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2026年09月01日09:39

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武神闘宴 あとがき〜背表紙

あとがき
本書をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。

原案である『駿河城御前試合』は南條範夫先生が執筆された、全十二章からなる、傑作短編集小説です。そして第一章『無明逆流れ』を山口貴由先生は『シグルイ』として圧倒的な熱量で全十五巻に描き上げられました。
まずは短編集の一話分がコミック十五冊分にもなるということに驚いて欲しいです。
私は山口貴由先生の作品が大好きで、そこを語ると二時間くらい話し続けてしまうのでここでは割愛いたしますが、もし山口作品に触れたことのない方に、最初の一つを挙げるなら、この『シグルイ』を推します。
さて、発売から長い年月が過ぎましたが、一つの思いがずっと燻り続けていました。
――「もしもあの日、岩本虎眼が伊良子清玄を許していたとしたら、どうなっていただろうか」と。
近年の生成AI技術の進歩により、文章の推敲をGemini氏とChatGPT氏の両名に、挿し絵の制作をChatGPT氏にお願いすることで、長年温めてきた妄想を『武神闘宴』という一つの形として完成させることが叶いました。お二人のご協力なくして、この物語が完成することはありませんでした。ありがとうございます。
さて、『駿河城御前試合』と山口貴由先生の数多の作品以外にも、各章のタイトルには『モンスターハンター』シリーズや、牛股さんが最後に振るったあの得物など、大好きな物を詰め込んでいます。
「パクリではないか」などとお咎めなさらず、「ああ、好きが溢れ出てしまっているな」と温かい目で読み流していただければ幸いです。
長々と説明(という名の言い訳)をしてしまいました。
本書は百部を印刷し、私の通うふたば☆ちゃんねるの虹裏@mayなどでPDFファイルとして無料配布しています。
無断転載や配布は可ですが、収益化はご遠慮ください。
本書がエンターテインメントとして、皆様のひとときに少しでも彩りを添えられたなら、これに勝る喜びはございません。

貴腐 拝


おまけ

もしも虎眼流の皆さんが、昭和のプロレスラーに転生したら

白砂敷き詰める死合所ならぬ、白いマットのリング。
今、世紀の一戦が始まろうとしています!
実況は私、広瀬京平と、えー、解説の三枝高昌でお送りします。
ここまで三人のチーム戦トーナメントを勝ち上がってきたわけですが。
本日、いよいよ決勝戦ですね。
三枝さん、両チームをどう見ますか。
いやー、タイガーアイは非常にバランスの良いチームですねー。
藤波源助選手は実直なプロレスをする、職人気質の良い選手ですよ。
イラ・コセイゲン選手は空中殺法を得意とします。なんといっても華がありますよ。
ブル権左選手のあの巨体、現役選手でもトップクラスなんじゃないですか。
幾星霜はー、こちらも流石、決勝戦まで勝ち上がってきただけあってね。
強い選手が揃っていますよ。
児島選手は忍者の末裔だなんて噂もありましてね、技が多彩ですよ。
佐伯選手の特徴はスピード、あれを捉えるのは至難ですね。
笹島選手はもういくつかベルトを持っていますからね、その強さは折り紙付きです。
駿河城ホールのすり鉢状の観客席には、一万を超える観客が押し寄せています。
今日のチケットを取れた方はラッキーですね。
この熱気、思い出しますよ。私が関ケ原で単騎駆けしたときはですね、
はい。ここで一旦CMが入ります。

 西軍脅威のメカニズム
 続々と開発される軍人形
 完璧収集物
 ゴンゲンのプラモデル
 奥州武士ガンタイ

リング上には、チーム幾星霜が既にリングインしています。
赤いジャージの丸眼鏡、無造作に束ねたお下げ髪。
そして雑な恰好では隠し切れない艶香。
監督の幾(いく)が気合を入れているところですね。
幾「テメーら、今日の試合だけは敗けんじゃねーぞ、コラ」
押忍!!!
幾「今から気合を入れてやる」
ぱあん ぱああん ぱああんん
炸裂するビンタ三連発。
なんだか羨ましいですね。
はい。わかります。
どっ ここで会場の照明が落ちる。
スポットライトに照らされ、先頭は会長の岩本タイガーアイ。
その隣には、虎のメイクをし、「がお」のポーズを取る愛らしい少女。

フォト


あ、あの美少女は誰?誰?どなたですか?
岩本氏の娘で美江(みえ)ちゃんですね。イラ選手の許嫁との情報も入っています。
私、イラ選手に憎しみを覚えました。
えー、はい。私もです。
そして岩本タイガーアイと美江ちゃんの後を、虎のマントに身を包んだ三名が続く。

 ♪ 斬りつけ タイガー
 ♪ マジ 無礼 断罪
 ♪ 看取り加算数える
 ♪ 殺めて タイガー
 ♪ マジ 無礼 断罪
 ♪ 突き 打突 浴びせ
 ♪ 水月
 ♪ 切り捨て 御免

