中村紘子、逝去
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ピアニスト中村紘子、大腸癌との闘いに力尽きる、それも72歳のバースデーのあくる日に、ですか。ずいぶん前になりますが、ネスカフェゴールドブレンドのCMに出ていた知的で美貌のピアニストというのがこの人の存在を知ったきっかけであり、それ以来、精力的に演奏活動を続ける傍ら、テレビのトーク番組の出演やエッセイストとしての活躍も顕著になっていった印象がありますね。
10歳にして全日本学生音楽コンクールピアノ部門小学生の部で全国第1位に入賞し、慶應義塾中等部在学中の昭和33年に全日本学生音楽コンクールピアノ部門中学生の部で全国第1位入賞。以来、日本音楽コンクール第1位特賞、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会でのソリストデビュー、NHK交響楽団初の世界ツアーのソリストに抜擢(これが桐朋女子高の音楽科在学の16歳だった)と聞くと、とんでもない超弩級の天才女性ピアニストだったんだなと感じますね。中退して渡米してジュリアード音楽院に進んで、ピアニストの道をひた走ってきた人生の基盤がこんな感じで作られた、てな感じでしょうか。
また、30歳の時に芥川賞作家の庄司薫と結婚したのが自身の愛猫を庄司が預かってくれたことがきっかけとなったと言われるほどで、子宝に恵まれることはなかったものの、大の猫好きとしての顔も結構有名でしたね。夫の存在もあってかエッセイストやノンフィクション作家の活動にも進出と、こうやってプロフィールを眺めると、ただの天才女性ピアニストに収まらないほどに、感性のアンテナの凄さの凄さを持った人だったのだなと思います。軽妙な語りでも親しまれていましたし。
70代になり、大腸癌との闘いが話題に登るようになりましたが、その最中でも精力的に世界的にピアニスト道を極める努力は続けていたようで、夫によると72歳の誕生日も「このところみつけた、モーツァルトからラフマニノフまで、音色に新しい輝きを与える奏法を試すのだといって、興奮していました。」のだとか。病床での会話だったのかもしれませんが、その翌日に“お星様”になっていった……、と。
永六輔、大橋巨泉、ザ・ピーナッツの伊藤月子(妹)……、と、今月は戦後の日本の文化とかエンターテインメントを形作ってきた“偉大な存在”の訃報が相次ぎましたが、この天才ピアニストも逝っちゃった。ご冥福をお祈りいたします。合掌。
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