よく聞く話であるが、あの人は平社員であったときには仕事もよくできて非常に有能だったけれども、主任になったら部下にも十分働いてもらっていないし、自分もあまり仕事ができていないとか、彼は課長としては誠に立派な課長だが、部長にしたらどうも成績があがらないなどいうことがある。
これは結局その人の地位にふさわしい能力がなかったということであろう。
わが国にはいわゆる年功序列制というものがあって、能力以外の配慮から昇進昇格させるということがまだまだ一面にはあると思う。そして、課長なり部長なりになった本人も喜び、周囲も祝福するが、あにはからんや本人にはその力がなく、結局は会社にもマイナスになり、本人も不幸であるということも起こってくる。
これが、もしその人がほんとうに自分の実力なり限界なりを認識しており、たとえ会社から「君、部長になってくれ」と言われても、「いや、私には課長は務まりますが、部長になるには力不足ですので、硬く辞退させていただきます」と言ったとすれば、この人はまず失敗しないだろうし、課長として成功できる人だと思う。
もちろん、これと逆のこともいえるであろう。
・・・・「その心意気やよし」(PHP)より。
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