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2026年08月22日04:17

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【現代アート】Jeff Koons 展 @エスパス ルイ・ヴィトン大阪

 
思いがけず実現した、お盆の1泊ひとり旅。
まずは「ジェフ・クーンズ展」レポをまとめます。


8月13日は、kino cinema 心斎橋で映画を2本ハシゴしました。
間が4時間空くため、御堂筋を渡ってすぐのルイ・ヴィトンで展覧会を観ることに。
ところが、1本目終了後、劇場ロビーで kino cinema 社員さんと2時間ほど長話。爆

気づけば15時! 慌てて エスパス ルイ・ヴィトン大阪 へ向かいました。

エレベーターで5階ギャラリーに上がると、受付さんの親切なアドバイスが。
「つい先ほど解説ツアーが始まったところです。よろしければ合流なさって」

解説ツアー(所要時間 約15分)は夏休み特別企画で、8月10〜16日の15時のみ。
思いがけず参加のチャンスに恵まれました。

アートは自由に観て楽しめば良いものですが、解説を聞くと面白さが倍増します。
なので、せっかく伺えた解説を、思い出してシェアします。




JEFF KOONS
PAINTINGS AND BANALITY
SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION
https://www.espacelouisvuittontokyo.com/ja/osaka/detail



私が合流したのは「関連書籍の紹介」の途中からで、展覧会概説は終わっていました。
ジェフ・クーンズは全く未知のアーティストでしたが、気にせず作品を観ることに♪

ツアー参加者は、旅行者風の中年夫婦、若い白人男性(日本語が堪能)と中年の日本人女性、障害者女性を連れたシニア夫婦(女性の両親)の7人。そこに私が加わりました。
解説者は、若くて感じの良い美女でした。


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「右端の書籍表紙は子供時代のジェフ・クーンズ氏です。彼は幼少時から模写が得意で、父が経営するインテリアショップに作品を飾り、販売していたそうです。メリーランドの美大卒業後はMoMAに就職し、トップ営業マンになりました。彼はダリのような髭や真っ赤なスーツなどの奇抜な出立ちと巧みな話術で会員を勧誘し、今も記録が破られていない高成績を上げました。しかし、美術だけでは食べていけないのでウォール街に転身。商品先物取引のブローカーとして資金を蓄えつつ、『(美術品の顧客となる)お金持ちの生態や欲望を徹底的に観察した』後、アーティスト活動に専念しました」


「その隣の表紙、ピンクのバルーンうさぎは知っている」と男性が発言したのを受けて、解説者はこう続けました。

「これはクーンズ氏の最も有名な作品ですね。彼は、つるつるピカピカしたものが好きだそうです。さらに隣の表紙、ステンレス製の宇宙ウサギは、クリスティーズのオークションで、存命の作家としては史上最高額の100億円という値がついた作品です」

金額にどよめく参加者。私は(はて、中之島美術館の宇宙ネコとどっちが先?)と思ったものの沈黙。解説は左端、ヴェルサイユ宮の図録に移りました。

「クーンズ氏は『アートには上等も下等もない。線引きするのはナンセンス』という持論で、割とお下劣な作品もあります。なので、当初ヴェルサイユで展覧会を催すことに反対があったそうですが、結果は大評判。この成功が村上隆氏の作品展にもつながりました。
 クーンズ氏は2017年にルイ・ヴィトンとコラボし、モナリザの顔を大きくプリントしたバッグを出しました。非常に奇抜な柄で、日本ではほとんど見かけませんでしたが…」

ヴェルサイユの図録を見て、村上隆とどっちが先?と思いましたが、クーンズが先駆者だと判明。村上氏も「ヒロポン」などお下劣な作品が多く、そんな両者がルイ・ヴィトンと縁が深いのは面白いなと感じました。




《LANDSCAPE (TREE) II》 2007年 キャンバスに油彩 274.3 x 213.4 cm
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最初の作品は、写真?の上に盛大な落書きを施した、いかにもな現代アート。

「クーンズ氏は『自分自身は手を動かさない』ことで有名なアーティストです。
 彼はアンディ・ウォーホルに倣ってファクトリー・システムを採用し、120人ものアートワーカーを使っています。そんな製作方法で自分の名だけを冠するのはおかしいとの批判に対し、クーンズ氏は『私は脳で、職人たちは私の手足にすぎない』と説明しています。
 この作品は、クーンズ氏が撮影した写真データにPC上で彼が落書きし、そのデータを大きなキャンバスに投影して細かいグリッドに区切り、1つずつ職人にあてがいます。そして、映った通りの色と形を点描で正確に再現させているのです。だから、色を塗り重ねたように見えますが、実は全く重ねていません。横から見ると均一面なのが分かります」

