【現代語訳】人間は誰でも、次のことを反省し考察してみる必要がある。
「天はなぜ自分をこの世に生み出し、何の用をさせようとするのか。
自分は天(神)の物であるから、必ず天職がある。
この天職を果たさなければ、天罰を必ず受ける」と。
【原文】 人は須らく自ら省察すべし。 「天 何の故にか我が身を生み出し、我をして果たして何の用に供せしむる。 我 既に天の物なれば、必ず天の役有り。天の役供せずんば、天咎必ず至らむ」。 省察して此に到れば、則ち我が身の苟(いやし)くも生くべからざるを知らむ。
人がこの世で生きるということは、「仕事」をもって社会と接し生活を営むということである。「仕」も「事」も「つかえる」と読み、「天に仕える」ことを意味する。ゆえに自分に最も適した職業を天職という。福沢諭吉も「世の中でいちばん楽しく立派なことは一生を貫く仕事を持つことである」といっているように、天職を持ちえた人は幸福な人といえる。
では、その天命による「天職」とは何か。突き詰めれば、仕事を通して、自分だけ儲ければよいという私心を捨てて、世のため人のために尽くすということであろう。
『論語』は「命を知らざれば、以て君子たることなきなり」(いまだ何のために生れたかを知らない者は、一角の人物にはなりえない)といっている。
・・・・岬龍一郎「言志四録」より。
人は「自分の幸せのためにだけ生きるのか」、 誰かのため、あるいは社会のために生きるのか、結局「for me」か 「for you」の生き方が問われるのではないかと思います。
※佐藤一斉「言志四録」は人生の知恵を記したものとして坂本龍馬、吉田松陰、勝海舟、郷隆盛、伊藤博文、山形有朋など数多くの幕末の志士たちが範とした名著で全4巻、1133条からなり、今もトップリーダたちの座右の書として高く評価されています。
とくに維新の英傑である西郷隆盛はこの「言志四録」を座右の銘として繰り返し、反復熟読したといわれ、その中から101条を選んで「南州手抄言志碌」として残したほどです。
ログインしてコメントを確認・投稿する