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2018年04月09日13:22

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地方公務員の年功序列を変えよう♫

公務員給与の年功序列を変えられない本当の理由
加藤年紀:株式会社ホルグ代表取締役社長
2018.4.8

 公務員は、勤続年数が基本給に直結する。この年功序列の給与制度に対して、批判や懐疑的な意見が飛び交って久しい。平成も30年になり、時代は移り変わる中、年功序列は今もなお公務員組織に根付いている。地方自治体もその例外ではない。

 年功序列の給与制度を多角的な視点から検証すべく「年功序列を擁護する理由」、「年功序列が生む新たな課題」、そして、あまり知られていないことだが、全国の自治体で唯一、年功序列の給与制度を廃止した「箕面(みのお)市の事例」から、改革が進まない理由を明らかにする。

 公務員の給与制度において、なぜ年功序列が維持されているのか。そして、この制度は果たして現状に見合う制度なのだろうか。地方自治体各所を取材する中で、制度を変革する際の課題点が見えてきた。

年功序列を擁護する理由

 年功序列の給与制度を擁護する人たちは一定数存在するが、擁護派の主張を裏付ける理由は大きく2つある。「年次以外の評価ができない」「成果に偏向するあまり、不正を助長する」というものだ。この2つを順に検証したい。

 まず、「年次以外の評価ができない」という理由について。自治体では水道や下水道事業などの一部の部署を除き、売り上げという概念が存在しない。そのため、評価の基準が曖昧になり、目標を具体化できず評価ができないということだ。

 しかし、これは民間企業の評価制度を曲解した意見である。民間企業にも当然、管理部門や企画部門があり、チームで仕事を行うことのほうが多い。個人の業務が直接的に売り上げへ結びつく職種は、営業などのごく一部に限られる。一般的には全ての職種において目標や能力・成果を可視化する努力を行っている。

 たとえば事務職であれば、「決められた数の作業処理をどの程度の時間で終えられたか」、「効率化の新たな改善案を出せたか」、「その案は実現したか」、「どの程度改善効果があったのか」などと、具体的なアクションと成果、さらには能力や行動特性などをもとに評価がなされる。これが自治体においてできない理由はない。

 次に「成果に偏向して、不正を助長する」という理由だ。そもそも、「年功序列の廃止=過度な成果主義」という論調が散見されるが、決してそうではない。たとえば、前述した事務職の評価をした場合に、不正が増加するリスクは高まるだろうか。また、成果だけではなく、能力評価やコンピテンシー評価の比重を高めることで、不正につながる可能性はさらに大きく低減できる。

 そもそも、技術が日々進歩している中、不正を減らす努力は第一に仕組みで、次に教育で行われるべきである。昨今、話題に上がる公文書の問題も、紙などではなく、然るべきデータベース上で適切に管理していれば不正は簡単にできなかったはずだ。行政では「不正防止」という名のもとに、あまりにも多くの改善や改革を遠ざける一方で、仕組みで不正を排除する努力は不十分だ。

年功序列が引き起こす新たな問題

 民間企業から自治体への転職者が増加傾向にあるが、年功序列の給与制度が優秀な人材獲得に支障をきたしている。

 人材という経営資源は組織のパフォーマンスに強く影響を及ぼす。全国の地方自治体の一般行政職員は約90万人いるが、民間企業従事者は約4000万人にのぼる。4000万人の民間企業から優秀な人材を獲得することは、自治体組織の成果を高める有効な手段の一つになりうる。

 しかし、優秀な民間企業の若手人材が自治体に転職しようとしても、自治体では勤続年数によって基本給が決まるため、彼らは低い報酬に甘んじるしかない。民間企業での経験が10年未満のケースなどでは、筆記などを含めた公務員試験に合格しなければいけないうえに、民間企業時代の勤続年数を50%から80%程度しか換算されないことが通例である。民間企業で活躍した実績があっても、公務員として働く場合は勤続年数という画一的な枠に押し込められ、民間時代の経験が割り引かれるのだ。

 この状況では、民間企業の第一線で活躍している優秀な人材が、わざわざ公務員試験の勉強を行い、給与を下げて転職する可能性は低い。現在の給与制度は、優秀な民間人材の獲得を自ら遠ざけていると言わざるを得ない。

 別の課題もある。新卒売り手市場のいま、新規採用の内定辞退率が6割を超える自治体も出てきたという。優秀な新卒が採用できなくなれば、優秀な民間人材を獲得する重要性はさらに高まる。旧態依然とした文化や制度が、新卒や中途を問わず、自治体で働く魅力を低下させていることは、強く意識すべきだろう。

大阪府箕面市の「頑張った人が報われる給与体系」

 あまり知られていないことだが、年功序列の給与制度を廃止している自治体が全国に一つだけ存在する。大阪府箕面市はなんと4年前、2014年に給与制度改革を行った。この改革の大きなポイントは、上位役職者の給料を部下が上回らないようにしたことにある。

 制度改革を主導した倉田哲郎市長は、市役所全体の成果を高めるためには、「頑張った人が報われる給与体系」が必要だと強く感じていた。その考えに至るきっかけは、若手職員の不満の声であった。