そう説明を聞いた女性が、思わず近寄り真横から覗こうとした瞬間、「あっ、線の内側には入らないで!」と注意されました。

私は(なるほど、クーンズ氏はプロダクション制で創作してるのね)(細かいグリッドに点描で精緻に描きこむって若冲みたい)(わざわざ手描きで印刷を表現する騙し絵は、紅型の手法に近い?)などと考えながら、解説を聞いていました。

「塗り重ねてないって?」と当惑のつぶやきが聞こえたので、私は「塗り絵とか紅型染めみたいに色を塗ったんだと思いますよ」と言いながら解説者を見ると、彼女はニッコリして「そうです!その通りです」と同意しました。

この流れで、私も質問を。
「落書きの下は、紅葉したメイプルツリーの公園ですよね。写真ぽく見えますが、これは実在する風景なんですか?」

「そうです。クーンズはどこの公園かを明かしていないのですが、元は彼が撮った写真です。そのデータの上に、アクションペインティングなどの手法でペイントしています。いかにも手で擦ったようなムラや滲みも、重ねない点描で再現しているんです。同様の手法で、もっと細かい点描で描かれた作品もあって、そちらは本当に写真みたいです」

フォト フォト

おお!と驚きの声が上がり、みんな絵に近寄って写真(風景)部分を眺め始めました。
私は(鬼畜の指示やなw)と思いながら、後で観察するため拡大写真を撮りました。




《BRACELET》  1995-98年 265.1 x 355 cm
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会場に入って一際目を引いた作品。巨大なキャンバスに描かれた騙し絵です。

「この展覧会のテーマは『PAINTINGS AND BANALITY』。バナリティとは "ありふれたもの" という意味です。このブレスレットは街で買えるありふれた安物だとか。
 宇宙ウサギの話でもご説明しましたが、クーンズはピカピカつやつや、反射したり映り込んだりするものが好きです。だから、彼は赤いセロファンの上にこのブレスレットを置いて撮影し、先ほどの作品と同じ手法で描かせました。グリッドは非常に細かかったそうです。
 この作品は、間近で見るか、遠くから眺めるかの二択で、中途半端な距離では面白くないそうです。つやつやの質感や映り込みの表現などを、よくご覧になってください」

そう聞いて私は後ずさったものの、水槽の展示に当たり十分な距離を取れず…。爆

「このセロファンは、鏡面のようなステンレス台に広げて撮ったのでしょうか?」
解説者に尋ねたものの「すみません、そこまでの情報はなくて」との答えでした。




《THREE BALL 50/50 TANK (WILSON NBA FORGE PRO, WILSON NCAA ENCORE, SPALDING DR. JK SILVER SERIES)》 1985年
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次は、私たちの背後にあった水槽の展示を鑑賞。

解説者が「この作品のタイトルは『スリーボール・フィフティ・フィフティ・タンク』です」と言った瞬間、私は両手のひらを水槽に向け、右手は水を隠し、左手は水槽の空間を隠して上下に重ねて見せ、解説者にウインクしました。聞いたまんま!笑

「その通りです! 水槽内の水と空気が、ちょうど半々になるように作られています」

解説者が笑顔でみんなに説明すると、一同「ほおーっ」と身を乗り出しました。

「下半分は樹脂ですか?というご質問が多いのですが、実は塩水なんです。ボールは塩水に浮かべてあるだけなので動きます。今はたまたま均等に並んでいますが、位置が偏るときもあります。どんな姿を見るかは一期一会で、同じ状態はもう2度と見られません。
 万物は危ういバランスの上に成り立っており、常に変化しているというメッセージが込められた、最初期の立体作品です」


「これは動くんですか」と私が聞くと、「そうなんです。動きます」と解説者。

「先日の熊本地震の際、人の感覚では全く気づかなかったのですが、この作品の水面だけがわずかに揺れていたんです。それでニュースを見たところ、あの大地震を知って…」

おお…と言葉を失う一同。でも、これを聞いた私は試さずにはいられませんでした。
その場でぴょんぴょんと飛び跳ねて、水面を確認。
「ホントだ!かすかに揺れてる」

すると、私に追随して何人も飛び跳ねました。みんな笑顔に。「確かに揺れるね!」

おーっ。 現代アート、なんだか面白くなってきたどーっ。笑


「3つのボールは、ちょうど下半分だけが水に浸かっていますよね。実は、この『半分だけ』調整がものすごく大変だったんです。クーンズは、この状態を実現するために最適な塩分濃度を算出してほしいと、全米の物理学者に打診したそうです。ですが、バカバカしいと断られまくり、協力してくれたのはノーベル物理学賞を取った(名前を失念)教授だけでした。その先生のおかげで水のレシピができ、作品は完成しました。ボールの中にも水を少し入れています。今も定期的に専門家が来て、展示の水を調整しています」

