【プログラム】
シューベルト:「美しい水車屋の娘」D795
(アンコール)
シューベルト:「セレナーデ」,「孤独の男」,「ます」,「菩提樹」
ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン)
岡原 慎也(ピアノ)
2020年2月2日(日),14:00開演,札幌コンサートホール
このバリトン・リサイタルのプログラムは歌曲集「美しい水車屋の娘」一曲のみ。アンコールを含めても休憩なしの約1時間30分という,やや変則的なリサイタルである。ヘンシェルは札幌交響楽団の東京演奏会に客演し,マーラーの「亡き子をしのぶ歌」を歌う予定がはいっていた。ゆえに,このリサイタルは付け足しだったのかも知れない。もちろん,その真偽は定かでないが。いずれにしても,ヘンシェルのリサイタルには感心しかねる。
まず,声に伸びがなく,張りもない。発声が苦しそうで,聴いている方にも,その苦しさが伝わってきて,聴き心地は決して良くない。歌唱は一本調子で,その音程も不安定になりがち。この日,たまたま喉が不調だったのか,それとも元来このような発声と歌い方なのかはよく分からない。
このリサイタルの予習のために聴いたCDがクリスチャン・ゲルハーヘルの録音。ゲルハーヘルの「美しき水車屋の娘」には大満足。なので,どうしてもステージの歌唱とこのCDと比較してしまう。ステージに集中すればするほど,準備で聴いた音源の方がより鮮明に蘇ることが稀にある。演奏会で取り上げられる作品がよく知らない曲目の場合,素人の悲しさでどうしてもCDに頼らざるを得ない。
リサイタルには不満が残ったけれども,シューベルトの「美しき水車屋の娘」を腰を据えて聴き込む機会を得ることができ,シューベルトの歌曲ひいてはドイツ・リートの世界に親しむ好機となったことは幸運だった。
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