「地獄への道は善意で舗装されている」
ヨーロッバのことわざ。
あの言葉はこういうことをいうのかと、この作品を読んでいる途中にそう思った。
作中舞台は、ゾンビがあふれる現代日本。主人公は終末に備えてきたプレッパー。
プレッパーってのは、ほら、あれだ。アメリカあたりで核戦争に備えて自宅地下にシェルター掘ったり、保存食をしこたま貯め込んでるちょっとアレな人がまれによくいるだろう?それそれ。
少年は、ゾンビ発生の最初期にいち早く行動し、自分と家族が十年立て籠もれる準備を自宅に整えた。だが母親は死亡、父親は行方不明。代わりというわけではないが、逃げてきた幼馴染姉妹を匿うことになる。幼馴染が連れてきてしまった友達とともに。
序盤の概要はそんな感じ。
あらすじにも似たようなことが書かれているが、半ば詐欺なので真に受けてはいけない。
主人公の少年と三人の少女。だが、ハーレムでも、ラブコメでもない。
序盤、地の文というか、主人公の一人称描写が軽いノリだが、これも詐欺。
あえて。
あえてネタバレしてしまうと、主人公はこの三人の誰とも結ばれない。
少年は住居と食べ物を提供し、周囲の安全の確保に努め、危険な街に出て物資の追加調達もする。少年は保護者。少女たちは被保護者。端的にいえばお荷物だ。
そんな、命のかかった一方通行の関係がまともではないことを少年は理解していた。
(そのあたりは終盤に語られる)
少年のもとには、様々な厄介事が舞い込んでくる。
助けを求める幼子を連れた若い母親。一度は一般市民を見捨てながら「物資供出の協力」を銃を向けて要請してくる自衛隊員。ほかにもあれやらこれやら。
それらに対する少年の立ち回りが、この作品の最大の見どころ。
お人好しだが、それは無条件無制限ではない。
助けられるなら助けもするし、協力もするが…
ゾンビあふれる世界、でも本質はヒューマンドラマ。
シミュレート系SFではないので、そのあたりの細かいところは気にしないほうが吉。
異世界じゃないし、ハーレムでもない。ラブコメですらなく、ゾンビはいる。
(わかりやすくゾンビと書いてるが、ゾンビではなく感染者。詳しくは作中で)
なろうにあってなろうらしくない、2000年前後のライトノベルみたいな作品。
分量は文庫三冊弱くらい。ちゃんと完結している。
書籍化もコミカライズもされていないが、埋もれたままにするには惜しい作品。
オススメ。
少年Z
https://ncode.syosetu.com/n8362dk/
ログインしてコメントを確認・投稿する