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2018年02月24日10:05

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西郷隆盛が甥に送った言葉「雪に耐えてこそ梅の花は香り高く咲き・・・・」

次の詩は西郷隆盛が妹の長男・市来政道がアメリカに留学したとき書いて渡したもので、人生の何たるかを教え、諭し、西郷自身の処世観を披歴したものであると言われています。

本当に立派な人物は、貧しい環境の中からこそ生れる。偉大な業績も沢山の困難を経て初めて実現する。あたかも梅や楓が雪や霜に耐えて、美しい花や麗しい紅葉を見せるのと同じであるように、西郷さんが甥に言っているのです。

【現代語訳】
至誠一貫、男子たるものはいったん引き受けたならば、どこまでもただ一筋に貫き通すべきである。
これまで培ってきた鉄石の胆魂(きもたましい)は動かしてはならない。
豪傑は貧しい家に生れ、勲(いさお)し高い事業は多難を経てはじめて世に顕現する。
梅の花は雪に耐えて美しく咲き出すもので、楓(かえで)も霜を経て真っ赤に紅葉する。もし、天意があるところがわかったら、どうして自分で自分の安楽を謀ることができようか。


【本文】
一貫唯々(いい)の諾(だく)
従来鉄石の肝(かん)
貧居傑士を生じ    
勲業は多難に顕わる
雪に耐えて梅花麗しく 
霜を経て楓葉(ふうよう)丹(あか)し   
もしよく天意を識らば 
あに敢えて自ら安きを謀(はか)らんや


以下、神渡良平「西郷隆盛人間学」(致知出版)によります。



「雪に耐えてこそ梅の花は香り高く咲き、
 真紅の楓は厳しい霜を経てこそ、いよいよ紅く照り映える」

西郷隆盛という人は真正の詩人である。ものの哀れを感じとることができる繊細な魂を持っている。

西郷は「貧居こそが傑士を生ジル」と言い切った。「甘え」は人間の最大の障害だ。
しかしながら、わかっているけれども、なかなか自分に厳しくできないのが人間だ。そのために天はその人を逆境に置き、試練を与えて、足腰を鍛えようとする。期待するものが大であるほど、試練は大きい。

そのことを鋭く見抜いていた孟子は、天地を貫く真理をこう断言した。
「天の将(まさ)に大任をこの人に降さんとするや、必ず先ずその心志を苦しめ、其の筋骨を労せしめ、その体膚(たいふ)を餓(う)えしめ、その身を空乏にし、行うことその為さんとするところに払(ふつらん)せしむ」。

(天がある人に大任を授けようとするときは、まずその人の身心を苦しめ、窮乏の境遇に置き、何を行ってもうまくいかず、その人の為そうとしていることに逆行するような不如意をわざわざ与えて試練する)。

運がないのでもない。実力がないのでもない。何をやってもうまくいかない時期があるのだ。その時期をどういう気持ちで耐えるのか。ひたすら耐え忍び、言動を慎むことは、自分自身を磨き、他日に備えることなのである。

それを孟子はこういう言葉で表現した。古来どれほど多くの有意の人がこの言葉に励まされ、自重してこの時期を乗り越えたことだろう。

天地を貫く真理は厳然として存在する。その宇宙の仕組みを知った人は、不遇のときは、じたばたせずにじっと待つ。するとやがて青天白日の時がやってくるのだ。
運勢を逃してしまうのは、開き直り、ふて腐れてしまったときだ。

自分を甘やかせ、奢侈に流れた生活をすると、自分は快適で楽しいかもしれないが、子や孫を駄目にしてしまう。児孫のことを考えたら、慎ましくあるべきだ。

天地自然は私たちに「梅花は雪に耐えてこそ麗しい」と教え、「楓も霜を経て丹(赤)く紅葉する」と諭している。天地自然、わが師ならざるものはない。


西郷はこの漢詩の最後をこう締めくくった。
「もしよく天意を識らば、豈敢えて自ら安きを謀らんや」
私がこの世の中に遣わされた理由を知ったならば、もはや安逸をむさぼることはできなくなる。甥に留学先で下手な知識ばかりを増やすのではなく、もっと根本的な命題をつかめと励ましたのだ。


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