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2017年11月17日10:56

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小型ガソリン車より大型EVの方がCO2排出量は多いw

テスラよりミラージュの方が、環境に優しい?
生産〜廃車までのCO2排出量評価が大事、電池大型化は問題
FINANCIAL TIMES
2017年11月17日(金)

 三菱自動車の小型車「ミラージュ」は、一見して環境に優しい革新的なクルマには思えない。内燃機関(エンジン)で走り、排気管から排ガスを撒き散らすガソリン車にすぎないからだ。

 しかし、部品の調達から燃料、部品の再利用に至るまで、つまりクルマが誕生する過程から廃車までの全ライフサイクルで弾き出した二酸化炭素(CO2)排出量で見ると、話は違ってくる。発電によるCO2排出量が多い地域で使用すると、米テスラが販売する一部の電気自動車(EV)よりも、エンジンを搭載しているミラージュの方が環境に優しいことになるのだ。

EVだからといってCO2排出量が常に低いわけではない

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)のトランシク・ラボの調査によると、米国の中西部でテスラのセダン「モデルS P100D」に乗った場合、ライフサイクル全体で排出されるCO2排出量を走行1km当たりに換算すると226gになるという。これは、独BMWのエンジンを搭載する高級大型車「7シリーズ」の同385gに比べれば格段に少ないが、ミラージュだとわずか同192gにとどまる。

 MITのこのデータは、ノルウェー科学技術大学が昨年発表した研究結果とも一致する。つまり、「ライフサイクル全体で見ると、従来のエンジンを搭載する小型車より大型EVの方がCO2排出量は多い」ということだ。

 こうした比較をするのは、ある技術が他より優れていると主張するためでも、「ゼロ・エミッション」を謳うクルマを批判するためでもない。ただ、このデータは「各国政府や自動車メーカー各社は、次世代のクルマについて重視すべき点を間違えていないか」、という重要な問題を突きつけている。

 各国政府は自動車産業の次世代化を推進しているが、欧州、米国、中国のいずれの政府も個々のEVを区別して、それぞれの環境上の強みを適切に評価する規制措置は導入していない。現行の規制の枠組みには、ゼロ・エミッションを謳うEVでも車種によっては、内燃機関で走るクルマの方が環境負荷が小さい可能性があるという視点が欠落している。

 政府の定義では、EVなら大型車でも小型車でも環境に優しいことになっている。それぞれ生産効率が高いのか、廃車する時に膨大な廃棄物を発生させるのか、充電する際の電力そのものが太陽光発電によるものか、石炭火力発電によるものかといった点を全く問題にしていない。

 「EVは定義上、どのクルマも全てゼロ・エミッションとされている。規制当局は、排気管から出てくる排ガスを測定するだけだが、EVにはそもそも排気管が存在しないからだ」。こう指摘するのは、持続可能なエネルギーを支援する欧州の非営利団体インノエナジー(本部はオランダ)でイノベーション・オフィサーを務めるローランド・ドル氏だ。

生産段階から廃車までのCO2排出量で評価すべきだ

 EVの環境に与える負荷をきちんと包括的に把握するには、規制当局は生産工程から含めたライフサイクル全体での負荷を分析する必要がある。

 これには、EV向け電池製造に使われるレアアースの調達に伴う環境負荷から、充電する電力がどのように生み出されているのか、どの部品は再利用可能なのかといった要素を含めなければならない。

 こうした調査は、EVの環境負荷をガソリン車やディーゼル車と比較することを好む研究者の間で今、注目を集めている。もし、こうした調査が規制政策を左右するようになれば、数十年先にどんなクルマが走っているかに大きな影響を与えることになるとアナリストはみている。

 現状のまま行けば、英国を含む欧州や中国の都市で、ミラージュのようなエンジンを搭載したクルマを運転することは2030年までに違法になるかもしれない。エンジン搭載車の販売が禁止となるからで、そうなると燃費や生産効率はもはや考慮されなくなる。

 「政治家は現実を見ないまま政策を決めている」と米金融大手モルガン・スタンレーの自動車業界担当アナリスト、ハラルド・ヘンドリクス氏は指摘する。

 欧州連合(EU)は11月8日、EV普及を後押しするため、新たな規則を発表した。CO2排出量を2030年に2020年の目標に比べて30%削減できなかった場合には、自動車メーカーに罰金を科すという内容だ。

 しかし、今のところEVの環境負荷をクルマの生産から廃車に至るまでのライフサイクルベースで分析する計画はないし、そうした分析が近く実施される兆しもない。

 むしろ、EV導入を推進するインセンティブばかりが強調されている。このことに対し自動車業界の多くの経営幹部たちは、実際にEV普及がどんな事態をもたらすかが十分に分からないだけに反発している。

