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2020年11月08日02:31

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はたしてGAFAは無敵なのか?

レイ・カーツワイルは「AIのみならずテクノロジーの進化スピードが無限大になり、人間の能力が根底から覆り変容するシンギュラリティが、2045年に到来する」といった。人口知能の世界的権威のこの提言により、シンギュラリティという概念は瞬く間に広がり、AI全盛の時代における世界の在り方について、世間でも盛んに議論されるようになった。シンギュラリティ後の世界を想像する時、ユートピアを想像するのか、ディストピアを想像するのかは人それぞれだが、概ね似たようなシナリオに帰結する。それは、GAFAのようなテックジャイアントが神の代理人のように人々を導くという近未来の風景だ。今日、それなしには生活が成り立たなくなるほど人々の生活に深く浸透しているシリコンバレーのIT企業のサービスの影響力を考えれば、それは当然の事のようにも思えるし、異を唱えようにも彼らの前では人々はあまりに無力のようにも思える。

シリコンバレーで最も重要な人物と言われたピーター・ティールの知名度と比較すると、パランティアテクノロジーズの知名度はまだまだ高くはないが、その顧客はFBIや国防総省のような政府系機関から航空会社、製薬会社、保険会社まで多岐に渡り、未上場企業ながら、きたる人口知能時代におけるダークホースとささやかれている。

パランティアテクノロジーズは、膨大なデータを可視化し、一見無意味なデータを統合することで業務を劇的に効率化し、生産性を高める「ダイナミック・オントロジー」という技術において世界最先端と言われており、その技術力の高さに加えて、シリコンバレーでは”異端”な彼らの思想にも注目が集まっている。

パランティア、それは、すべてを見透かす魔法の水晶

社名のパランティアは、トル―キンの指輪物語に登場する“すべてを見透かす魔法の水晶“に由来する。

その名の通り、パランティアテクノロジーズの「ダイナミック・オントロジー」を使えば、そのままでは無意味のように思えるデータも系統的に統合し、短時間で解析する事で、あらゆるオペレーションの業務を大幅に短縮できるという。

パランティアは主に民間向けの「Foundry」と公共向けの「Gotham」の二つのサービスを展開している。いずれも社内外の大量のビッグデータを統合し分析することで、サービスのコスト削減および生産性の向上に寄与する。

オントロジーは元来哲学用語で「存在論」を意味するが、人工知能の分野では「概念化」あるいは「定義づけ」と訳される。

例えば、データベースにある銀行口座に対して、「特定の銀行口座から送金を受けているもの」、「その講座の名義人からメールを」といった概念化を施すことで、マネーロンダリングや犯罪資金の追跡などかかるコストを大幅に削減できる。誰でも扱いやすいインターフェースも特徴だ。

パランティアの技術は、コロナウィルス対策でも活躍

そんなパランティアテクノロジーズの顧客は、公的機関だけでなく民間にも多岐に渡る。

欧州の大手航空機メーカーのエアバスは、パランティアテクノロジーズのFoundryを用いてデータ分析を行うことで、生産工程を効率化し、年間数十億ユーロ規模のロスカットを達成した。運航記録や整備記録、過去のトラブルといったデータを再分析する事で整備の最適化にも貢献するという。

パランティアテクノロジーズは日本にも進出しており、昨年11月、SOMPOホールディングスとビッグデータ解析プラットフォームを展開するパランティアテクノロジーズジャパンを共同で設立している。

SOMPOは日本国民の膨大な量のビッグデータを保有していながら有効活用する技術がなかったが、今回のパランティアテクノロジーズとの提携により、世界最高峰の技術を持って運用する事が可能になる。

余談にはなるが、言うまでもなくビッグデータの運用は、安全保障の根幹をなす。今回のSOMPOとパランティアの提携により、日本人は、Gゼロ後の世界におけるグレートゲームの最前線にいることを、否が応にも痛感することだろう。

また、今月、パランティアテクノロジーズは、米国の疾病予防管理センター(CDC)に向けて、新型コロナウイルスの感染拡大状況や、医療機関の対処状況の把握をするアプリの提供を開始した事が報じられた。

パランティアは、医療機関から受け取るデータを匿名化した上で分析し、使用可能な病床数や人工呼吸器の数を把握する他、感染拡大の予測モデルの提供も開始しており、今回のコロナウィルスのパンデミックに対するビッグデータ活用の可能性が期待されている。

AIやビッグデータをコントロールするのは誰であるべきか

2018年のFacebook がケンブリッジ・アナリティカに対して個人データを提供し不正に利用されていた一件は、その中でも象徴的な事件だったと言えるだろう。

Facebookは、8700万人もの個人データが不正に利用されていた事に対して、5400億円の制裁金を支払ったが、その後もフェイクニュースや大衆扇動を目的とした広告の氾濫や、個人情報の政治利用は止まる事はなく、「我々はニュースではない」という半ば責任逃れともとられかねない釈明に終始した。

そんなFacebookが公共インフラとしての役割を果そうとする事に対して、人々の疑念はますます深まっていく。

公聴会に呼び出されて、当たり障りのない答弁しかできない、かつての時代の寵児マーク・ザッカ―バーグに対する人々の目は厳しく、相応の社会的責任を果たせないまま巨大化した無責任なベンチャー起業家として、党派を超えて非難された。

このような社会との不協和は、フェイスブックに限った事ではない。昨年、「グーグルは中国で人工知能(AI)を開発して中国政府のスパイ活動に協力をしており、FBIやCIA)は調査をするべきだ」というティールの指摘に対して、トランプ大統領がTwitter上で呼応。

司法長官にGoogle調査求める旨の発言を行うと、カーター元国防長官も「グーグルは自国の防衛に協力をしないという大きな間違いを犯した」と同調した。

GoogleのCEOは「そうした提携の一部からは一部手を引いた」と回答しているが、米中の対立が激化していく中で、Googleの社員たちの“良心“も”Don’t be evil”の標語もますます日和見的になっていく。


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