思考は人生を創る。積極か消極かというだけで、人生の幸福の宝庫が開かれるかどうかが、決まってしまう。
飢えた二人の旅人が、村外れの夜道を歩いていた。偶然、教会を見つけた。二人は小躍りして教会の門を叩いた。「朝から何も食べていないのでパンを分けてください」と懇願した。
牧師は気の毒そうな顔をして言った。「たった今、私は食事を終えたばかりです。そして、最後のパンを食べてしまいました。貧乏な教会ですから、ろくに蓄えもありません」。
旅人はがっかりした。その姿を見て牧師は「念のために探してみましょう」といって、やっとパンひときれを見つけてきた。旅人たちはそれをもらって、半分ずつに分けた。
一人は言った。「チエッ、半分しかねぇのか ! 」
もう一人が言った。「よかったあ、半分もくれたじゃないか」。
どちらがしあわせだろうか。
調子のよい時はだれもが積極的になる。調子の悪い時が問題なのだ。ついマイナス、マイナスへと行ってしまう。
危機に直面したら、「どうしよう?」という前に、まず「大丈夫だ」と口に出して言ってみよう。不思議に気持ちがすわってくるものだ。
心が積極的に動いたとき、妙案が次々と浮かんでくるから不思議だ。ただし、積極的というのは、強引に意地をはり通したり、無理矢理に突き進んだり、他人のことを構わず勝手気ままにあつかましく押し通すことではない。
天風先生は、そういう人を、手のつけようのない楽天主義者だと呼んでいる。
積極的肯定的か、消極的否定的か。自分がどう思考するか、いいかえれば自分の心の持ち方いかんで、自分の運命も、人生も変っていくのである。
清水栄一「中村天風に学ぶ絶対積極の言葉」より。
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