同じ車種ならEVの方がCO2排出量は少ないが…

 「かつては特定の技術だけが政治的に推進されることなどなかった。だが、我々は今、EVに切り替えよとの指示されている」と、仏PSAのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は9月に開催されたフランクフルトモーターショーで語った。「これで20〜30年後に(EVの普及で)健康や安全性に何か問題が生じるような事態になれば、それは政府の責任ということになる」

 クルマの生産から廃車までというライフサイクルベースでCO2排出量を見る研究が示しているのは、少なくとも現時点で「ゼロ・エミッション」という概念が誤解を招いている可能性があるという点だ。

 というのも、リチウムイオン電池を製造する過程およびそれらの電池を充電する際に、大量のエネルギーが消費され、環境負荷がゼロとは決して言えないからだ。

 もっとも、類似した車種で見ると、内燃機関のクルマよりもEVの方が環境に優しいことは複数の研究が示しており、その差は年々拡大している。

 米NPO「憂慮する科学者同盟(UCS:Union of Concerned Scientists)」によると、米国の平均的なEVは従来のクルマに比べ、廃車までに排出するCO2の量が半分以下にとどまるという。EVを充電する際の電力が、石炭火力発電から風力や太陽光といった代替エネルギーに取って代わっていけば、排出量はさらに削減されていく。

 「EVは現時点でも既に優れているが、今後、日を追うごとにもっと改善していくだろう」とUCSの研究者、ドン・アネア氏は指摘する。

 自動車メーカー各社による研究も、同じ結論を出している。独フォルクスワーゲンが発表したあるライフサイクルに関する報告書では、EUの電力を使った場合、EVのハッチバック「e-ゴルフ」は、通常のゴルフよりもCO2排出量が26%少ないという。さらに、代替エネルギーで生み出された電力を使えば、ライフサイクル全体でのCO2排出量はわずか9.7トンにとどまり、従来に比べ61%の削減になるという。

 また、独ダイムラーによると、ゴルフよりも大きいメルセデス・ベンツの「Bクラス」のEVの場合、同じBクラスのガソリンエンジン搭載車よりもCO2排出量が24%少なくなるという。これはEUの電力を使用した場合で、代替エネルギーで充電すれば排出量は計11トンとなり、64%も削減できることになる。

EVが大型化し、電池も大型化する問題点

 エネルギー研究を専門とするMITのジェシカ・トランシク教授は、数十種類に上るクルマのデータを蓄積してきた。それによると、どの車種のEVでも、同じ重量の従来のクルマに比べた場合、ライフサイクル全体ではCO2排出量が少なくなるという。これは、ポーランドなど主に電力が化石燃料によって生み出される地域でも同様だ。

 「石炭などCO2排出量が多い発電源に大きく頼る一部の地域では、EVの方がハイブリッド車に比べて特にメリットが大きいとは言えなくなる」と同教授は言う。「ただ、そのような地域であっても、ハイブリッド車やEVが従来のクルマよりCO2排出が少ないという点では変わりない」。

 だが、EVをそれぞれのモデルごとに個々に評価する仕組みがない現行の規制下では、自動車メーカー各社に、大型の電池を搭載し、航続距離の長いEVを販売することを奨励してしまいがちだ。いずれもEVの特徴としては良さそうに見えるかもしれないが、その電池に使用されるリチウムとコバルトの量を考えると、それは環境に優しいというEVのイメージを裏切るものだ。

 米環境NPO「国際クリーン交通委員会(ICCT)」の欧州担当責任者、ピーター・モック氏によると、現在生産されているEVの多くは、航続距離の長さを売りにしており、電池はさらに大型化する傾向にあるという。

 調査会社EVボリュームズによると、現在販売されている平均的なEVが一回の充電で走れる航続距離は250km未満だ。だが、9月にルノー・日産三菱連合が発表した計画では、2022年までに同600km以上のEVを12種類も投入するという。

 「EVの9割は、そこまで大きな容量の電池を搭載する必要がない。今を過渡期と考えれば、意味があるかもしれないが、たいていの人は1日100kmも走らないので、あまり合理的ではない」とモック氏は指摘する。

 全てのEVをゼロ・エミッションと呼ぶことで、現行の規制はEVの普及を促す一方で、大型電池を搭載するのが望ましいという考え方を暗に奨励してしまっているとモック氏は言うのだ。

本来は電力使用量を表示すべき

 いずれ規制当局は、EVを冷蔵庫のように扱わなければならなくなるとモック氏はみている。「冷蔵庫の場合、消費電力をラベルで表示することが義務付けられている。EVについては現状ではCO2排出量しか見ていない」

 使用電力の量まで表示させるのは、政治的には難しいだろう。というのも、EUでCO2排出量を監督する規制機関と電力を監督する機関では、それぞれ優先事項が異なるからだ。自動車業界の監督機関を変更するとなると、さらにEU内でもめ事が生じるのは必至だ。