(地道に手を動かして試し最適バランスを見つけるのではなく、最初から物理学者に計算させるとは!すごい合理主義者!あったま良いー!)と内心舌を巻きつつ、「置いてたら水が蒸発して濃度は変わりますものね」と、私は相槌を打ちました。

「ええ。特に日本は湿気が多いから、調整が難しいそうです」


私はボールを観察しました。色から察するに年代が違う? ブランドはウィルソンとスポルディング。「あれ、ナイキは?」と思わず声が出ました。すると解説者が説明。

「クーンズは作品の説明をしない主義で、なぜこのブランドを使ったのかなどは明かしていません。これらのボールは『ごくありふれた物』の象徴だと考えられます」

すると男性が「水槽も、ごくありふれた熱帯魚用水槽を使ってるんですか?」と質問。
「すみません、そこまでの情報は手元にありません」と解説者。
「水槽は市販品かも知れないけど、什器は特注かも。作りが華奢ですから」と私。

見知らぬ物同士の思いつきな会話も広がり、楽しくなってきました。笑




《MONKEY TRAIN (BIRDS)》 2007年 キャンバスに油彩 274.3 x 213.4 cm
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お次は「おさるのジョージ」みたいな絵の鑑賞。よく見ると意味ありげ。

ん?下部に描かれた馬車は、上部の機関車と同じシルバー?それともゴールド?
私は規制線の端っこまで行き、ほぼ真横から、しゃがんで画材の照りを観察しました。

「すみません、馬車の色は機関車と同じシルバーですか?床の色が映り込んでる?」

私の質問に解説者は「同じシルバーです」と答え、「お子さんはよくしゃがんで鑑賞されるんですが、大人でしゃがまれる方は珍しいですね」と愉快そうに笑いました。

「あはは、機関車と色も対比させて馬車をゴールドに描いたのか?とも思って。
 でも、これは床の色が映り込んで、下だけがゴールドに見えるんですね。面白い」


「実は、床のオレンジ色は、クーンツ氏の事務所から厳密に指定された色なんです。
 時々、『この床は、ルイ・ヴィトンのショッパーの色と合わせたんですか?』とご質問を受けるのですが、全然違うんですよ。笑」

「そうなんですか! 確かに、去年の草間彌生展の時は、グレーの床でしたわ」

「そうですそうです、ここは通常、グレーの床なんです。今回だけ特注なんですよ」

「なるほどねー。この明るいオレンジは、どの作品も綺麗に引き立ててますものね」

床談義が一段落し、解説者はあらためて絵の解説を始めました。


「中央に大きく描かれた愛らしいお猿は、『ありふれた』ビニールトイです」
 (昭和のダッコちゃんみたいな人形、耳を見ればシワで分かる)

「お猿の顔はつるつるで、よく見ると映り込みがあります。クーンズ好みの表現です」

「西洋絵画では、左が過去・右が未来を表すと言われます。
 絵の上部に描かれた機関車は産業革命以後の乗り物で、右(未来)へ進んできます。
 絵の下部に描かれた馬車は産業革命以前の乗り物で、左(過去)へ去っていきます」

「コラージュの奥の部分には小鳥、古い時代を象徴する自然が描かれています。
 その上に産業革命が乗り、さらに現代の大量消費社会を象徴するおもちゃが乗る。
 アメリカの発展の歴史を象徴するような神話的作品になっています」




《WILD BOY AND PUPPY》 1988年 磁器 96.5 x 100.3 x 59.7 cm
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今度は、かなーりふざけたデザインの焼き物を鑑賞。

「いやー、さっきから、この男の子の髪の毛が遠目にチラチラ視界に入り、気になってたんですよ。笑」と、私は気楽に冗談を飛ばしました。「お見事な大爆発ですね!」

近づいて見ると、少年の髪は「満開になった超大輪のダリア」みたいに精巧でした。

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「ヨーロッパでは、教会の中に飾るマリア像などを磁器で製作する伝統があります。
 そうした像は古くからある専門の工房で製作しており、高い技術を誇っています」