入場曲と共にリングへと向かう虎たち。会場は大歓声。
ここ駿河城ホールは、今から約四百年前の寛永六年――。
駿河大納言・徳川忠長の前、血で血を洗う御前試合が行われたと、伝えられています。
それを思うとこの試合、私、何か運命付けられたものを感じるのであります。
場内、紙テープが舞っています。
今、リングを覆い尽くさんとばかりに、色とりどりのテープが投げ込まれます。
まずリングに立ったのは藤波選手と笹島選手。
目の気迫が違いますねー。流石、決勝戦。両雄、この試合に懸ける熱意が桁外れです。
握手を求め、右手を差し出した藤波。これに笹島は両手で応え――
そのまま身体を反転させ、逆一本背負い!
藤波の全体重が右肘に掛かる。しかし咄嗟に肘を僅かに曲げ、折れるのを防ぐ。
しかし顔面は、そのままマットに叩き付けられる――
ところを、見事な受け身で避ける。
卑怯なり笹島!
しかしこれを、ほぼノーダメージで凌いだ藤波選手がスゴイ!
まだゴングは鳴っていま――、
カカーン!
今、ゴングが鳴りました。
「相手にとって不足なし! 当方に迎撃の用意あり! 覚悟完了」
左手を前に突き出し組み手を誘う構え。
構えを取った藤波の周囲をゆるゆると周る笹島。
そしていつの間にか、コーナーポストを背負わされる藤波。
藤波選手はこういったかけ引きは苦手ですからねー。
笹島選手、誘導が上手い。これもベテランの技ですね。
藤波の左手と笹島の右手が、がっつり組む。
互いの残る手は、空を切るように探り合うが、笹島の張り手が藤波を襲う。
コーナー背負わされていますからね、これは避けられませんね。
藤波はリング中央に進み、再び左手を前に出す。
笹島選手、ベルトを持っていて格上ですよね。
私、笹島選手が挑発を繰り返しているように見えますよ。
えー、まずは朴念仁、藤波選手のポーカーフェイスを崩したいのかもしれませんね。
再び笹島の右手と藤波の左手が組み合う。
笹島選手、焦りがありますか。
再び手を組む両者! 今度は笹島選手が前蹴りを仕掛ける。二度、三度、四度。
藤波選手、これを雑草の如き力強さで耐え、組んだ手は離さなーい。
「雑草などという草はない」
蹴りで、僅かに体勢が崩れた笹島の背後に回り込むと。
『ドラゴンスープレックス!』
タイガーアイ一牛双竜の、竜の片割れ、藤波のドラゴンスープレックス!
笹島の頭部がマットに沈む!
ワン!
チーム戦、まさかここで試合が決してしまうのか!?
ツー
いつの間にか、佐伯がリングインしていた。
剥き出しとなった藤波の腹部に、佐伯のエルボーがぶっ刺さる!
カウント二・五。
流石にこれにはもんどりを打つ藤波。
そのまま転がり、ブル選手にタッチ交代。
その巨躯、ブル選手、リングインだけで大地を揺るがす!
序盤からの卑劣な幾星霜の戦いぶりに、業を煮やしていた!
リングインと同時に、笹島と佐伯に突進!
両肘を直角に曲げ、
『ダブルアックスボンバー!』
これには吹き飛ぶしかない二人!!
しかーし! 怒れる闘牛は一度では止まらない!
ブルはロープに身を預け、勢いを付けると、再びダブルアックスボンバー!
だがしかし! 同じ技を二度連続で受ける幾星霜でもない!
ここで!忍者の末裔・児島選手が、ブル選手の脚にパイプ椅子を差し込んで絡ませる!
これは堪ったものではない。ブル選手が転倒。
リング上では三対一、笹島、佐伯、児島が三人掛かり。
そぉぉおお――れい!!!
ブル選手の巨躯を場外へと投げ捨てたあ!
笹島、佐伯、児島の三名が勝鬨を上げる。
この無作法ぶりに岩本タイガーアイが吼える。
「ぬうう、美江よアレ持て」
「はっ!お父様、ここに!」
セコンドについていた岩本タイガーアイ。
白いタオルに包まれた棒状の物を手にする!
「我が息子よ!コレを使えい!」
そして高く高く弧を描き、リングに何やら放り入れたー!
こーれーを、イラ選手!
トップロープ上段からの空中キャッチ!
包まれていたのはなんと日本刀だー!
あの無骨な刀身――かつて天然理心流四代目宗家にして。
新選組局長・近藤勇が愛したという、虎徹かもしれませんよ!
イラは月面宙返りの体勢のまま――
『流れ星』
どっ! どっ!! どっ!!!
放たれた虎眼流奥義『流れ星』に、首が三つ飛ぶ!
イラ選手、着地まで美しい。
「美しくなければ王とは言えぬ!」
ここでレフリー忠長が両腕を交差させました!
カン カン カーン
試合終了です!!!
そしてレフリーは――首無しとなった笹島選手と佐伯選手の両腕を上げました!!

どういうことでしょうか、これは??
セコンドがタオルを放り投げたので、試合放棄と見なされたんですねー。
これはルールを見直すときがきたのかもしれませんよ。
誰が予想したことでありましょうか!?
優勝候補の筆頭であったタイガーアイが試合放棄による敗北です!
これで優勝は、チーム幾星霜、幾星霜となりました!
真っ赤な鮮血を吹き出す三本の噴水。
これらには眼もくれず、雪のような肌を歓喜に紅潮させ、震える幾さん!

血染めの赤! 純白のマットが真紅に染まって行きます!
これはもう洗濯するより、買い替えた方が安く済みますよ。
最後に、読者の皆さまに問題であります。
この本の中で、一体何人が首ちょんぱになったのでしょうか?

――終劇――

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