きのう見た最終回はなかなかよかったです。
コゼットが以前、徒刑囚を見て「人とは思えない」という暴言を吐いたことは、ジャン・バルジャンがコゼットの結婚後に離れる決心をしたという理由の1つとして伏線になっていました。
マリウスを救ったのはジャン・バルジャンに違いないと断言したのは、コゼットでした。これは原作にないオリジナルだと思います。
マリウスとの恋に夢中になっていた時は、思慮浅そうな娘に見えましたが、マリウスとの結婚という最優先事項が落ち着けば、もっと回りが見えてくるようです。
そのへんは、いまの自分にも重ねてしまいました。
1番の優先したい事項が脅かされると、心が動揺して、落ち着いた判断はできないです。
自分にとっての優先事項がいつもわかっているというのは、自分がすべきことを決めて、腰が据わることもある一方で、それが脅かされると、がらがらと崩れてしまいます。
これまでのBBCでのコゼット像は、わたしにとってはいまいちでしたが、マリウスを救ったのは父だと断言したところはとても気に入りました。
原作ではその場にいなかったはずです。そして原作では、マリウスが自分の命の恩人をジャン・バルジャンと確定するのには、マリウスを殺したのだと勘違いしていたテナルディエがマリウスからこっそり盗んでおいた物証がありました。
その最後の(良い意味での)どんでん返しシーン(あるいは真実暴露シーン)で、テナルディエが唯一、ほろっとさせるところを見せたのは意外によかったです。
マリウスが自分が従軍したときに救ったポンメルシー将軍の息子だと知り、そのマリウスからその分の礼金をもらった時、「自分が珍しくやった善行が初めて報われた」と、しみじみし言ったところです。
ほんとは善行なんかしていないです。戦死した仲間から金目のものを盗んでいたとき、たまたまポンメルシーが息を吹き返して、テナルディエを命の恩人かと勘違いしただけなのです。強いて言えば、テナルディエがごそごそと金目のものを盗む気配で起こされたことくらい?
ただ、よくあることですが、テナルディエはいろいろ報われず、どんどん犯罪に手を染め、堕落していくのは、第三者から見たら本人の日頃の行動の報いです。宿屋を経営して、一応まともに(?)生活していた時も、客からぼったくり商売をしていたのですから。
ただ、本人はそれは悪いことだとは思っていなくて、いわば極端に自己評価が高い、というか自己都合人間です。
だからこそ、自分はいつも報われていない、他人や社会の自分に対する評価が低すぎると思ってしまうわけでしょう。
だけど、唯一報われたと思ったわけです。どんなに自己評価がゆがんで高すぎる人でも、報われた感を一度も得られないというのはつらいだろうと思いました。
もちろん、実際、ポンメルシー将軍を救っていないのですから、回りの誤解がなければ、こんなことは起きませんでした。
もっとも、テナルディエは原作によると、たしかアメリカに渡って奴隷商人になるので、長生きしてもろくなことはしていませんでした。
ジャベール刑事も7回目まではどんどんエキセントリックになっていて、自分の信条を根底から覆す可能性のあるジャン・バルジャンを本能的に恐れていたからあれほどしつこかったのだろうと思えてきて、最終回の8回目ではそれを認めるので、ずいぶん丸くなっていました。
自殺する前に、徒刑囚の待遇を含めた警察機構への改善提案を上層部に提出するというオリジナルがありました。本人は自殺してしまいますが、未来への少しは前進が感じられるオリジナルでした。
一方、最後の最後のシーンは、物乞いをする2人の子供でした。
あいかわらずミゼラブルな人々は途絶えることがないことを表しているようでした。
はじめその子供は、もしかしたら幼いジャン・バルジャンとか、ジャン・バルジャンがパンを盗むきっかけとなった姉の子供たちかしもれないと思いましたが、そういうことは一切示唆されていませんでした。
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