 箕面市では給与制度改革の前から、昇進に関しては年功序列ではなかった。だからこそ、年下が上司になり、年上が部下になる、という状況も一定数存在し、給与が年功序列であるために、若い上司よりもベテランの部下が多くの報酬を得る逆転現象が存在した。この状況では「頑張っても報われない」と感じるのは当然だろう。最近、自治体では昇進を望まない職員が増加しているが、年功序列の給与制度が一つの理由であることは間違いない。

最も高いハードルは職員組合と地方議会

 年功序列の給与制度にまつわる非合理性を語ることは、そう難しいことではない。様々な改革を推進する首長が全国に生まれる中、彼らがその状況に気がつかないはずがない。それでも、給与制度改革が進まない理由は、地方議会で条例を通す難しさがあるためだ。

 一般的に重要な労使条件の変更については、まず、自治体と職員組合が協議する。そこで折り合いがついた上で、議会で可決という流れになる。職員組合は、従来に比べ加入比率は低下しているが、職員の既存の雇用環境を守ることに主眼を置き、前述したような理由で給与制度の改革には反対する。

 また、議会を構成する議員は、選挙において重要な票田となりうる職員組合の矢面に立ちたくない。そのため、あくまでも自治体と職員組合の協議の結果を追認する形をとりたい。当然ながら、同じく選挙で戦う使命にある首長も、職員組合と好んで対立したくはない。

 倉田市長のケースではどうだったのだろうか。2008年の一期目の選挙では自民党、民主党、公明党から推薦をもらい、職員組合も応援に回った。しかし、2012年に迎えた二期目の市長選挙では、給与制度改革をマニフェストに掲げるため、完全無所属で出馬せざるをえなかった。給与制度改革を断行するのであれば、職員組合との関係に大きな影響を持つ。結果として政党からの後押しも得られず、厳しい選挙戦となる。倉田市長は当時を「背水の陣だった」と振り返る。

7割超の職員が人事給与制度改革に賛成

 倉田市長の再選後、若手のプロジェクトチームが新給与制度のたたき台を作り、それをもとに人事の担当課が案を固めたという。この案をもとに職員組合や議会との厳しい交渉や調整を経て、ようやく運用開始へとこぎつけた。市長の胆力と交渉力、そして、選挙戦の強さがなければ、この案件は進まなかっただろう。

 後日とった箕面市の職員アンケートでは、意外にも7割超がこの人事給与制度改革に賛成していた。改革を掲げると、職員組合をはじめ、既存環境の維持を希望する人々と、一時的な軋轢は必ず生まれる。特に給与は生活にも直結するため、不満が出る気持ちもわかる。一方で長期的な視点において正しい政策は、やがて当事者にも理解されていく。また、理解させていくことが、政治家として求められる能力だ。理想の未来像を追い求め、軋轢もいとわない倉田市長の在り方は、まさに政治家のあるべき姿と言える。

「無作為」という作為により生まれた「哀しいエコシステム」

 国も地方自治体も財政的な課題が叫ばれて久しい。右肩上がりの時代ではなくなった今でも、様々な既得権益者が政治行政と結びつき、多くの改革を遅らせている。

『既得権益者』と『国民の無関心』、加えて、『既得権益者に配慮せざるを得ない政治家』が相まって、政治行政は、長期的で建設的な視点が奪われていく。この悪循環は誰か特定の一人が生み出すものではなく、全ての当事者が無自覚に生み出した、「哀しいエコシステム」だ。これに対しては、葛藤や諦めなど、様々な考えを持つ政治・行政関係者も多く存在する。公務員の給与制度は、こうした「哀しいエコシステム」が生み出した象徴的な仕組みではないかと思う。

 倉田市長は「首長がやる気にならないと、給与制度改革はできない」と振り返る。しかし本来ならば、年功序列の廃止は首長以外の者が主導すべきだろう。なぜなら、執行機関である地方自治体の長が職員との対立構図を生むことは、組織の安定運営に軋轢を生み、他の政策に注ぎ込めるはずの推進力を分散させる可能性があるからだ。

 箕面市の場合は前例が存在しなかったため、首長主導が必要だった。しかし、状況は変わり、今では一つの貴重な事例が存在する。自治体にとって、前例の存在は推進力となる。

 では、この前例をもとに誰が主導すべきかということだが、筆者は人事課や地方議会にその役割を期待したい。自治体の将来に多大な影響を及ぼす人事政策や人材戦略は、経営目線、現場目線のどちらにおいても避けて通ることのできない、重要かつ喫緊の課題であるからだ。

 2014年、箕面市は年功序列に踏み込んだ給与制度改革を断行し、新たな道を切り拓いた。しかし、残念ながら追随した自治体は未だ存在しない。前例が一定数に達すると、急激に全国へと広まるのが自治体の常だが、その一定数に達するまで時間を要することは悩ましい。

「頑張った人が報われる給与体系」だけではなく、「頑張った自治体が報われる制度」も必要なのかもしれない。
http://diamond.jp/articles/-/166067
安倍内閣の働き方改革はビジョンがはっきりしません。
サービス残業廃止や給与の引き上げが目的ならば、評価はしますが夢は無いです^^;

大阪府箕面市市長の改革を参考に、全国規模で年功序列の給与制度見直しを推進してみてはいかがでしょうか。
改革しようとした倉田市長に地方自民党でさえ敵に回ったのです。
安倍総理にしか出来ない政策です。
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