渡辺和子「面倒だから、しよう」より(118万部のベストセラー、『置かれた場所で咲きなさい』の渡辺和子による最新著書。『面倒だから、しよう』は、著者がノートルダム清心女子大学の教授だった当時からの合言葉で、実際に学生に教えていたものです)。
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感情の起伏が少ないということを、心理学者のゴードン・オルポートは「情緒的な安定」といって、成熟した人の目標の一つにしています。人間は誰しも怒ったり、喜んだり、恐れたり、不安がったり、悲しんだり、憎んだりすることがあります。ただそれを大事(おおごと)にしてしまわないで、収めることができるということなのです。感情を持っことは決して悪いことではありません。しかしながらある程度感情を抑えることができるようになりたいものです。
最近よく、「むしゃくしゃした、だから誰でもよかった」という気持ちから引き起こされた事件が報道されていますけれども、私たちは、自分の内部にある、さまざまな感情を自分のものとしてまず認めることが大切ではないでしょうか。
「私は今腹が立っている」と認めること、認めた上で、もちろん動揺するけれども、適当に処理して大事にしない。それが大人のすることだと思います。「もうこのことはこれ以上考えるまい。考えてもしょうがない。考えてもしょうがないならば、時間がもったいない」と自分である程度、理性的に、冷静に処理できることは、大事だと思います。さらに自分が感じていることを十分に言葉や態度に表せることも、大人の一つの証拠なのです。
「私はこのことで、今とても腹が立っているんです。でも腹を立てても仕方がないので抑えています」、または「自分はこのことで非常に悲しんでいます」と、口に出してはっきりいえるかどうか。泣いている幼児に「泣いていてもわからないじゃない、いってごらんなさい」といっても言葉にできない。それに対して大人であるということは、今心の中に起きているさまざまな感情を、人間らしく言葉にして表すことができる、そして言葉にすることによって、ある程度それを抑えることができるのです。
母は、私が幼い時に、「あなたが心を悩ますことの大きさが、あなたの心の大きさだ」といってくれました。これは「小さなことで悩むな、小さなことに心を奪われるな」という教えでもありました。
事柄の大きさを、自分で判断する。感情をコントロールする上で、それも一つの大切なことだと思います。もう一つの方法として、行動する前にリハーサルをすることが有効です。例えば「これからあの先生のところへ行かないといけない。自分はあの先生のところへ行くと、つい無礼な態度をとってしまう」と思ったら、前もってその先生のところへ行ったつもりになって、自分の振る舞いをリハーサルする。そうすることによって、それほど失礼な態度をとらないで済むことにあります。
そして何より大事なのは、自分の体と心が疲れていないということです。感情の起伏が甚だしいのは、疲れていることの証拠でもあります。だから朝きちっと食事をし、夜は休んで、体と心を健康にして毎日を過ごしましょう。
自分の感情を認めること。
認めた上で、大ごとにしない
「腹を立ててもいい。不安がってもいい。けれども、感情に振り 回され、自分を見失ってはいけない」。
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