 規制当局に促されずとも、一部の自動車メーカーは、バリューチェーン全体でのCO2排出量を抑制し、環境に優しい自社のイメージを守ろうとしている。

各社とも生産方法を工夫して環境対応を強化するが、電池がネック

 例えば、テスラが米ネバダ州に建てた大型電池工場「ギガファクトリー」では、生産の全工程で風力発電と太陽光発電による電気だけを使用する計画だ。

 同社のイーロン・マスクCEOは、同社が展開する充電スタンド「スーパーチャージャー」をいずれは全て電力網から切り離し、太陽光発電によってのみ得た電気を使用すると明言している。また、ユーザーが自宅で充電する場合は、ユーザーの家に設置したテスラの太陽光パネルで発電した電気を充電できるようになるという。いずれの取り組みも、EVは「結局、石炭を動力としている」との批判をかわすことが狙いだ。

 BMWのEV「i3」は、米ワシントン州で水力発電による電力を使って生産された炭素繊維を車体に採用し、風力発電による電力で稼働する独ライプツィヒの工場で組み立てられている。シートはリサイクルされたペットボトルから作られ、オリーブの葉から抽出したエキスでなめし加工を施しているほか、ドアのパネルやダッシュボードは、ケナフ麻の繊維やユーカリの木材でできている。鍵でさえ、トウゴマの種で作られているという。

 MITのトランシク・ラボの調べでは、生産過程から廃車までのライフサイクル全体のCO2排出量でみると、現時点ではi3が環境に最も優しいクルマだという。

 BMWによると、i3の生産工程で使用される水の量は70%、エネルギー消費量は50%少ない。とはいえ、EVメーカーがサプライチェーンにおいてCO2排出量を削減しようとしても限界がある。というのもライフサイクル全体でみても、電池の製造によるCO2排出が最も大きいためだ。

 10年前なら、これは大きな問題ではなかった。EVといえば、重量が1トンにも満たない独ダイムラーが展開する「スマート フォーツー」のような小型車をイメージすれば良かった。だが、こうした前提を覆したのがテスラだった。テスラのセダン「モデルS」は、室内が広々としており、航続距離を確保するため巨大な電池を搭載しているため、最大で2250kgの重量になる。

 内燃機関のクルマからEVへのシフトがここまで進んだのは、テスラのおかげだとされている。だがその反面、英投資銀行リベラムによると、EVが搭載する平均的電池の容量は、現在の20キロワット時から2025年には40キロワット時まで倍増する見込みだ。

電池に使うコバルトの60%はコンゴ民主共和国で採掘

 こうした電池の大型化は、EVが環境に優しいという評価を損なう可能性がある。たとえ火力発電が減り、代替エネルギーによる充電が増えたとしても、コバルトなどの金属を調達する過程での環境への負荷や倫理的問題も無視できない。というのも、世界に出回っているコバルトの60%は、コンゴ民主共和国で採掘されているためだ。

 EVの支持者は、内燃機関は100年かけて改良を重ねてきたではないかと指摘する。それに対し、電池の効率性を改善し、コバルトなどの鉱物の使用を削減する試みは、まだ始まったばかりだ。

 モルガン・スタンレーによると、電池の正極の材料の開発が進んでいるため、将来的にはコバルトを使用しなくてすむ可能性もあるという。だが今のところ、世界最大の自動車市場である中国では、「新規制の導入によりエネルギー密度の高い電池への移行が進んでいるため、1台当たりに搭載する電池におけるコバルトの使用量は増える傾向にある」という。

 パリを拠点に自動車業界アナリスト兼エネルギー専門家として活動する米コンサルティング会社フロスト&サリバンのニコ・メイヤン氏は、少しでも大型の電池を搭載したEVを発売しようとする自動車メーカー各社の競争を規制当局が煽ってはいけないと次のように話す。

 「非常に愚かな競争であり、望ましい解決に向かうことにならない。石油をコバルトとリチウムに切り替えても何の問題に対処したことにもならない。それは問題をすり替えただけだ」

 むしろ、EVと従来のクルマを区別せず、重量の大きいクルマの税負担を増やし、内燃機関のクルマでもEVでも小型車を購入するインセンティブを導入すべきだとメイヤン氏は指摘する。

 同氏によると、フランスのマイクロカー「リジェ」や日本で人気の軽自動車など、重量が500kg程度のガソリン車は、ライフサイクル全体で見た場合のCO2排出量が中型のEVより少ないという。CO2を排出しない原子力発電によって電力の4分の3が賄われているフランスで運転した場合でも同様だ。

 「CO2排出について本当に懸念しているなら、小型で軽い自動車を奨励するべきなのは間違いない」

Patrick McGee Jennifer Bissell-Linsk
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/108556/111500022/
技術的にはEV車よりも小型ガソリン車の方が環境に優しいのでしょうが、それでは欧州の自動車会社は日本や支那の車と競合出来ません。
ガソリン車やディーゼル車を製造し続けても性能は日本車に劣りますし、価格で支那車にかないませんw

結局消費者が選択することですが、環境に優しいと強調するほどEV車は首しめる結果になりそうです^^;
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