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2025年09月25日11:24

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センスの勝利

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章』日本映画歴代興収1位に! 全世界累計観客6702万人、興収823億突破
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=100&from=diary&id=8489726
この件については前から書こうと思っていたことがある。
色々なところから経緯を調べると巨大組織の頭の悪さが垣間見え、それでも基本を守っている漫画のシステムの勝利、アニメ業界(特に鬼滅をアニメ化しようよ思った会社のセンス)がこの漫画はアニメ化すると良いという(経験法則だろうと思うが)読み、そしてそれを決断する勇気を賞賛すべきだろう。

第一に漫画だ。
集英社を含めた漫画界は今も昔と変わりなく裾野からのアプローチを大事にしているところだ。こういう言い方をすると申し訳ないのだが鬼滅の前身になった「過狩り狩り」。漫画を読んだことがある人は分かると思うが主人公がユシロウとタマヨである。それ以外のキャラは後のモデルとなるものは居てもほど遠いし、内容はまったく鬼滅とは違う。

これを機に彼女は集英社と契約し漫画を描くが新しいものはパッともせずくすぶっていた。そして編集担当が原点回帰を提案し「過狩り狩り」をもう一度練り直すことを提案する。これは非常に大事なアプローチでこの編集担当の感覚、センス、経験からの感がことを動かすことになる。正直、「過狩り狩り」を練り直して良いものになるという気がしない。ところがどういうシステムにというか作者のセンスに良いものを感じたのかこれを「制作委員会」を作って議論し、練り直したのが鬼滅だ。

どこかの記事に書いてあったが、その練り直したものというのもオーソドックスな若者の成長群像であり、このタイプの話を挙げれば切りがない。
このような単純で誰もが知っている設定をどう面白くするか?ということが次の課題にもなるがそこも百戦錬磨の編集者による議論を経ての話からのここまでであり、当然ながら作者の底知れない才能も粒ぎながらこの成功につながっている。

これも申し訳ないが絵そのものもデッサン力、筆の勢いとかを見ても上手いとは言えない。しかし、そのキャラが放つ魅力がこの作品の良いところであり、昔から言われている「漫画は絵の上手いヘタじゃない」ということを体現していると思う。
何より良かったのはここからは編集者の悪いところになるが人気作品はどうにかして延焼してファンを引き付けておこうとする力が働く。作者はこれだけ編集に世話になっているからその意見に流されそうになるがそれを断り、ちゃんと20巻そこそこで終わらせたのは非常に良かった。これが延々とムザンが逃げ、新しい鬼がどんどん出てきてタンジロウが柱になってその次の柱候補が出てきてなどと言い出すと読者は家に単行本が増える一方で作者が完結を前に他界するという最悪のパターンもありうるわけでそこがちゃんとできたというのも賞賛に値するだろう。

その上でアニメだ。
アニプレックスだっけか?これを当時、フジの地上波で」とフジに提案したそうじゃないか?ところが「そんなウケるかどうか分からないものを地上波で出来るか」と断られそれでも諦めきれず、有料放送でもいいからやるという決断。これにも感服した。
普通カネをかけて失敗すれば赤字にもなるしある意味賭けに近いものがあるがそれを経験と信念と決断力で貫徹し見事ここまでやり切った。そのクオリティは手抜きなど無く作品を完璧なものとして作り上げるという決意、情熱、行動力、信念、統率、運営力にも総計の念を送りたい。

音になってコソコソとフジが関与し始め、途中から地上波での放送になったのは制作会社の勝利と言っていい。何だかんだ言って大きな組織はビジネスとして確実なものでないとやらないという老朽化した組織特有のにおいがするものだがフジは典型的な巨大組織のつまらない点が見えた瞬間だろう。儲かることが分かって手を出し始めたのもセコいし、置かれている現状をみれば納得である。

色々な点でフジの関与によって何かしょーもないビジネス的なエッセンスが加わっていることが垣間見えるがまぁ、作品がちゃんとした形でアニメも大団円を迎えるなら観客としての私もあえてそれを受け入れようと思う。

一番大事なのはどんな組織になってもチャレンジしようと思う心、金銭的なことより楽しむこと、面白いことを実現しようという心意気だ。どの組織もそうだが設立当初は面白いアイデアや熱量、活気があるものだが段々年月が経ってくると常に「儲け」を第一義的にしようとしてダメな組織になる。
漫画界はそんな中でも裾野からのピップアップを主力としていることを変えないのは非常に良いことだと思うし少々絵が下手でも編集がバックアップし面白くできる体制がある。
日本がダメになっている原因をもっと考える必要があるが、世界でこれだけ漫画がウケていることをよく考えて欲しい。中にはめぼしいと思っていたものがそれほど伸びず、テコ入れしてもダメなことの方が多い。しかし、こうやって世界的なヒットを飛ばすものが出てくるのだから可能性というものを設けという基準で排除するのは悪手と言えるだろう。
日本の会社の組織的な問題、世のため人のためでなく、儲けが第一になってしまうと組織もその方向になってしまうから魅力的なものが出てきにくくなる。

そうではない漫画界を参考にした方が良いと思う。そこにヒントがあるし日本の再興を考える上で重要なものが眠っていると思う。

この成功は何が欠けても実現しなかった。編集のセンス、作者の努力、アニメ会社の熱意、貫徹力、それらが弱い糸を紡ぎ合い太い綱を作った。もちろんそこには時代、世代の心に刺さるものがあったが運もある。時代がズレていればどうなっていたかは分からない。どれが欠けてもここまでの成功にはならなかったことを考えるとこの金字塔はいろいろなことを学べるものと言える。
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