NS-10M>25年目の実証
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1055594662&owner_id=24232
からの続き。
一度聴かせてしまった責任を感じて、自宅のメインシステムのクオリティを下げてでもカンSPを貸し出す事にした。
再びNS-10Mのツイータを正相接続にして、B端子にカンSPを追加。スコーカとして機能するカンSPだけを鳴らすと随分小さな音しかしない。A端子の10Mだけ鳴らしながらA+Bに切り替えると音が完成する。やっぱり、この音だよ。うんうん。全く、純正の10Mを作った奴らは、いや世界中でスピーカの設計をしている99%以上の連中は一体何をやっているんだ。僕がこの接続を自力で考案したのに要した基礎知識は「電気回路I」だけだぞ。
「これ、素人が見たら単にSPがふた組あって切り替えて使ってるとしか思わないだろうね」
「『このNS-10Mやけに音がいいな』とか思うようなら見込みアリですね」
カンSP用にB端子を使ったという事は結果的に「バイワイヤリング」という事になるのか。まだ(仮)だからスコーカ用にはベルデンだけどな。でもネットワーク素子はショップ推奨のいっぱしの部品を使った。Lだって10Mの中のはフェライトコアだが買ってきたのはドイツ製の空芯樹脂モールド品だ。Cも10Mの中のはMPらしい。webにはこれのせいで音がキツいという報告もあったが、いずれ純正状態で聴いての「評価」だしなぁ。むしろウーファのバイパス用にBPEL(無極性電解)が使われていたのが気になる。これは劣化もしているだろうし当時のELだから品質もアレだ。いっそ換えてしまいたいところだな。高価くないし。
スピーカが透明になったところでカートリッジM44Gの力不足が目立つ。スピーカもまぁアレだが、カートリッジを先に買おうというならそのぐらいの延長は待ってもいい。と言っても今時予算内で買えてクオリティアップの希望が少しでもあるのは結局テクニカのAT7Vぐらいしかない。LC-OFCですっかり「利潤優先」のネガティヴイメージを持ってしまったテクニカだが、どんなもんだろうか。
http://www.audio-technica.co.jp/products/cartridge/at7v.html
とりあえずM44Gもあと少し長いシェルビスを調達して12gのシェルにつけてやらねば、現在のADCの8gのシェルでは軽過ぎてダメだ。フル・フラット接続で低域や高域に変化があろう筈ないのに低域まですっかり見通しがよくなってf0のチューニングが気になるようになってしまった。
「僕が使った『見える音』って言葉、解って戴けました?」
「はい。よく見えます!」
この結果だけを聴いても、ただの「あたりまえにいい音」である。そりゃそうだ。これが「正しい音」なんだから。彼は純正状態の10Mを25年間聴いてきたからこそ、今出ている音の意味も価値もしみじみ解る。僕が提供したいのは「この音」よりも「このエクスペリエンス」なんだよ。
「世の中の10M使ってる人はどうして平気なんだろう」
「Mさんだって25年使ってきて、知らなきゃ今でもそのままでしょ」
「まぁ、そうだけど」
「それに、こんな提案したって普通の人は耳を貸しもしませんよ。Mさんだって最初は門前払いだったじゃないですか。その後これまで確実に実績を積んできたから騙されてみる気にもなったんでしょ」
「確かに、うちのステレオはそんぴさんの提案で実験するたびに確実にレヴェルアップしてきたもんなぁ。世の10M愛好家のためにこれ商品化しませんか?」
「30年モノの5万円のスピーカの真価を引き出すために今5万円出せる人がどれだけいると思います?仮に出せる人がいたとしても大抵はとっくに10万円のスピーカに買い換えてよくなった気になってますよ。3wayになれぱ実に4oct.もの音域がデタラメになっているのにも気付かずにね」
「だよねぇ(タメイキ)」
(ちなみに「5万円」ってのは「商品化した場合の値付け」であるが、実はNS-10Mの定価に揃えただけでそんなに安くできるか自信はない。)
「僕がこんなに手間をかけるのはひとえにMさんがこの喜びを分かち合える人だからですよ」
画像は現在の音出し状態。ユニット位置の調整のためカンSPは転倒設置、ネットワーク素子はカンSPの背後で空中配線。弱冠見苦しいが箱の中で音圧に晒すよりはいいらしい。
「これだけ仕事させて茶菓子も出さずに申し訳ない」
「感謝してるのは僕の方です。25年来の夢を叶えさせて貰ったんですから。僕はずっとこの音を聴いてみたかったんです」
「そんぴさんがおせっかいでよかった!」
「…それ、ほめてる?」
ログインしてコメントを確認・投稿する