「リヤドロみたいな」と私がつぶやくと、「そうです、そんな感じの工房です」

「クーンズは、どこかは明かしていませんが、ヨーロッパの伝統ある某工房に、この作品の制作を依頼したそうです。
 この作品のモチーフは全て、現代アメリカで『ありふれたもの』だそうです。
 まず犬は、アメリカで超有名なマンガ(アニメ?)のキャラクターだそうです。
 次に少年の顔立ちは、新聞や雑誌を開いたら1日1回は必ず見かけるくらい典型的な、
『広告によく出てくる子供の顔』の特徴を集約したものだそうです。
 そして、おばちゃまっぽい蜂のキャラクターも、アメリカでポピュラーだそうです」


そんな説明を解説者がしている間、私の隣に立っていた、背は小さいもののやたら太った障害者の女性が喋り始めました。どうもお腹が空いたらしく、ハンバーガーがどうたらと父親に食べ物の話を訴えていました。調節できないらしく、声は大きくなっていき…。
うるさくて解説が聞こえないわ。ちらりと彼らの方を見ましたが、父親は作品に興味があるらしく、娘がうるさくても その場から離れようとしません。(困ったなぁ)
気が散った私は、喋る女性に優しい声ではっきり声をかけました。「静かにしてね」
それで父親はハッとしたらしく、娘を連れて、ほんの少し離れてくれました。

「この犬は、いったい何を見て、こんなにビックリしてるんでしょうねぇ?笑」
私は見たままをつぶやき、空気を変えました。


「この作品のモチーフはまさにバナリティ、陳腐ですが、その製作技術は紛れもなく伝統的なハイアートのものです。台座の裏をご覧ください。縁の真ん中あたりに名前が彫ってあるでしょう。像を作った職人の名前を彫るという古くからの伝統に則っているんです。工房の名ではなく、職人の名を入れる、というのが面白いですね」

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みんな、代わる代わる裏のサインを覗きに行っていました。
娘が落ち着いたらしく、お父さんも参加して「台座の色を半々に塗り分けているのはなぜですか?」と質問していましたが、「わかりません」とのことでした。




《WOMAN IN TUB》 1988年 磁器 60.3 x 91.4 x 68.6 cm
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お次はハレンチな問題作! 生々しく作られた、等身大ボディでした。

「こちらも同じく、伝統的な宗教像を製作するヨーロッパの工房で作られた作品です。
 手前の青いパイプは、古いデザインのシュノーケルです。カゴの中にあるボールは吸うとパイプのフタになり、水の侵入を防ぎます。
 女性が入浴中、突然ニュッとシュノーケルが出てきた!覗かれている!と驚く一瞬を、我々鑑賞者も覗き見している。羞恥心を刺激される、なんとも気まずい作品です。
 西洋美術には、伝統的に水浴図というテーマがあります。裸の若い女性が水浴びをしている姿を覗き見するように楽しむものです。
 みんな、こういうエッチなのが好きでしょ?と、クーンズは鑑賞者に際どいイタズラを仕掛けているようですね」

「女性像はモデルを型取りして成型し、非常にリアルな体の彩色は専門のモデラーによるものです。あえて頭部をカットしているのは、顔がない方が鑑賞者の想像が自由に広がるからだそうです。
 また、今回2点ある造形作品の背景には少し透ける生地のカーテンを吊るしています。この展示方法はクーンズ氏の事務所からの指示です。特に《WOMAN IN TUB》は、像の背後に回って透けるカーテン越しからも、シルエットを眺めてほしいとのことです。
 カーテン越しに見ると『覗き見感』が倍増するから、とのことです。笑
 分かりにくいですが、バスタブの裏側にも職人さんのサインが彫ってあります。
 くれぐれもカーテンには触らないようご注意いただきながら、ご鑑賞ください」

フォト フォト

うーん、悪趣味なのは、仕掛けたクーンズ? それとも開き直って見ている私達?爆




《LITTLE GIRL》 1988年 鏡面、ガラス 160 x 163.8 x 7.6 cm
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最後の作品は、贅沢なムラーノガラスをカットして芸術的に描いた、月並みな絵。

「ムラーノ島はベネツィア北東にある小さな島で、1000年以上も続く美しいガラス工芸で有名です。島で作られるガラスは透明度が極めて高く、加工技術も素晴らしいです。
 ツルツルで映り込みが綺麗なムラーノガラスは、クーンズ好みの素材です」

「複雑で微妙な曲線を正確にカットするのは非常に難しい技術だそうですが、この作品は極めて完成度が高いです。手加工のカットには、ずれや隙間が全くありません。
 職人の高齢化で失われゆく高度な技術が、この作品には贅沢に使われています」

「ですが、鏡の図案自体は『とてもありふれた、ちょっと古臭いもの』です。
 お花に囲まれた小さな女の子がクマのぬいぐるみで遊んでいる、というモチーフ。
 この作品も、バナリティなテーマをハイアートで表現する趣向です」

