今日は久しぶりに上野の東京文化会館に行って、Richard StraussのオペラDie Frau ohne Schatten (影のない女)を見に行ったつもりだったんですが、実際僕が見たのは何なのか謎です。
このオペラ、最初に生で見たのは1993年のLos Angeles Operaの公演で、この時はDavid Hockneyが舞台と衣装を担当して話題で、Gwyneth Jonesが染物師の妻、Franz GrundheberがBarak、Jane Henschelが乳母というとてもいいキャストでした。
その後も、MetでChristian Thielemann指揮のものを見たり、比較的恵まれていたのですが、今回は個人的には大ハズレでした。
元凶は演出のPeter Konwintschny。彼の演出はいわゆるRegietheater (Eurotrash)なんですが、僕は別に演出が現代的だとか置き換えだからと言って必ずしも反対ではありません。
実際彼の演出したLohengrinをハンブルクで見たときは、舞台が学校の教室でLohengrinが理科の先生、三つ編みのElsaとOrtrudが教室で取っ組み合いの喧嘩をするという、トンデモ演出でしたが、とっても楽しめました。
でも今回のFROSCHの演出では、このオペラの一番、重要な皇后の、自分の夫を助けるために他人の幸せを犠牲にすることを拒否する“Ich will nicht!”という台詞のある場面をごっそりカットしただけでなく、他にもカットや順番の入れ替えがあって、原作をリスペクトしていない演出家の奢りが前面に出た感じです。
確かにこのオペラ、表層的には、女性の幸せは子どもを産むことによってのみ達成できる、という現代人の感覚から言うと、とてもじゃないけど同意できない(アメリカの共和党の副大統領候補のJD Vanceのchildless cat ladies批判と本質的に同じもの)ですが、それだけじゃない要素があるので、なにもあそこまでまったく台本を無視することはないでしょうに。(最後はなんとバラクが妻を射殺して終わり!)
歌手、特に乳母役の藤井麻美が素晴らしく、皇后役の冨平安希子も良かったですが、バラクの妻の板波利加は役に寄せたなのかガミガミ女の悪声すぎて、Sawallischの完全全曲録音で唯一の不満のUte Vinzingの歌唱を思い出しました。
明日は別キャストでまた行きますが、早めに行ってワインでも引っかけないと辛いかも。
ログインしてコメントを確認・投稿する