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2009年04月23日15:54

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「彼ら」の『リアル』(笑)

先般読んだ『エイズの歴史』がやはり
想像以上に重たいもんだったので、
何か軽いもんでも読むか・・・と
日課のブクオフ巡りを敢行する。

最近の趣味からノンフィクション系の
ものくそ重い本ばかりがウチでは
待ち構えているので、一種の逃避だ。

ん〜、どうせなら、ふわっふわの
No内容なヤツがいいな。
笑えるヤツ。

つう事で、今までほとんど手を出した事のない
ジャンルへの特攻を決意。

ケータイ小説(笑)。

いやいや、ジャンル分けで後ろに(笑)が
付くのはこれだけだろうな。

中身をチラ見してしまうと間違いなく
買う気が失せるので、そのまま購入。

セール中に付き五冊百円。

値段まで(笑)だ。

で、ウチに帰って、早速風呂に入りながら
読んでみた。

んんんんんんんんんんんんんんん〜。

あっという間に一冊読み終わる。
時間にして15分程度。

決して読み飛ばした訳ではない。
・・・無論熟読した訳でもないが。

上下巻なので、下巻にも
取り掛かり、これもおよそ20分程度で
読破。

ええええええええええええええええええっとぉ〜〜〜。

これは、なんていうんだ。

そうだなぁ、言葉にすると

「パねぇ」

って感じですか?

かなり売れていて、愛読者も多いという
ふれこみなので、検索などでもしこの日記に
ブチ当ったらその娘さん(だろうなぁ)が
可哀相なので、書名は敢えて秘するが
『恋空』だ。

論理性の欠片もない登場人物達の行動様式、
無理くり感動を演出(嘲笑)する為の難病と
その描写(なんてのも無いんだが)の杜撰さ、
よると触るとすっぽんすっぽん交尾する
動物以下の生態・・・

文章もスゴい・・・いや、パねぇ。

例題とする為にどこか引用しようと思ったが、
全てが等しいレヴェルで低い為、逆に
「これはヒドい!」という適例がない。

ふぅ。

で、問題は、だ。

誰が何でこれにわざわざ涙流して感動しているか、だ。
いや、これも売り文句を額面通りに受け取れば、だがね。

アドルフ・ヒトラーの演説術で最も心掛けた事、とは
「その場にいる一番の馬鹿を想定して、そいつに分る
ように話す」だった。

その馬鹿が理解できれば、その場にいる全員が
理解出来る、という寸法だ。

馬鹿は理解する事に慣れていない。

何故なら馬鹿だから。

理解せず、把握出来ずに流す事が当然になっている。
考えてみる事もしない。
また、自分が「馬鹿なのかどうか?」の尺度も
持っていない。

馬鹿だから。

理解出来ない事が日常なのだ、彼ら彼女らにとって。

だからこそ、彼らの日常は『彼らでも分る物』で
埋め尽くされ、それによって結束を固める。
世界が外敵だらけだった太古の昔の部族のように。

故に彼らは無駄に統制を欲し、彼らの世界を規定する
ルールに従いたがる。

口では無意味な自由を謳いながら。

その世界ルールの中で、最も理解しやすい概念が、
『愛』や『友情』なのだろう。

そして、それを彼らにも(小説など全く縁の無い人生を
送っていた人たちにも!)理解出来るように『愛』と
『友情』をごった煮にして、一般的な教養(本当に、
初歩的にも程がある程のレヴェルだが)では
許容出来ないほどグロテスクに変質させてしまった物が、
この敢えてタイトルは書かないが『恋空』なのだろう。

彼らはきっと、嬉しかったろう。

彼らにとって、「理解出来る」という事は滅多に無い。
奇跡のような邂逅に思えたろう。

そして、内容は彼らにとって最も近しい『愛』だったり
『友情』だったりだ。

読めない漢字も、理解出来な比喩表現も、
どこまで追ったか分らなくなってしまう程の
込み入った字組もない。

登場人物は、彼らが日常話すような空疎な
内容の言葉を話し、彼らが悩むような動物的な
性愛や暴力や病気に苦悩する。

想像力の介在する余地のない、「彼らのリアル」
がここでは表現されている。

それは飛びつくだろう。

今まで、阻害され、自分たちの人生には
無縁の物だと思い込んでいた『小説』なんて
物までが彼らに擦り寄ってきてくれたのだから。

いつぞやテレヴィでコメンテータが
「小説として認めがたい。もっと良質な作品を
読んで欲しい」などと云っていたが、無理な相談だ。

これは別種の物だ。

『教養』や『知識』という物から目を背け、耳を
塞いできた蛮族にようやく出来た洞窟壁画の
ような物なのだから。

・・・無論、アルタミラの洞窟壁画の期待せぬ芸術性の
足元にも及ぶものでもないが、位置づけとしては、ね。

この某『恋空』は非常に醜い話だ。

全てが浅薄で、事実の誤認(特に病気関連は犯罪的だ)も
甚だしい。

だが、これを愛して、「泣いた」という娘さんたちが
いるのであれば。

彼ら彼女らの為に泣いてやりたい気すらする。

これで満足してしまい、ここに閉じこもるのだろうな、という
苦い予見が心を塞いでしまう。

大きなお世話だがね。

この敢えて伏字にするが、『恋空』は読む人の
目を塞ぐ結果にしかならないだろう。

一切の努力をせず、理解する媚を売られてしまったのだから。

想像し、理解し、咀嚼しようとする姿勢を
学ぶ余地など皆無になってしまう。

勿体ない事だ、と思う。

ま、理解出来ない馬鹿なんだから仕方ないんだがね。

で、だ。

後三冊、これも名を伏せるが『ディープラヴ』ってのも
あるんだが・・・どうすっかな(笑)。

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