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2017年09月02日22:53

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札幌交響楽団 第602回定期演奏会

【プログラム】
1 ベートーヴェン: 序曲「レオノーレ」第3番 op.72b
2 モーツァルト: 協奏交響曲 変ホ長調 KV Anh.��,9 (297b; KV6:14.01)
   ***** 休 憩 *****
3 フランク: 交響曲 ニ短調

 オーボエ:   関 美矢子
 クラリネット: 三瓶 佳紀
 ホルン:    山田 圭祐
 ファゴット:  坂口 聡
 管弦楽:    札幌交響楽団
 指揮:     ユベール・スダーン

(ロビーコンサート)
 ガブリエリ: ピアノとフォルテのためのソナタ第7旋法によるカンツィオン 第2番
 札幌交響楽団金管セクション(トランペット,トロンボーン,ホルン,チューバ)

2017年8月26日(土),14:00開演,札幌コンサートホール

札幌交響楽団の8月定期演奏会は,フランクの「交響曲ニ短調」をメインに据え,演奏会前半にベートーヴェンの「序曲『レオノーレ』第3番」とモーツァルトの管楽器のための「協奏交響曲変ホ長調」を配するという構成。この日の演奏を良い順に並べると,モーツァルトの「協奏交響曲変ホ長調」,ベートーヴェンの「序曲『レオノーレ』第3番」そしてフランクの「交響曲ニ短調」となる。

モーツァルトの協奏交響曲は,偽作の可能性が高いとして最新のケッヘル作品目録(第6版)では,真作の項目から外し「偽作または疑義のある作品」としてAnh.C14.01という番号が付されている。この作品は作曲直後に楽譜が行方不明となった「フルート,オーボエ,ホルン,ファゴットのための協奏交響曲」のモーツァルト自身による編曲版ではないかと考えられていた時期があった。だが,フルートとオーボエのパートをオーボエとクラリネットに入れ替える以上の改編が行われていることがその後の研究により判明し,現在では真作である可能性が低い作品としての扱いを受けている。とはいえ,素人の悲しさ,これがモーツァルトの作品ではない,あるいは,大幅に他人の手が入っている楽曲であるとは,到底信じ難いほど優美な音楽である。

この日,ユベール・スダーンと札響の演奏がこの作品の持つ優美さを巧みに引き出していた。とりわけ,弦楽セクションの柔らかい響きと優雅な振る舞いは称賛に値する。4人の独奏も及第点を超える出来だった。とはいえ,オーケストラの中でソロを務めるには十分な技量を有しているとしても,コンチェルトのソロを担うだけの華を持ち合わせているとは言い難いのも事実だ。

ホールで実際に聴いてみるとよくわかるのだが,この作品の独奏を務めるのは,予想以上にハードルが高い。独奏協奏曲の場合,オーケストラとの兼合いとソロの際立たせ方だけをソリストは考えればいいのだが,コンチェルタンテの場合は独奏者4人のアンサンブルにも気を配る必要がある。おそらく,オーケストラの中での旋律の受け渡しなどと,ソリストとしての掛け合いとは微妙に違うのだろう。気心の知れた仲間とはいえ,いつもとは勝手が違うという雰囲気が感じられた。そして,オケとのやり取りも,ステージ前方の指揮台の前とオケの中とでは,空間的な位置以上に心理的な負担が重いようだ。

ただ,最も難しかったのは,ある時はオーケストラのサウンドに溶け込み,また,ある時にはオーケストラと対峙しつつ自分の演奏を際立たせなければならない二面性だったのではないだろうか。オケの一員として演奏することに習熟していることは確かだが,ソロを演じるときは,楽器の音量のみならず,音の粒立ちのような音の質についても次元の異なるクオリティーが求められる。さらにオーケストラ・パートのソロと協奏曲の独奏とでは演奏法も違微妙に変える必要があるのでは。同じ首席奏者でも,地方のオーケストラと世界一流のオケとでは,レベルに違いがあるのは致し方ない。それを考慮しても,4人のプリンシパルは健闘していたと言っていいだろう。

ベートーヴェンの「レオノーレ第3番」は,この作曲家の作品の中でも最も好きな部類に属する作品。「フィデリオ」はオペラとして失敗作ではないかという疑念を払拭するに至っていないものの,「レオノーレ第3番」はベートーヴェンの傑作の1つだと確信している。

札響が演奏する「レオノーレ第3番」を聴いて,このオーケストラはベートーヴェンの作品との相性がそれほど良くないのでは,という思いを深めた。札響は力をセーブして弾く類の作品ではいい仕事をすることが多いが,渾身の力を込めて演奏しなければならない楽曲は得意としていないのではとかねてから思っていた。今回「レオノーレ第3番」を聴いてその思いを新たにした。大音量で演奏すると,アンサンブルが乱れがちになる。何よりも,この作品の持つエネルギーを表現できず,ただうるさいだけの演奏に終始してしまった。

ただし,展開部でピツァロに囚われたフロレスタンを救出すべく監獄へ赴く大臣の到着を告げるファンファーレは,この定期演奏会を最後に退くトランペットの副主席奏者が演奏した。万感の思いがこもる渾身のバンダだった。

フランクの「交響曲ニ短調」はいい演奏だったのか,それほどでもなかったのか,正直なところよくわからない。磨き上げた硬めのサウンドでこの作品を描きあげようとしたことはわかった。でも,この作品そのものの表現が疎かになったような印象だった。一方,ユベール・スダーンは最高のフランクだったと言い残して,ホールを後にしたと伝えられている。
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