■袴田さん、国に2億1700万円請求=補償金、再審無罪確定で―静岡
(時事通信社 - 01月29日 19:01)
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拘束47年7カ月で2億円、もちろん釈放後は対象外。
検察が上訴権を放棄し、9日に無罪が確定した袴田巌さん(88)は2014年に釈放されるまでの47年7カ月間、身体を拘束され続けた。今後、補償金として最大2億円超が支払われるが、弁護団は「不十分」として国家賠償請求訴訟の提起も視野に入れる。上限額は30年余り見直されておらず「冤罪(えんざい)」に対する補償のあり方が改めて問われる。
刑事補償法は無罪が確定した場合、拘束1日につき1000〜1万2500円を支払うと定める。請求を受けた裁判所が精神的苦痛の大きさのほか、捜査機関や裁判所の故意・過失などを踏まえて支給額を決める。最高裁の資料によれば、22年までの5年間に全国の裁判所で補償が認められたのは456人。22年は77人で、平均額は1日当たり1万387円だった。袴田さんの補償対象は、逮捕された1966年8月から静岡地裁が拘置を停止した2014年3月までの約1万7300日分となる見通しだ。釈放から無罪確定までの10年間は法的地位が不安定な状況に置かれていたにもかかわらず、身体拘束されていないため補償の対象外となる。
確定死刑囚から再審無罪となった「島田事件」のケースは上限額が認定され、1989年に35年の拘束に対して約1億1900万円が支給された。最近では「松橋事件」でも13年分の補償として、2019年に上限に当たる約6000万円の支払いが認められた。袴田さんについても「上限額が認められるだろう」(ベテラン裁判官)との見方が強い。その場合、補償は単純計算で約2億1000万円と過去最高額になる見通しだが、弁護団は「精神的苦痛の大きさからすれば不十分だ」と問題視する。法務省などによると、最低補償額の1000円は1978年以降変わっていない。上限額も92年に当時の平均給与や物価などを踏まえて9400円から現行の1万2500円に引き上げられたのを最後に据え置かれている。30年以上も「1時間当たり最大520円」の水準が維持されてきた。この間、犯罪被害者や遺族らに支給する「犯罪被害給付金」は給付額が不十分との指摘を受け、算定基準の見直しが進んだ。その結果、24年6月に遺族向け給付の最低額が320万円から1060万円に引き上げられた。
「冤罪被害者」が規定を上回る補償を求めるには、国を相手取って国賠訴訟を起こす必要がある。例えば11年に再審無罪が確定した「布川事件」では、約1億3000万円の刑事補償とは別に、国などに約7400万円の支払いを命じた判決が21年に確定した。だが、逮捕や起訴などの違法性を原告側が立証しなければならず、ハードルは高い。再審無罪が確定した事件でも違法性が認められないとして請求が棄却される例は少なくない。袴田さんの弁護団は今後、捜査機関などの責任追及を主眼に、国賠訴訟の提起を検討する。今回確定した静岡地裁判決は犯行着衣とされた「5点の衣類」を含む3件の証拠を「捜査機関による捏造(ねつぞう)」と認定した。弁護団の小川秀世弁護士は「早い段階で決着できるのではないか」とみるが、結論が出るまでには一定の時間がかかるとみられる。
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