・逆に元気になる。ビタミンC、D、B2。B2は少しな。苦くなるから。」に爆笑。
あと、終盤、ケンタロウが、間違って黄色いカップで紅茶を飲んでしまい、母がケンタロウが死んじゃうと言った時の、ケンタロウ父の言葉。「コレは、ケンタロウの為の毒なんだから、ケンタロウは死なない。寧ろ元気になる!」も良い台詞っぽいが、何かマヌケだ。

神様も良い感じにダメ〜な感じなんだ。神様は男6ね。廣川さん。

サチオ母の桜井への復讐が、無言電話はともかく、とっても重い石を着払いで送る・・というのもマヌケで爆笑した。確かに、大迷惑ではあるが(笑)。

フッと見ると。登場人物達は、皆キチガイに見える。でも、皆実は、間違ったコトはしていないし、気も狂ってない。自分の正しいと思ったコトを、信念を持ってやっているだけ。
ケンタロウ母は、ケンタロウを守るコトを第一と考えているから、ケンタロウの敵とみなした者を殺しているだけ。
ケンタロウ父は、ケンタロウ母を愛しているから、母の中で毒殺された人物に金を渡し、「もう、妻に会わないでくれ。」と頼んでいるだけ。
サチオ父は、仕事人間で、家庭を全然顧みなかったが、それも、仕事を一生懸命やっていただけ。
サチオ母は、サチオを愛し、夫を愛していたから、桜井先生に嫌がらせをしただけ。
桜井先生は、担任教師として、教え子を守ろうとしたのに、その教え子に裏切られたショックを癒そうとしただけ。

誰も間違ったコトはしていない。自分が正しいと思ったコトをやったら、他者にとっては、それは正しくないコトだった・・・らしい・・というだけ。

ひょっとして、無意味に動物を殺していたサルだけが、キチガイかも知れない。ユウチャンは「あわザルは、人間より、よっぽど頭が良いんだ。」と言っていたが。いや、サルにも事情があったのかもな。毒殺するだけの。

最後の神様ボコボコもとても好きです。だいたい神様なんて碌な奴いないもんな(笑)。ケラさんの歌じゃないケド、せめて我々は、その神様が片手落ちをごまかしてる隙に、先回りして、あかんべーでもしておきましょう。

不条理劇とナンセンスコメディが融合したような、ちょっと不思議なお芝居でした。
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