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2018年01月06日22:11

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一年の計

今年は「一年の計」について書くのをよそうかと真剣に考えた。向こう一年の計画を立てること自体,マンネリに陥って新鮮味がないということもある。だが,それ以上に,最近の演奏会,特に海外からのアーティストやオーケストラなどのコンサートは,質の面でも量に関しても,ひと頃に比べると著しく見劣りするように思う。もちろん,外国の音楽家や演奏団体に対する幻想が消えたという事情も無関係ではないが,そればかりでもない。

今のところ目をつけているオペラの引越し公演は,4月に来日するベルリン・コミッシェ・オーパーの「魔笛」,9月に開催されるローマ歌劇場による「椿姫」と「マノン・レスコー」の公演くらい。ベルリン・コミシェ・オーパーは,前から一度は観たいと思っていた演奏団体だ。

オペラはこれくらいにして,ティーレマン&ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(10月ー11月)によるシューマンの交響曲ツィクルスは万難を排して聴きにゆく。あと,引退を発表したマリア=ジョアン・ピレシュのリサイタル(4月)は是非とも聴いておこうと思う。このリサイタルは,ベートーヴェンの「悲愴」,シューベルトの「即興曲集」D.964,ベートヴェンのピアノ・ソナタ第32番と選曲もいい。

ラトル&ロンドン交響楽団と共に来日するクリスティアン・ツィメルマン(9月)を聴くかどうか。これがツィメルマンを聴く最後のチャンスになるかもしれないし,迷うところだ。去年のボストン響との共演が面白かったギル・シャハムのリサイタル(6月)も,まだどうするか決めかねている。エレーヌ・グリモー(11月)にも惹かれる。グリモーはリサイタルにするかコンチェルトにするか,選ぶのは難しい。

そんなわけで,今年,来日演奏家などの公演は思い切って絞り込むことにする。その代わりというわけではないが,国内の演奏団体による注目すべき公演を聴こうと考えている。ミンコフスキ&オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の「ペレアスとメリザンド」は聴き逃す訳にはいかない。東京・春・音楽祭の「ローエングリン」はチケットを買いそびれてしまったので諦める。この音楽祭のワーグナー・シリーズは評判が高いところへもってきて,フォークト人気で早々に完売したのでしょう。新国立劇場や二期会,藤原歌劇団などの公演にも注目して,これはという公演には足を運んでみたい。あと,バッハ・コレギウム・ジャパンの「ヨハネ受難曲」(2月),「マタイ受難曲」(3月),モーツァルトの「レクイエム」(9月)と「クリスマス・オラトリオ」(11月)はすべて聴いてみたい。「レクイエム」には,モイツァ・エルトマンが出演する。

話は横道にそれるが,先ごろOEKの芸術監督にミンコフスキが就任するとの発表があった。ミンコフスキの芸術監督就任がOEKにどのような影響をもたらすかはまだ見通すことはできないにしても,歓迎すべきことだと思う。従来,在京オケであれば指揮者はこのクラス,関西圏ならこれくらい,政令指定都市はこう,それ以外の地方都市は云々といった序列というか相場観がまだ健在だと思う。OEKの例が地方オケならこのくらいで十分といった風潮に風穴をあけることを期待する。演奏会場となるハコモノに関しては全国どの都市でも競い合って立派なホールを建てるのに,人材については都市ごとにランクづけがあるのは奇妙だ。ミンコフスキのOEKシェフ起用が目覚ましい実績を挙げ,全国のオーケストラに衝撃を与えることを願っている。

すべての公演が出揃っているわけではないが,地元のホールでは,トン・コープマン&アムステルダム・バロック管弦楽団・合唱団のJ.S.バッハ「ミサ曲ロ短調」(9月),内田光子のリサイタル(10月),ダニエル・ハーディング&パリ管弦楽団(12月)がめぼしいところか。ハーディング&パリ管のソリストはイザベル・ファウスト。また,札幌交響楽団の定期演奏会もラインナップが公表されたが,今年の演奏会は昨年に輪をかけて貧弱だ。首席指揮者がマックス・ポンマーからマティアス・バーメルトに交替するが,どう考えても守りから攻めの姿勢に転じたというメッセージとは映らない。予算等の制約の中で最善の指揮者を選びましたという建前としかみえない。

地元といえば,四面舞台を完備し,オペラの本格的な上演が可能となる劇場が,今年10月にオープンする。こけら落としは「アイーダ」で,神奈川県民ホール,兵庫県立芸術文化センター,二期会などとの共同制作。また,年末に発表された「オペラ夏の祭典2019ー20」のプロジェクトに参加し,来年は「トゥーランドット」を上演すると発表された。だが,その翌年の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の上演は見送りになった。オペラを根付かせる絶好のチャンスを自ら進んでフイにしてしまうとはなんともまあ。資金面でも芸術面でも自力でオペラをプロデュースする能力はなさそうなので,オペラ上演もオープン3年目で尻すぼみとなることが確定か。これでは,四面舞台を備えた劇場が四面楚歌だ(失礼)。

めでたい新年の幕開けとは裏腹に,希望よりも,ぼやきの多い「一年の計」になってしまった。まあ,当方としては,経済的に許される範囲で,首都圏などへ出かけてゆけばいいだけのことだ。そうそう,今年はびわ湖ホールへ行ってみようか。オペラの公演に意欲的に取り組んでいるみたいなので。「ペレアスとメリザンド」以外でも,ミンンコフスキ&OEKの定期演奏会も面白そうだ。
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