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2017年04月23日16:32

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第598回札幌交響楽団定期演奏会

【プログラム】
1 コルンゴルト: ヴァイオリン協奏曲op.35
   〜〜〜 休 憩 〜〜〜
2 ホルスト: 組曲「惑星」op.32

(アンコール)
ヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ:ソナタ第3番ニ短調より第3曲「鐘の模倣」
                               (ヴァイオリン)

(ロビーコンサート)
ハイドン: 弦楽四重奏曲ト長調op.77-1 Hob.��:81より第1楽章
阿部亜希子(Vn),織田美貴子(Vn),青木晃一(Vl),武田芽衣(Vc)

札響合唱団(女声合唱)
札幌交響楽団(管弦楽)
広上 淳一(指揮)

2017年4月22日(土),14:00開演,札幌コンサートホール


演奏会の最後,「友情客演指揮者」の就任記念のスピーチの中で,広上淳一が札響は世界的にも通用するオーケストラに育ったという趣旨のことを話した。外交辞令であることは間違いないとしても,根拠のないただのお世辞でもないだろうと思わせるものが,この日の札響にはあった。弦楽セクションは透明感を増し,管楽器も弦の音色と一体感のあるサウンド。ヨーロッパのオーケストラに匹敵するような演奏だった。札響は友情客演指揮者のおだてにまんまと乗せられて好演したのかも。

ダニエル・ホープが独奏をつとめるコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲は,この作品としてはややユニークな演奏になったのではないだろうか。彼がこの協奏曲のソロを弾くとわかったとき,意外な感じがしたと同時にどのように料理するのか興味がわいた。実際に聴いてみて,この時の予感が半ば的中したように思う。

遊び心いっぱいのヴァイオリニストが,爛熟し切ったロマンチシズムをどのように表現するのかが個人的な関心事だったが,真正面から正攻法で攻めるというよりは,奇襲攻撃に近いアプローチだったといっていいのではないか。ダニエル・ホープは息の長いフレーズを耽美的に鳴らすのではなく,長いフレーズを短く区切り鋭いアクセントを伴って切り込む古楽奏法にも似た弾き方だった。コルンゴルトのヴァイオリン・コンチェルトは録音も含めてそれほど多くの演奏を聴いている訳ではないが,このようなアプローチもありなのかと思った。

オーケストラは伴奏に徹する姿勢が明確で,可能な限り独奏者の意図に沿うというスタンスだった。この作品に対する指揮者なりオーケストラなりの解釈の本音はどうなんだろう。ヴァイオリニストが休んでいる間に,甘美であると同時に透明感のある芳醇な音楽が時折もれてくる。それをもっと主張し,ソリストを挑発してみれば,もっと面白い演奏になったように思うのだが。ダニエル・ホープに遠慮したのだろうか。この日の札響はホープに決して力負けしてはいなかったと思うのだが。

コルンゴルトに引き換え,ホルストの「惑星」はのびのびと演奏していただけあって,札響のポテンシャルが全面的に開花したような印象だ。繰り返しになるが,弦の音色のなんと美しいこと。このオケがこれほど透明感あふれる濃密な響きを奏でるとは,正直なところ予想していなかった。そして,これまで気になっていた弦楽器と管楽器の統一感や一体感も一流のオーケストラのレベルに急接近したようにきこえる。どこをどうすれば短期間に長足の進歩を遂げることができるのか皆目見当はつかないが,相当いい線を行っていたことだけは確かだ。

この好印象は,広上淳一の指揮もさることながら,この日選んだ曲目に負うところが大きいような気がする。いうまでもなく,ホルストの組曲「惑星」は,オーディオ・マニアが欣喜雀躍する類のオーケストラ・ピースで,演奏効果が抜群の作品だ。この種の作品にも演奏上の困難は枚挙に遑がないほど数多くあることは承知しているつもりだが,演奏効果だけに集中すればいいという点では割り切った取り組みが可能な作品という面もあるだろう。もし,この見方が的外れでないとすれば,テクニックの点で比較的高い水準に届いたということだろう。

他方で,それはオーケストラに求められることの半分か3分の1を達成したことを意味するにすぎない。傑作と言われる多くの作品がそうであるように,作曲家が作品に込めたメッセージを表現する大仕事は常に待ち構えている。この課題にどう挑むのかに関しては,この定期演奏会で答えが出た訳ではないだろう。様々な指揮者とともに果敢にチャレンジすることを願っている。

話は横道に逸れるが,4月の定期演奏会の隠れたテーマは,「スター・ウォーズ」だったのかと演奏会の終了後にふとひらめいた。コルンゴルトはユダヤ系だったため,1934年にハリウッドに招かれたのを機にアメリカにとどまった。そして,アメリカの映画音楽の基礎を築いた作曲家であり,その伝統はジョン・ウィリアムズをも超えて連綿と続いている。さらにコルンゴルトの音楽は表面的な絢爛豪華さが身上であり,ホルストの「惑星」との接点もそこにあることはいうまでもない。そして,その流れは戦後のハリウッド映画の音楽の主流となり,「スター・ウォーズ」で一つの頂点を極めたことは多くの説明を要しないだろう。
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