西郷隆盛の座右の書と言われる佐藤一斉「言志四録」は次のように言っています。
★面は冷ならんことを欲し、背は暖ならんことを欲し、胸は虚ならんことを欲し、腹は実ならんことを欲す。
(現代語訳: 頭は正しい判断ができるよう冷静でありたい。背中は、人を感じやすく動かせるように暖かくありたい。胸中は何のわだかまりもなく人を寛大に受け入れたい。腹は充実してしっかりとして、泰然として物に動じないようにしたい)。
安岡正篤先生は『安岡正篤 一日一言』(致知出版社刊)の中で次のように言われています。
思想とか学問が単なる知識や趣味に止まらずに、身につく、体になることだ。
孟子のいわゆる「面に見(あらわ)れ、背(せ)にあふる」に至って、学問は真にその人の性命になる。
人間は面より背の方が大事だ。徳や力というものは先ず面に現われるが、それが背中、つまり後姿─肩背にあらわれるようになってこそ本物といえる。
後光がさすというが、前光よりは後光である。
人を観るときは、前より後から観るのがよい。前はつくろえるが後はごまかせないからだ。
後姿の淋(さび)しいというのは何よりもよくない。逆だと人間が出来たのだ。
(以上)
元松下政経塾塾頭の上甲 晃先生は講演で、「背中を磨くこと」の大切さを次のように述べています。
松下政経塾で当時の塾長だった塾松下幸之助さんが、塾生の入塾試験において、どのように人を見るか大変興味がありました。
ドアをノックして塾生が入る、数人の試験官は一斉に入り口を見る。ところが、幸之助さんだけは下を向いているのです。
面接が終わって、受験生が立ち上がる。試験官は受験生の点数をつけるため一斉に下を向く。幸之助さんだけが、受験生の出て行く姿をじっと真剣に見ているのです。他の試験官と逆です。
何故かと聞いてみると「入ってくる時は、よそ行きや、面接が終わってホットして出て行く時の後ろ姿のほうがが、ふだんの姿に近い」と言われたのです。
・・・・以上。
大切なのは後ろ姿、背中です。前光よりは後光、身魂磨きで生涯を通して人間を高め、自分の背中からピカピカな後光が出るようにしたいものです。
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