【収録曲】
CD1
1 ア・ウェイ・ア・ローン�供文抗撻�ーケストラのための)
2 海へ�供淵▲襯函Ε侫襦璽函ぅ蓮璽廖じ抗撻�ーケストラのための)
(1) 夜,(2) 白鯨,(3) 鱈岬
3 夢の詩(オーケストラのための)
CD2
1 武満徹講演
小泉 浩(アルト・フルート)
篠崎 史子(ハープ)
札幌交響楽団(管弦楽)
岩城 宏之(指揮)
録音:1982年6月27日,旧・札幌市民会館
UCCG45008/9
1982年6月27日に行われた札幌交響楽団の特別演奏会を収録したCDです。当日,演奏された「ア・ウェイ・ア・ローン�供廖ぁ岾い忰供廚修靴董嵬瓦了蹇廖いい困譴癸隠坑牽闇�代初頭に完成をみた作品ばかり。いずれも世界初演である。さらに特別演奏会の後半に実施された作曲者自身の講演を収めたCDも付属している。
このアルバムには,以下3つの特徴がある。このCDは,武満徹の音楽作品への入門にふさわしいこと,1980年代における武満徹の傾向を知るのに好都合であること,武満徹の音楽と札幌交響楽団との相性の良さを実感できること。
弦楽オーケストラのための作品「ア・ウェイ・ア・ローン�供廚慮況燭蓮じ抗攣予伝佞里燭瓩痢屮◆ΕΕДぁΕ◆Ε蹇璽鵝廚如ぃ隠坑牽闇�に書かれた。1982年の特別演奏会ではオーケストラが演奏するため手が入れられたバージョンが作られた。表題に「�供廚�加えられたのはこうした事情による。弦楽四重奏版とオーケストラ版の一番の違いはコントラバスのパートが5声部目として付け加えられていることだ。
「海へ�供廚砲盡況燭�あり,1981年に作曲されたアルト・フルートとギターのための作品「海へ」がそれ。「海へ」のギターのパートが「海へ�供廚任魯蓮璽廚噺抗撻�ーケストラへと置き換えられている。第1曲「夜」(The night)は環境保護団体グリーンピースの委嘱で作曲され,それに第2曲「白鯨」(Moby Dick)と第3曲「鱈岬」(Cape Cod)が追加された。
「夢の詩」はオランダのダンス・シアターから委嘱され,1981年に完成した管弦楽作品。1980年8月,武満徹はオーストラリアのグルート島に招かれ,先住民アボリジニの天地創造神話に触れる機会を得た。その経験をもとに無意識をテーマとしたこの作品が作曲されたのである。ヨーロッパでの初演が延期となっため,この日が世界初演となった。
これら3作品は武満徹への入門として好都合だ。「ア・ウェイ・ア・ローン�供廚函岾い忰供廚蓮嵜紂Τぁ廚鮗臑蠅砲靴榛酩覆任△蝓ぁ嵬瓦了蹇廚亮臑蠅鰐軌媼韻�作り出す「夢」。どちらのテーマもつかみどころのない曖昧模糊としたものを対象に音楽的な表現を与えている。その意味では,武満徹の音楽とテーマは良好な相性を有しているといえる。特に武満徹の音楽に興味はあるもののまだ聴いたことがない人たちにとって,武満徹作品への絶好の入門CDとなりそうだ。西洋的な知性の枠組みの向こうに日本的な感性を聴き取ることもできる。
この頃,武満徹の音楽的前衛性もロマンチシズムへと傾斜していたような印象を受ける。作曲家も他の芸術家と同じく時代の推移や社会の変化に伴って,完成した作品も様々に変遷する。音楽の世界でも,20世紀の初めに無調だ十二音技法だ変拍子だ,はたまた電子音楽だとフロンティアの開拓に熱中していても,音楽が美しさを求める限り21世紀が近づくにつれ調性音楽やロマンチシズムが復興する流れもあらわになる。武満徹もこうした潮流に棹さすこととなった作曲家といって差し支えないだろう。このCDからは彼のこうした側面も窺い知ることができる。
このアルバムを聴いて最も印象に残ったのは,武満徹の作品と札幌交響楽団の抜群な相性の良さ。札響のどちらかといえば冷涼で柔らかく繊細な響きが,武満徹の音楽とことのほか良くマッチしている。黒澤明の映画「乱」の音楽をはじめとして,この特別演奏会を機に両者が急接近した理由が手にとるようによく分かる演奏である。札幌交響楽団のサウンドはおそらく北海道の気候風土に根ざしたもの。武満徹の好む響きはヨーロッパの音楽に由来するような気がする。この国の中でも北海道が西欧的な色彩の比較的強い土地だとすると,この相性の良さを説明できるような気がする。
CD2の武満徹本人による講演からもこの作曲家の知性を感じ取ることができる。とりわけ,難しくなりがちな音楽的な概念などをやさしい言葉で的確に語っていることに感心する。それは,日頃からそれらの概念を使って作曲するという実践を経て,はじめて成立することなのだろう。
このCDの音源は地元の放送局,FM北海道(AIR-G’)が放送用収録した録音。ノイズなどもほとんど気にならず,演奏に集中できる。演奏会場も音楽専用ホールではない多目的ホールだが,不満を覚える録音ではない。
ログインしてコメントを確認・投稿する