「なお、クーンズはこの作品を『見る人たちが映り込み、動くことによって完成する』と語っています。水槽に浮かぶボールと同じく、一期一会の不安定な変化を味わうことこそが作品の狙いなのです」

解説を聞いて撮影を始めた私は、足元に美しい影が広がっているのに気づきました。

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「ねぇ、見て。床に綺麗な影が」 周りの人に声をかけると、皆も撮っていました。

(ああ、オレンジの床は効果抜群だな! グレーの床ではイマイチだったわ…)
私が密かに感心していると、解説者が挨拶を始めました。

「では、これで解説を終わります。だいぶ時間が伸びて申し訳ありませんでした。
 もし何かご質問がありましたら、どうぞご遠慮なくお声がけくださいませ。
 本日はありがとうございました」

(私が質問したから伸びたのよね。でも、皆楽しんでたから結果オーライ♪)




他の参加者達が帰る中、私は解説者に声をかけました。

「今日は解説を聞けたおかげで、とても楽しかったです!ありがとうございました。
 それで、私は遅れて参加したから、冒頭の概説を聞き逃してしまって…。
 お手数ですが、最初のところを教えていただけませんか?」

「こちらこそ、ツアーを盛り上げていただいて、ありがとうございました。
 アート関係のお仕事の方ですか? とてもお詳しいですね。(^^) 」

と聞かれてビックリ。笑  その場で思ったことを言ってただけなのに。

「私は素人で、クーンズは今日知りました」と正直に答えて、個別Q&Aタイムに♪

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「さっき聞いてて思ったんですが、100億円の宇宙ウサギと中之島の宇宙ネコって、どちらが早い作品なんでしょう? もしかして、どっちかはパクリ?とか思って」

「うーん、おそらく、ネコの方が先かも知れませんねぇ…」

「私もそんな気がします。でも、宇宙ネコには100億もつきませんよね…。爆
 クーンズ氏はとてもお口が上手と解説されてましたが、彼は職人的芸術家ではなく、
 非常に頭が切れるストラテジストというか、才覚に長けた起業家って感じですね。
 美大からディーラーに転身して財をなすなんて、前代未聞では。真の天才ですね」

「本当にそうですね。彼はセルフプロデュースにとっても長けているんですよ。
 変人というより、やり手営業マン。今までいなかったタイプのアーティストです」

「ですよねぇ。
 さっき、ヨーロッパの伝統ある磁器やガラスの工房と交渉して、彼らにとんでもなくキッチュな作品を作らせた話を聞きながら、クーンズ氏は自分のブランド価値に物を言わせたのかな、と思いました。たぶん伝統的な職人さん達には到底理解し難い世界なのに、クーンズの作品なら必ず高く売れる!いい案件だ!と彼らに信じさせたのでは」

「そうですね。クーンズはプレゼン能力もすごく高いから、説得できたんでしょう。
 近年は、予め何体作ると決めて、注文を取ってから制作するようですよ」

「まー、手堅い商売! きっと太い顧客がたくさんいるんでしょう。
 富豪は投資対象としてアートを購入するから、クーンズとwin-winですね」

「クーンズはディーラー時代にお金持ちの欲望や生態を学び尽くしたそうですから」

「たった数年でひと財産を築き、金持ちの生態も把握するって凄すぎますわ」



そんな楽しい雑談をしていたら、アラームが鳴りました。
次の映画まで、あと20分です。慌ててお礼を言い、1階へ降りたら、なんと俄か雨!

うそっ、ここへ来た時はビカビカに晴れていたのに!
少し様子を見ましたが止みそうにないので、雨の中を走って劇場まで戻りました。

夏に少々濡れるのはアトラクション。笑
クーンズの作品からたっぷりパワーを得たおかげで、ご機嫌な1日を過ごしました♪





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凡庸で悪趣味? それとも現代アート史の正統? ジェフ・クーンズ展レビュー
https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/jeff-koons-paintings-and-banality-review-202604


Jeff Koons Versailles 2009
http://kanaparis.blog59.fc2.com/blog-entry-305.html

村上隆氏、ベルサイユ宮殿での作品展に賛否両論 2010
https://www.afpbb.com/articles/-/2754869

モナリザがバッグに ルイ・ヴィトンとジェフ・クーンズのユニークなコラボ 2017
https://precious.jp/articles/-/676

史上最高値の100億円! クーンズの「ウサギの彫刻」が浮き彫りにした、
芸術の価値にまつわる根深い問題 2019
https://wired.jp/2019/05/29/how-jeff-koonss-rabbit-became-big-game/

 
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