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2009年04月18日01:02

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必殺仕事人2009 第十二話『冤罪』鑑賞

源太亡き後を引きずりつつの一話。

非常に手堅い良作、でした。

今回は必殺仕置人第一話を彷彿とさせるような
善人を悪人とすり替えて刑に処させるという
物で、奉行所の面々が悪事に関わっている
点も共通。

非常にスタンダードな話の作りながら、
善人は善人らしく、悪人は憎々しい悪人っぷりを
披露してくれれば、それで充分。

その罠に掛かる食い詰め浪人 長田清兵衛(松村雄基)と
その家族の清廉な描写が素晴らしい。

慈しみあう夫婦と、それを自身の利益と保身の為に
生け贄としようとする奉行・矢部甲斐守忠孝(小林稔侍)と
遠野兵衛門(片桐竜次)、西山右近(上杉祥三)の
悪人っぷりの対比が堪らなく美しい。

毎回、思う事だが、つくづくこのキャストが
一回こっきりなのが惜しい。
清兵衛の設定など、まんま無印仕事人の畷左門そのまま。
本当に、そのまま仕事人チーム入りして欲しかった。

丁度欠員も(ry)。

閑話休題。

江戸を騒がせる怪盗・石川六右衛門役を必殺仕舞人で
直次郎を演じていた怪優・本田博太郎が演じるというので、
その演技を期待していたのだが、押えた良い意味で
裏切る演技をしていた。
確かに、今回のメインの悪役ではないので、
この表現は実に正しい。
小林稔侍の怪演がよほど目立たせる結果となっていた。

今回は仕事人たちと事件の関わりはかなり密接で、
小五郎・主水が清兵衛と関わり、涼次が六右衛門を
(結果として)追う状況になり、両者の情報が
組み合わされて初めて全貌が露になる構成は非常に
巧みなものだった。

・・・やはり、仕事人の数はこれくらいが適切な
気もする。もう一人増えるとどうしても一話の
中で空気になってしまう奴が出来ちゃうんだよな。
主水と小五郎は同じ同心として組めるし、
涼次はようやく忍者という設定が活きた、かな。

本筋と関わりが無くなる途端に名推理を
働かせる伝七(笑)といい、主要登場人物が
頭の切れを存分に見せてくれる回というのは
鑑賞していて楽しいものだ。

・・・源太がいなくなって良い事ばかり、
みたいな論旨になってきたので、それは見ない方向で。

清兵衛が遂に罠によって獄門に架かり。
その妻・サト(渋谷琴乃)により三番町の祠への
依頼が掛かり。

遂に仕事人たちが動き出すのだが。

ここまでが手堅く、それ故に新味に(敢えて云えば)
欠けていた所を、いざ仕置という段になり、
遂に爆発する。

「罪のねぇ奴の首刎ねて、そいつが下手人だぁ?腐りきってんだ
てめえら役人はよぉ」

と、遣り場の無い憤懣を同心である主水と小五郎にぶつける涼次の言葉に
激発する小五郎。

あわや、と云う時。

そこを収める主水の台詞が揮っている。

「そうカリカリすんなよ。役人が腐っているのは今に始まった
事じゃねぇ、昔からだ。だからこれから大掃除しようって
云うんじゃねぇか」

上述の必殺仕置人第一話にて、中村主水の裏稼業の地獄道は
始まった。それは「闇の御前」を名乗る盗賊の身代わりとして
裁きの場で殺された百姓・松蔵の恨みを晴らす事からだった。

それから幾年月。

再び、同じような奉行所の腐敗に乗り出そうとする
仕事人たちを諌める言葉として、とても、響いた。

彼が理念も理想も捨て、遂に名も無き一介の殺し屋で
あろうと決めたのは、恐らく『仕置人』の名を捨て、
事務的な『仕事人』を名乗るようになってからだろう。
数々の仲間の死と、その無惨な結末を見てきた主水には
選ばざるをえなかった道だ。

しかし。

時に、その昔の幻影が顔を覗かせる。

仕置人・中村主水を偲ばせる顔だ。
その顔、存在の重みが必殺の歴史でもあるのだろう。

そして、的分けが行われ、各自が依頼料を受けとる時。

必殺仕置人の『仕置のテーマ』!!

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

これは熱い!
熱すぎる!!
絶対仕置人の一話を意識していない筈はない、と思って
いた所にこの選曲。

・・・泣ける。

いつもの新仕事人の出陣のテーマも無論名曲だが、
そろそろ使い古されてしまった観もあり、この選曲は
新鮮で嬉しい。

この曲で出陣って、なんて豪華なんだ・・・。

ここからの仕置も出色。

悪人三人が奉行や与力であり、奉行所内での
仕置になる。
石川六右衛門捕縛の祝いとして、南町同心も
揃った中での仕置は難関攻略の味わいも
あり、非常に見応えがあった。

屋根裏に潜み、遠野を狙う涼次をアシストするのが
煙玉を囲炉裡に仕掛けた小五郎だという点が、
先の仕事料の分配の際に殺し合い寸前まで
いった二人であった事を考えると素晴らしい。
反目しあいながらも、仕置に際しては別、という
ドライなプロフェッショナルさがたまらない。

遠野の死をきっかけに起きる混乱から
矢部と西山を奥へ小五郎が避難させ、
更に個別に仕置に掛けるのだが。

「西山様、下手人があちらに」

という雑な(笑)誘導に引っかかった西山を
背後から刺殺する主水。
末期に言いおく言葉も揮っていた。
今回も主水は素晴らしい。

小五郎は矢部を白州の場まで連れて来ての仕置。
これもとても見応えがあった。

胴を薙ぎ、腹を突く時のシーンがスローになり、
その後ろで雨だれが克明に映る描写が美しい。

今回は奇抜な仕置がないためか、充分に
それぞれの仕置に手間ひまを掛け、
美しく仕上げていたのが嬉しい・・・
ってまるで俺が源太を嫌いみたいだな。
そんな事ないんですけどね。

エンディングの『鏡花水月』が流れ。

次々に死体の見つかる奉行所の混乱を尻目に
残るあと一つの的、六右衛門の仕置へ
向かう小五郎。

だが、気配を察知した六右衛門
は逃亡を計る。

その姿が辻を曲がり、小五郎からその姿が
見えなくなった時。

突然の苦鳴と共に六右衛門は殺害されていた。

謎の影と六右衛門の首に殺害の痕跡を残して。

う〜〜〜〜ん、ここで再び次回に続く、かぁ。

いいじゃないか。

この緊迫感、たまらないねぇ。
無印仕事人の一話から二話への引きみたいだな。

これが新仕事人の加入の布石となるか。

次が、また三週開かなくてよかった(笑)。

今週は物語も素晴らしい良作でした。

・・・信じてくれ、源太が嫌いな訳じゃないんだ(笑)!!
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