小山悠子医学博士は中学校2年生を対象に行った調査の結果から、「歯と知能」との関係を次のようにまとめています。
1.知能指数の高い子どもは、咬合状態(歯のかみ合わせ)がよい。
2.成績の悪い子どもは、大臼歯が1本以上抜けている。
3.不正咬合を治すことにより、成績が向上する。
このことから、小山悠子先生は「よく咬めるから頭がよくなる」と言われます。
「噛む」ことが、脳の活動を高めることは、多くの動物実験でも確認されています。
九州大学医学部の松本公絵講師らの実験によると、
硬いエサを食べているネズミのほうが、粉末のエサを食べているネズミより学習成績がよく、脳の温度も0.3度C上昇していた、と報告しています。
大脳生理学者が行った実験でも、固形食をよく噛んでいるネズミについて同様の結果が出ており、とくに大脳皮質内のタンパク質や記憶に関連したホルモンの量が多くなっていることを示しています。
噛むことは、なぜ頭の活性化につながるのでしょうか。次の理由によります。
1.噛むことは脳へ強烈なインパクトを与える。
2.噛むことにより、脳内の血行がよくなる。
3.噛むことは脳細胞を活性化する
筋肉のうちアゴにある咬筋は、足の大腿筋についで強い筋肉です。センベイ1枚を噛むだけで、アゴに70キロという大きな力が加わることになります。一般の人の平均体重よりも大きい力といえます。これだけの力が加わるので、脳に強烈なインパクトを与えることになり、脳が活性化するのです。
とくに、大脳の中でも口や舌、アゴ、喉の動きに関連した部分は、手の部分についで、広い面積を占め、しかも口やアゴは脳に近いために、脳に強い刺激を広範囲にわたって与えることになります。
大脳生理学者の日本医科大学 品川嘉也教授も「サラリーマンで昼食時に、二かみ、三かみぐらいで飲み込んでしまい、充分食事時間をとらない人は、消化を悪くするだけでなく、ボケへの落とし穴を自ら掘るのと同じだ」とまで言われます。
歯ざわりというように、食物の味は、舌だけではなく、歯によっても味わっています。歯の根を覆っている膜を歯根膜といいますが、そこにある神経が、髪の毛1本噛んでも、ちゃんとわかるように、食べ物の形や硬さを、歯の中の神経を通して脳へ情報を伝えます。
噛めば噛むほど脳細胞を刺激し、頭の働きをよくすることが分かります。
歯が抜けた場合でも、直ちに入れ歯をすることが大切です。東京歯科医科大学長谷川正康教授によると、たとえ総入れ歯でも歯の噛む力は入れ歯によって70%まで回復するからです。
前述のように、硬いエサを食べるネズミは脳の温度が上昇します。それは脳の中の血行が高まるからです。
東京都老人総合研究所は東京都老人医療センターと協力して、PET(陽電子放射断層撮影装置)という機械で、チューインガムを噛むとき、脳の血液量が大量に増えることを確かめています。
この脳の血行をよくすることが、脳の働きをよくする大きな原因の一つだといえます。
歯ぐきが赤いのは、ここに血管が集中しているからです。よく噛んで口やアゴの筋肉運動をすることが、ちょうどポンプの役目をして、脳に血液を送り込むことになります。
小山悠子医学博士は「噛むことは心臓、歩行についで、血行をよくする血液の第3のポンプと言われます。時々、カチカチと50回くらい空噛みをすると、頭の働きがよくなる」と言います。ノンシュガーのガムを噛むのも賢明だと思います。
プロ野球のテレビ中継で外人選手がチューインガムを噛んでいるのをよく見ます。大脳生理学者は「外人選手は体験上、噛むことで自分の頭や体が活性化し、プレーに集中できるのを知っているのだろう」と言い、脳の若返りのためにも噛むことの大切さを強調しています。
居眠り運転防止のためにも、ガムを噛むと効果があることは私たちの経験するところです。
ログインしてコメントを確認・投稿する