【収録曲】
1 ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10
2 フォーレ:弦楽四重奏曲 ホ短調 Op.121
3 ラヴァル:弦楽四重奏曲 へ長調
ピエール・コロンべ(Vn)
ガブリエル・ル・マガドゥール(Vn)
マテュー・エルゾグ(Va)
ラファエル・メルラン(Vc)
録音:2008年2月4〜9日,Ferme de Villefavard en Limousin,フランス
ERATO: 5190452(セッション)
以前,このカルテットが録音した「ラウンド・ミッドナイト」というアルバムを聴いたとき,このフランス弦楽四重奏曲集も聴いてみようと思った。このCDをリリースした直後にECHO-KLASSIKの最優秀室内楽レコード賞などを受賞したことを考えても期待できそうだった。
フランスの弦楽四重奏団によるフランスの弦楽四重奏曲集であり,ドビュッシーとラヴェルの他にフォーレの弦楽四重奏曲も含まれている。しかも,現代的な感覚に恵まれたアンサンブルによる演奏というのも楽しみだった。
しかし,実際に聴いてみると,残念なことに予想は外れた。フランスのカルテットが演奏したフランス風の弦楽四重奏曲とはかなり違う。また,現代感覚で仕上げられた演奏というイメージからもかけ離れている。
ドビュッシーも,フォーレも,そしてラヴェルも晩秋の霧に包まれたような雰囲気が濃厚。フランス風という言葉からイメージした,明るさ軽やかさ快適さをあまり感じることができない。強いていうならドイツ風なところも。ドビュッシーとラヴェルは主旋律を担う高音域を浮き上がらせる演奏だが,中音域から低音域にかけては存在感が薄くてバランスが悪い。フォーレは曖昧模糊とした中域と低域に埋もれている。明るくくっきりとしていて,ニュアンスに富んだフランス的な演奏とはかなり異なるようだ。
ドビュッシーもラヴェルもフランス音楽というより,東欧の音楽のようにきこえる。音が塊になっていて,演奏空間に拡散して行かないからだろう。ドイツ音楽から大きな影響を受けたフォーレの弦楽四重奏曲は,作曲家最晩年の作品ということもあって,フランスの音楽のようにはきこえない。音が中低域で団子のようになっていて,変化に乏しい。3楽章構成ということも影響しているかも知れないけれど。
エベーヌ弦楽四重奏団が「ラウンド・ミッドナイト」で披露してくれたシャープで透明な現代的なセンスも,このディスクでは影を潜めている。晩秋の冷たい濃霧に包まれた風景のような音楽に明晰で軽快な現代的なセンスの演奏を求めるのは,かなり無理な要求である。「ラウンド・ミッドナイト」を聴いて,このアンサンブルの過去の演奏に誤ったイメージを持ったようだ。
とはいえ,安定したテクニックに支えられた演奏であることは間違いない。現在をベースにして,実際とは異なる過去を予想してしまったということに尽きる。
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