自分が正しいと思っても、「ごめんね」って謝る勇気を試してごらん。
またひとつ、新しい天地が開ける。
職場に嫌な先輩がいた。憶病でロクに仕事も出来ないのに、なぜか威張っていた。ある日、この先輩が親友社員に意地悪い仕草をした。
「やめろよ!」、ついにたまりかねて私は怒鳴ってしまった。
このため先輩の彼と私は対等の口論となった。職場の皆は私を応援した。私は正義の人なのだ。調子に乗って思いっきりやりこめてやった。
その直後、たまたまこの事を目撃した常務に呼ばれた。私は正義の見方をしたのだ。颯爽とドアを開けた。
「君、彼に謝りなさい」
「――?」
不服そうな私を見て彼は言った。
「あのままにしたら彼はどうなると思う。いいから謝ってごらん。謝る勇気ってこともあるんだよ」。
その直後、トイレに行った。隣で彼が用を足していた。
「さっきはごめんなさい」。
彼はびっくりして私を見つめた。その瞬間、用を途中で止め、前をしめながら「ボ、ボクが悪かったんだ」。
彼はなぜかホッとして嬉しそうに出ていった。
私もなにか新しい発見をしたような、余裕の気分で嬉しい気持ちになった。
清水榮一「中村天風に学ぶ絶対積極の言葉」より。
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